大人


昔から嫌と言えない。
いや、嫌と言えなくなったのは大人になってからかもしれない。



小学生の時は自分の意志が強く、物事を好きと嫌はっきり表現できた。好きなものは口に出して好きと言うし、嫌なものは私はそれやりたくないって言える子だった。当時、友達から『○○がうざいから無視してくれない?』と言われたことがある。私は迷わず『嫌』と言った。別にその時は○○のことはうざいと思っていなかったし、なんでこの子の言うこと聞かなくちゃいけないんだろうと思った。現在考えてみるといい子だったなと思う。


そこから中学高校大学。自分からはっきり嫌と言ったのは幾つだろう。覚えていないから数えられないのか、嫌と言っていないから数えられないのか。正直、中高大の記憶があまりない。楽しかったはずなのに。


当時に比べると私はだんだんしょうもない大人になっている気がする。周りに合わせ、愛想の良い笑みを浮かべる。何故こんなことしているのだろう。面倒なのが嫌なのか、それともこの世界に興味がないのか。嫌なことを嫌と言えないのなら生きていてもしんどいだけだ。

だって、したくないキスもしたくないと言えないから。

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