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『なるほどデザイン』でなるほど〜

最近、デザイン会社でアルバイトを始めました。今までやってきたアルバイトなり作品制作なりで、不可避的にデザインをする事はあっても、自分から進んでデザインの仕事をする環境にいたことは無いので、経験をさせて貰いたくて、入社しました。入ってみて数ヶ月経ち、感じているのは、デザインというのはどんな媒体にせよ、どんな些細なものにせよ、監督的な部分が大事なんだな〜、というかそこが無ければ「デザインする」事にはならないんだな〜、ということです。

IllustratorやPhotoshopを素人の割には使い込んできたつもりだけど、ソフトが使えても、デザインができるわけじゃ無いというのは常々思っていました。
じゃあどういう風に作れば「デザインできてる」って事なんだろう?という疑問がずっとあった訳なので、デザイン本を立ち読む、たまに購入してみる、読みながら作ってみる、という事を2年ほど前からやってきました。
しかしどうにも「できてる」感じにはならない。もちろん「こんな感じにしたい」というイメージはあるものの、完成にたどり着くまでに行き当たりばったりで進めていくので、時間はかかるわ、寄り道し過ぎて当初のイメージと全然違うものになってしまっているわ、で、いつも「これで…いいのか…?まあ、そこそこなんかそれらしく出来ているよね…」という気持ちで入稿、という感じになってしまうのです。

それで、最近買った『なるほどデザイン/筒井美希・著』を読んで見たところ、「デザインするってどういう事だろう?」に対しての「なるほど!」が序文から提示され続けてて納得しまくりました。
本屋でずーっと積まれていたのに、なぜか一度も手に取らなかったことをやや後悔しましたが、今アルバイト先でデザイナーさんがやっている仕事を見て感じてたからこそ、シックリ来た部分も多いので、今読んで良かったんだろう、たぶん。
『なるほどデザイン』というタイトルから「なるほど〜とわかりやすく見えるデザインのやり方が書いてあるのかな」と思ってたけど、書いてあったのはもっとデザインの根幹的なことでした。

ということで、この本の何が良かったか?をまとめたくなったので書き起こしてみました。
この本はChapterが3つに分かれていて、目次を見るだけでもこの本の大事な部分を説明してくれているように感じます。

Chapter・1は『編集×デザイン』という内容です。
まず、異なる目的でデザインされた「朝ごはんを紹介する雑誌ページ」のエディトリアルデザインのパターンを3つ見せてくれるのですが、ただ完成した紙面を見せるだけでなく目的にどうやってフィットさせているか?という解説を「惜しい!デザイン」と一緒に見せてくれているところが分かりやすくて入り込めます。その後、デザインを始めるにあたってどうやって考えて進めていけばいいか?を過程を追って説明しているのだけど、1つ1つのステップで何を考えて要素を整理し、配置し、調整しているのか、をデザインの経過とともに見せていて非常にわかりやすく、「なるほど〜」となります。

Chapter・2ではデザインをする時に必要な「考え方・コツ」を『デザイナーの7つ道具』に例えて説明しています。「道具」にしている事で印象に残りやすく、楽しくなるなあ、と思いました。道具に例えきれてないのもあるけど…

7つ道具一覧
・ダイジ度天秤
・スポットライト
・擬人化力
・連想力
・翻訳機
・虫めがね
・愛

最後に出てくる「愛」なんて、自分の考えには無かったけど、雇い主のデザイナーさんが度々口に出していた内容だったので、「ああ、こういう事が言いたかったのか」と非常に腑に落ちました。「道具」というカテゴリーにしてくれたおかげで、自分がデザインに挑戦する時「ここではこの道具を使って考えてみよう」とやる姿が想像できる、というところがワクワクします。

Chapter・3はデザインする時に扱う要素を『デザインの素』として5つに分けて解説しています。ここは他の本でもよく見られる内容。光の三原則やら、色から連想するイメージ、色の使い方、書体の名前やイメージなどなど。
「文字と組み」の部分で、デザインされた小説の1ページの倍率をどんどんあげて細部を見ていく、という流れが面白かったです。逆に進む解説はよく見るけど、確かにこの方が入りやすい。
あと、「らしさを作る」という表現で、言葉の役割をどう見せるか説明しているのもスッと入ってくる。具体的な「らしさ」の出し方が何パターンか提示してあって「どう見えるのが大事なのか?」がわかりやすい。
このチャプターは、実際にデザインしている最中に、要素をどっちに動かせば自分の考えているデザインに近づく事ができるか?のヒントになる部分だと思いました。

これを読めばデザインができるのか?というとそうでは無いかもしれないけど、そんな本は存在しないだろうと思いました。
この本を読むとデザインやってみたいな〜、できそうな気がするな〜という気持ちまで持って行ってくれる、素晴らしい指南書だと思いました。

なるほどデザインのHPもあるので気になった方は見てみるとワクワクすると思います。↓

http://naruhodo-design.com

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