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重量物持ち上げ動作 〜身長による椎間板への影響〜

皆さん、お疲れ様です。
北海道千歳市で理学療法士をしている澤野です。
本日は前回ご紹介した論文の続きになります。
前回の記事は下記のリンクからどうぞ。

今回は重量物持ち上げ動作の身長による椎間板への影響についてです。

前回同様、重量物持ち上げ動作において身長の違いが下部腰椎(L5/S1)椎間板圧縮力に与える影響をデジタル人体モデルを用いて椎間板圧縮力を推定して評価した報告です。

1.身長の違いが持ち上げ動作時の椎間板へ与える影響

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男性は160㎝・170㎝・180㎝、女性は150㎝・160㎝・170㎝を比較した結果です。

男性モデルでは170㎝と180㎝の椎間板圧縮力が160㎝よりも高くなり、女性モデルでは170㎝の椎間板圧縮力が150㎝と160㎝よりも高くなったという結果です。

以上より、身長の増加に伴い椎間板圧縮力が増加しています。

2.身長の違いによる体幹前傾角

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上記は足から荷物までの距離が35㎝、床から荷物までの高さが60㎝、荷物の重さが1kgの男性モデルの身長による作業姿勢の変化を示したものです。

体幹前傾角は160㎝・170㎝・180㎝においてそれぞれ32°・35°・40°であり、同じ作業位置であっても体幹前傾角が身長とともに増加します。

茅原 2019 , 日本機械学会論文集

以上より、重量物持ち上げ動作において、身長高くなると椎間板圧縮力も大きくなるいった報告です。これは身長が高くなると重量物を把持するまでの距離が長くなるため、身体をその分曲げないといけないことが考えられます。この体幹前傾角が増加するとその分持ち上げるために腰の筋肉を活動させなければいけないため、椎間板圧縮力が増加します。

身長を考慮した腰痛予防観点からの持ち上げ動作対策としては、身長に合わせて台を用いるなどで床面を高くすることが考えられます。全て同じ床からではなく、高身長の方へはその分床面を高くするといった対策は必要と考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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