上司と部下のパートナーシップ3:「要求」と「依頼」の違い②
連投145日目。「上司と部下シリーズ」第3弾。
今日は昨日の続きで、「依頼」のポイントについて、です。
一方の「依頼」は、文字通り頼み事ですから、「Yes」一択ではありません。「Yes」も「No」も言われる可能性はあります。だからこそ、Yesと言ってもらいたくて、背景や意図を伝え、本人の発言が、どんな影響を生んでいるとわたしが観ているのかという観点を伝え、相手に選択権を委ねています。
同じように、こちら側が「Yes」を求めていることに変わりはありませんが、相手が「No」を言えるかどうかで、相手にとってはまったく異質なのです。(2019年3月8日「<要求>と<依頼>の違い①より抜粋>
この「依頼」をわたしは二択と表現していますが、「Yes」を求めているという点では一択と捉えることもできますよね。そのビミョ〜なところを、ゆっくり観ていきます。
ポイントは、「Yes」を強要することが意図ではないーという点です。
じゃ、まず、「Yes」を強要するってどういうことか?を観ていきましょう。
これはある観点からみると、「相手は強要しないとYesを選択しない人と見ている」と言い換えることができます。だから、「No」を言わせないようにするし、考える余地を与えない。
では、裏返して、「Yes」を強要しないということってどういうことか?
「相手は強要しなくても、Yesを選択できる人と見ている」と言い換えることができます。正確には、「YesもNoも選択できる自立した人」と見ているということです。
「Yes」を選択しない人とみるか、「Yes」を選択できる人とみるか。
ここに立ち位置の違いがあるのがわかりますでしょうか?
『相手をパートナーとして信頼しているかどうか』
その人の言動の決定権は、まぎれもなくその人にあるわけです。だから、その人がどう感じ、どう考え、どういう影響があるとみて、その問題に取り組むかを決めることができると信頼していることはとても重要です。
あなたが、「No」と言われたら困る事情があることは承知しています。ただ、そのことと、相手に決定権があるかないかは別次元の話なのです。
むしろ、あなたの背景や意図、注目している出来事とその影響を、あなたが話して、それに触発を受けて「Yes」となったらベストですよね。ただ、そこで起きる触発は強要するものじゃないからこそ、相手の「No」も受け取る器でいることが自然です。
「No」と言われたら、そこからコミュニケーションを続ければいい。今度は、相手の背景や意図、注目している出来事やその影響を、あなたが聞けばいいのです。そこで触発し合うことこそコミュニケーションですからね。
相手を変える意図でいうのではなく、相手の言動が及ぼしている影響があることを、まずは知ってもらう意図で「依頼」をする。その答えが「Yes」でも「No」でも、知ってもらうために言っているのだから、まずはきちんと言えたことでOKなんです。
「ただ、知ってもらうだけじゃ意味ないでしょう。だって、不満が噴出しているんだから」
そうかもしれません。何が何でも、言動を訂正してもらわないといけない時もあるでしょう。命に関わる、人の心が傷つく、そんな事態は一刻を争うので、即座に訂正してもらいたいところでしょう。
とはいえ、自分の言動が命に関わる、人の心を傷つけるものなんだという自覚もなく訂正された言動は、その価値や意味や影響をわからずに訂正しているので、別の形で表れてくる可能性もあります。(「Aがダメって言ったら、Bもダメってなんでわかんないの?」みたいなこと、あるでしょう。そのことです)
ただ単に「荒っぽい言葉づかいを訂正してもらう」ことが意図なら、<要求>すればいい。
一方で、「荒っぽい言葉づかいがどんな影響を及ぼしているのかを観て、自主的に訂正してもらう」ことが意図ならば、<依頼>をすればいい。
もし、あなたが後者を選ぶならば、その一歩手前の段階で、「あなた自身が荒っぽい言葉づかいが及ぼす影響を、わたしは望んでいないということを、ただ、知ってもらう」という自分で<依頼>をすることをおススメします。
相手が行動を訂正することを「No」と言っても、それを「わたしは望んでいない」ということは理解してもらえたらOKとするーというイメージです。
まず、あなたに起きていることを、ただ、知ってもらう。
今度は、それを知った相手に起きていることを、ただ、知る。
この繰り返しの中で、共有できる部分と、違いが明らかになるし、大切にしたいこと、向かっていく方向性も明らかになる。
場合によっては、たもとを分かつことになるかもしれないし、より強い絆が芽生えるかもしれない。
少なくとも、強要された時に、強要してきた相手との絆が深まるかといえば、深まらないでしょう。
<要求>も<依頼>もどちらが正しいと言いたいのではありません。どちらも必要だし、機能するならどちらを選択してもOKでしょう。いずれを選んでも、そのことが創り出す影響については、観ておくことをおススメします。
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