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『バッドボーイズ』+『バッドボーイズ2バッド』監督:マイケル・ベイ

'Bad Boys' dir. by Michael Bay, 1995
'Bad Boys II' dir. by Michael Bay, 2003

こんな時期ででも無ければ観なかったと思うこのシリーズ、今年劇場公開された17年ぶりの新作も結局観なかったので第一作から順番に。決してつまらなくはないものの途中でいくつも「長え…」と思ってしまった箇所があり、それはカーチェイスの部分だったり主演2人(マーティン・ローレンス&ウィル・スミス)の会話だったりするのですが、もしかしてこれを飽きずに観られる人って例えば好きな漫才コンビの番組に見入っているノリかもしれない。延々終わらないアクションシーンもちょいちょい挿入される2人の掛け合い漫才部分で保ってる感もあり、本当に漫才的に芝居やってるシーン、例えばパート2でマーカス(マーティン・ローレンス)の娘が初デートで映画に行く時に迎えに来たボーイフレンドにマーカスとマイク(ウィル・スミス)がクドクド因縁をつけるとことかですが自分にとっての彼らはそこまで好きな芸人さん、ではないためかやっぱ「なげぇ…」と思ってしまうのでした。

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で、メモとして残しておきたいのはこの2作で出てくる「ホモネタ」の部分である。パート1では捜査の重要証人であるジュリー(ティア・レオーニ)を保護する行きがかり上でマイクの振りをしなくてはならなくなったマーカスが彼女をマイクの家に匿うのですが、マーカスの「自宅」という設定になるその部屋にはマイクの写真が山のように飾ってあり、ジュリーが「いくら相棒だからってどうしてこんなに彼の写真を?あんたたちゲイなの?」と誤解するシーンがあった。パート2ではもっと手が込んでいて、冒頭部分の銃撃戦でマイクがマーカスを守ろうと撃った弾がマーカスの尻もかすってしまい、そのショックでマーカスは一時的に勃起不全になってしまうのですが、それをクヨクヨ悩むマーカス(妻帯者)が現場から押収したビデオカメラをチェックするためにカメラを持ち込んだ電化製品店(どうして署に持って帰って確認しないのか、という納得できる説明はなし)の撮影スタジオでマイクに自分の悩みを切々と訴える(マーカス「あの晩からケツが痛くて」マイク「ああ、オレたち夢中になってヤリすぎたな」)会話の様子が店内の全てのモニターで放映されてしまう、というやつ。

まあこのパート2ですら『ブロークバック・マウンテン(2005)』よりも古い映画なので今こんな事をやったら炎上必至な要素も当時は観客の皆さん大爆笑、で終わっていたのだろう。2003年当時の自分がコレをリアルタイムで観ていたらどれほどの痛手を被ったかどうかは今となっては何とも言いようがないですが、今(初めて)観た感想としてはこの2人はこのまま手コキくらいしてもいいんじゃねえ?くらいのもんで不思議なことに嫌悪感は感じない。舞台がマイアミなせいか肌の露出度もかなりなもので、何つうか男二人がじゃれ合ってるようにしか見えないのだ。ともあれホモソーシャルとホモセクシュアルの間にはそれほど厳然たる壁があるわけではないのだ、と皆さん薄々感づいてきたのがこの20年、なのであればそれも悪くない進歩だと思う。やはり『ムーンライト(2016)』を通過したあとの第3作め『バッドボーイズ フォー・ライフ(2020)』が「ホモ」「ネタ」をどう扱っているのか(あるいは引っ込めたのか)はいずれ確認しておかねばなるまい。

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