お嫁に(行って)おいでよ

あの娘
およめにいっちゃった あの娘

じぶんで ごはんなんか つくったことなくて
すきなひとに ふられて ないていた  あの娘

この先 きっともうない できごと
それが すこしだけ さみしいよ

ねごとのこえが おおきくて
てをたたきながら よくわらう
ひとを うけいれる つよさをもつ 
それだけは かわらない あの娘

どうか しあわせになってね
いつまでも だいすきな わたしのともだち

◎◎◎

先日北海道に住む
友人の結婚式に行ってまいりました。

いちばん冒頭の部分、
告白みたいな文章になってしまいましたが
あれは「およめにいっちゃった あの娘」
という題名の詩です。英語で言うとポエムです。かいたのわたしですが。ポエム、というよりやっぱり詩の方がしっくりくるな。

下心でみてるわけじゃなくて、ほんとうにだいすきな友人なんです。

友人のウェディングドレス姿を
みてからずっと、
(あぁ、本当にお嫁にいってしまったな)と
なんともいえないうれしさとさみしさがあり、
受付の時点で泣いてしまいました。

◎◎◎

彼女は学生の頃からのわたしの友人。わたしも彼女も東京で生まれ、東京で育ち、東京の学校で出会いました。

彼女の旦那さんが北海道で仕事をすることになり、1年くらい前からいっしょに北海道でせいかつを送っているみたいです。

そのときは背中を押せたのに
なんだかいまはさみしい。

◎◎◎

わたしの家に何度か泊まりに
きてくれたとき。

駅から歩いて下手すれば20分以上かかってしまう道を、「まだ着かないの?」も言わずに
いっしょに歩いてくれた、あの道。

学生のときにあった拙い悩み、
いまでも葛藤する自分の性格の話、
あまりひとに話せなかった恋愛の話など
いろんな話をしました。


わたしは彼女から
「言葉にしないこと」がだれかを救うこと
だと教わった気がします。

しかも、彼女の放つ言葉はひとを傷つけず
肩をたたくようなものではなく
ひたすら心にそっと鎮めるものばかりでした。

洗面台も風呂場も寝具も
きちんときれいにつかってくれた彼女。

ひとにもモノにもていねいなひとには、
幸せがとても似合う。

きっとこのひとは幸せになれるひとだな、
と朝から変なポーズをかましてくる彼女を見ながら思ってました。

空港まで笑顔で、見送りに行きました。

◎◎◎

去年、北海道で地震がおきて
各所停電になってしまったとき。

心配になり、すぐ連絡を取りました。
そのとき「帰りたい」を口に出さなくて、
ああ、彼女はもう北海道に行ってしまったんだな、とそこで実感しました。

SNSに北海道の星空の画像をあげている人を見て「現代は星より電気だ」と怒っていた彼女。

彼女は誰かに流されることなく
ちゃんとものごとに対して怒れるひとで、
感動しすぎて笑ってしまいました。
あまりにも、彼女らしい怒りで。

そんなとき、星があまり見えない代わりに街灯がやたらと煩い東京にわたしは居て、何もしてあげられませんでした。

旦那は仕事で居なくて、電気のつかない部屋に、ひとり。知り合いもいない土地で。
心細くないわけがなかったよなァ、きっと。

そんなことを思い出したのも、
結婚式で泣いた理由の1つです。

◎◎◎

友人の結婚をさみしい、なんて表現するのは良くないことはわかっていますが。

なんだかひとつの時間が、やっと終わった気がして、やっぱり、どうしてもさみしい。

ついていく、と言った彼女の決意の固さは、
弱音を言わなくなったことから
とてもよくつたわりました。

わたしとふたりで、人生において何が大切か、とか答えのないことをあーだこうだ話してた時間は終わって、先に答えを見つけて行ってしまった気がしました。おいてかないでよ。

ウエディングドレスには、何だか誰にも触れさせないような気高さがあって。ありきたりだけれど、ほんとうにお姫さまみたいで。距離ではなく、ただひたすらにずっと遠い存在になってしまった気がしました。

◎◎◎

北海道は鬱になる人が多い、という話を聞いたことがあります。


窓の外を眺めていると
自分の未来と雪景色を重ねてしまい
自分の未来には何もないんじゃないか、と
思いつめてしまうらしい。

彼女にとって、ふたりにとって、
あのまっしろな雪景色が
ただの、まぶしいくらいのひかりでありますように。ぐるぐる悩んだあとに、答えを見つけたようなまっしろな光。


結婚式が終わると、わたしは小樽の海辺に向かった。月がきれいで、あの有名なナントカとかいう大きい船をみつけました。

真っ暗で冷たい風がわたしの足元をすくおうとしていて。月と船の光がとてもまぶしく、
彼女の万福を祈らずにはいられない夜。

どんなにあたりが真っ暗でも、
彼女と、彼女の大切なひとには、この光がふりそそきますように。このまっしろな未来や幸せが。


そんなことを祈っても、ポケットの中で外れたリップバームの蓋が、わたしをひたすらに待っていたのでした。


◎◎◎

読んでくれてありがとうございました。

幸せになったんだね、というきもちと
幸せでいてね、というきもちと。







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1996年生まれ 広告制作会社で働いてるタフなメンヘラです。とてもたくましい生き方を綴っております。見習ってください。
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