コーヒーブレイク

ザイアンスの法則×パートナーシップ

 パートナーシップをコンテクストから創り上げる組織コンサルタントのHOSUです。今日は、知っている人は知っているザイアンスの法則にからめて、パートナーシップについてみていきましょう。

ザイアンスの法則って聞いたことある?

 「ザイアンスの法則」って聞いたことありますか?
 アメリカの心理学社ロバート・ザイアンスが見いだした法則で、「繰り返し接触していると好意的な印象をもつようになる」というものです。「単純接触効果」と説明されることもあります。

 まあ、あんまり難しく考えなくても、子どもの頃に好きになる相手って、確かにタイプとかの関係もあるけど、よく一緒に過ごしたり、話す回数が多かった人のことを、好きになったりしませんでした?

 言うほどタイプじゃないんだけど、「なんか好き」とか「なんか気になる」とかね。

 要は接触する機会が多いと、好意的な感情や印象を抱きやすいという理論なので、営業で「とにかく接触する回数を増やすと、話を聞いてもらいやすくなる」ということを体験している人などは、納得の法則だと思うんですね。

「関係作りに時間がかかる」ってホント?

 ところで、関係作りには時間がかかるというコンテクスト(器)をもっている人っていますよね。

 「やっぱり、趣味とかさ、好きな芸能人とか、あとはどんな仕事をしてきたかとかさ、そんないろんなことを会話することで、わかりあえることとかがあるじゃない? だから、お互いにいろんな話をするのに、たくさん話す時間がいるよね」

 こんな風に、会話を交わす時間の長さで、時間がかかるというとらえ方の人(以下、長い時間派)もいるでしょう。

 一方で、会話を交わす時間の長さじゃなくて、一緒に時間を共にする期間として、長く一緒にいると関係ができてくるもんだというとらえ方の人(以下、長い期間派)もいるでしょう。

 どちらも、ごもっともなとらえ方なんですが、どっちかというと前者の”長い時間派”の方が、余計に時間がかかるように思うんです。
 だって、”長い時間派”の人がリーダーになったら、全職員とじっくり腰を据えて会話する時間をもたないと、関係が深められないってとらえていたら、全員とじっくり話す時間が持てないと、なんか関係が深まっている感じがしないじゃないですか。
 そうすると、「一人ひとりとじっくり腰を据えて話す時間をつくるのに、全員とそれをやるには時間がかかる」ということで、「関係作りに時間がかかる」というコンテクストが強化されますよね。

 ちょっと話飛ぶかもしれないけど、好きな相手を振り向かせて、関係を深めるのに、1対1で話す時間がなくたって、お互いの好きが深まっていくことってありますよね。
 しかも、それって、新学期が始まって、何ヶ月も期間がかからなくても、好きが深まることもあるじゃない?

 だから、「関係作りに時間がかかる」っていうのは、本当のようで、本当じゃないんだよね。

「どない?」「おつかれさま〜」「ありがとね〜」

 ザイアンスの法則でいうところの「接触する機会を増やす」は、接触する時間の長さを伸ばすのではなく、接触する回数を言っているんですよね。

 だから、同じクラスになって、「消しゴム貸して」「はい」「ありがとう」とか、「昨日のドラマみた?」「みたよ。すごい急展開だったよね」「だよね〜」ってな具合に、どうでもいいような会話を交わす回数が増えたりするのもそうだし、実際に同じ教室の中で目に触れる機会が増えるわけだから、好きが深まっていくっていうのも納得ですよね。

 だとすると、社内のパートナーシップも、接触回数が多くなればなるほど、深まっていくもの、揺るぎないものとして、存在し続けるようになるんだろうなと思うわけです。

 例えば、上司が部下とコミュニケーションを交わすのに、あえて上下関係を保ち続けるために、業務上、必要な範囲を超えた会話をせず、プライベートな話など砕けた会話をしないという方針の関係作りをするという考え方で、いわば「必要最小限な範囲の会話」だけに絞るマネジメントもあるようですが、果たして、それで部下は上司への信頼が深まるんだろうか?と、わたしは懐疑的です。

 むしろ、「最近、どう?」とか「こないだのあの商談は成立してよかったな。ご苦労さん」という具合に、通りすがりの二言三言を、こまめに交わせる方が、いわば接触回数としては多くなるので、いざという時に、上司に悩みを打ち明けられたり、わからないことを教えてくださいとお願いできたりとか、しやすくなるんじゃないかと思うのです。

 わたしが聞いた話によると、その方の上司は、日ごろは「おつかれ」だけでささ~っと通り過ぎていくだけで会話もせず、期末の時期だけ「実績どう?」「不足分、どうやって回復するの?」という会話を持ちかけて(迫って?)きて、「なんとかしろよ!」と言ったら言ったきり…という人がいたそうです。そして、業績を伸ばしても伸びても、一緒に喜んでくれるわけでもなく…。

 さぁ、この上司の下で、あなたが部下ならあなたは伸びますかね?
 あなたは「この上司についていこう!」ってなりますかね?
 あるいは、「この上司のために!」なんていう想いを抱きますかね?

 もし、すべて「YES」だとしたら、Mですね(笑)・・・というのは冗談として、あなたはそれで伸びて、パフォーマンスを発揮できる人だとしても、そのスタイルで部下を育成しようとしたら、いまのご時世、ほぼ80〜100%の確率で失敗します。

 あなたがそれで伸びるというコンテクストは、あなたがこれまでの時代背景と社会情勢の中で創り上げてきたものであって、これから社会人になってくる人は、あなたとは違う時代背景と社会情勢の中で、あなたと違うコンテクストを生きてきているのですから、むしろあなたの過去の成功体験は足かせになる確率の方が高いのです。

 上司が部下に、あるいは同僚同士でも、取引先との関係でも、こまめに接触することで生まれるパートナーシップがあるーということをもってみてはいかがでしょうか。

記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。