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ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ集『AOSニチョームキャンペイグン』第7話Bルート『モーター・ドリヴン・ブルース』

この記事はニンジャスレイヤーTRPG第2版においてのロングキャンペーンシナリオの第7話Bルートとなります。各種データ等はDHTLS公式の定めるガイドライン内において、自由に使用・改変していただいて構いません。データには多分にプラグインデータおよびデータ実験場のβ段階のデータが含まれるため、NMおよび参加者はTRPGメンバーシップへの加入を推奨します。

なおキャンペイグンのまとめページはこちら

この記事では以下の素材集の立ち絵を使用させていただいています


◆シナリオサマリー◆

◆モータードリヴン・ブルース◆

参加人数:4人
推奨名声値:11

◆あらすじ◆

ネオサイタマ各所でオナタカミ重工を狙ったツジギリテロが頻発していることをナンシーが掴んだ。犠牲者も多く出ているが、ハイデッカーはこれを握りつぶし黙殺している。調査が必要だろう。

◆シナリオ本編◆

NMは基本的にシナリオは以下の文を適宜読み上げつつ、PCたちのRPに合わせてアレンジやアドリブを入れていけば問題ない。

◆モータードリヴン・ブルース◆

◆絵馴染◆

あなたたちはナンシーに呼び出され、絵馴染に集合していた。

例の赴任してきた監督官ヤイミ・コナギバはこまごまと様々な『監督官令』をつくり、ニチョームの動きを縛ろうとしているがあくまで指導という名目なので法的拘束力がないため、ハイデッカーの目の前以外でそれを守ろうとする者はいない。つまり、今のところはあまりニチョームは変わっていないのだ。

「……ではまず、依頼の前に知識のすり合わせをしておくわね。『フルタマ・プロジェクト第一区画』の事件。どの程度知っているかしら?」

NMはPCにRPを促しつつ以下の文を読み上げる

フルタマプロジェクト第一区画事件。最近では比較的センセーショナルな事件だ。オムラ社の旧プロジェクト区画事業を引き継いだオナタカミ社に対し、その住人がイッキ・ウチコワシ残党らと結託して労働環境是正や住居権完全引き渡しを要求する交渉のさなかに謎のテロリストが乱入。双方に多数の死者を出した事件である。現場に残されたカメラ映像には画質こそ荒いがオナタカミ側のモーターヤブ再び改善と戦闘の後、デモ隊にも襲い掛かる大型機械の姿が捉えられている。

「生き残ったデモ参加者の証言では、謎の大型機械は『オムラ・インダストリ』の社章を空中にホロ投影したという情報がある」

旧オムラ・インダストリは本社要塞をイッキウチコワシ及びオナタカミ社ら反オムラ連合に制圧されたことにより倒産したことは記憶に新しい。それらの大半の資産はオナタカミ社に接収されたと聞くが……

「大型機械が現れたのは、この一件だけではないわ。私はマッポのデータベースを『拝見』したけれど、どうやら何件かのツジギリ事件でこの大型機械出現の記録があった。といっても、ハイデッカーはこれを握りつぶしている。誰の目にもハイデッカーが完全にマッポの代わりに治安維持をし始めたのに、そのはじめで大きなゴタゴタを起こされたから、それを広めたくないんでしょうね。まったく……」

「これはオナタカミ社に吸収されることをよしとしなかった旧オムラ派によるものだと私は睨んでいる。ツジギリはオムラは死んでいないとアピールする以外にも反オナタカミ、反ハイデッカー勢力へのプレゼンテーションみたいなものでしょうね」

こうしたハイテック機械を動かし続けるためには継続したメンテナンスが必要だ。例のツジギリ機械の背後にはナンシーの言う通り確実に旧オムラ派が絡んでいる。何を企んでいるかは知らないが……この調子ではろくなものではあるまい。

「正直言って、今のニチョームはこの件にかかわっている余裕はない。ないけれど……見過ごしては置けない。私と、それに『私の助手』はね。紹介しておくわ。ユンコ・スズキ。いろいろあって最近ニチョームに来てもらった。私の助手としてね」

「ドーモ。ナンシー=サン、この人たち? あんまりシャキっとした感じには見えないけど」


「そういわないで」

と、いつのまにか絵馴染の入り口によりかかってサイバーゴスめいた少女が立っている。全身がサイバネなのは見るものが見ればすぐにわかるだろう。

「これ以上ツジギリ被害が出るのは見過ごしては置けない。だからこれは私とユンコ=サンの個人的なお願い。このツジギリ機械を破壊して旧オムラ派の目論見を暴いてほしいの」

「………この件に関しては私も調査に加わるからね。おいてかないでよ」

ユンコなる少女はおそらく最初はナンシーに自分が調査するとでも言って止められたのか、自分ひとりでもできる、という風に不満そうではあったが一応ナンシーをソンケイしているのかおとなしくしている。

NMはPCの返事を待つ

「いい返事ね。それではまだ話していない、クリティカルな情報をあなた達に話そうと思うわ」

UNIXに一人の人物の画像が映し出される。それは童顔の大柄な男が歩いているところを撮影したもの。町工場の薄汚れたツナギ制服めいたものを着ており表情は陰鬱としている。さらにもう1枚、同じ人物。しかしこちらは企業などの重役の紹介写真めいて髪形などが整えられており、宇宙服めいたオムラ雷神紋入りパワードスーツ。笑顔がまぶしい。

「元オムラ社のCEO『モーティマー・オムラ』。彼は公には本社要塞陥落時に行方不明となっているけれど、最近とある工場街で彼に酷似した人物の目撃情報がある」

「軽く身辺を洗ってみたところ、モーティマー・コズマという名前で真面目に工場勤務をしているみたいね。彼が黒幕とは思えないけれど……旧オムラ派と何らかの繋がりがある可能性がないとはいえない。探ってみてくれるかしら?」

「彼はアサガオという小料理屋によく顔を出すみたい。そこを狙うのがハヤイと思うからよろしくね」

「じゃ、さっそく行こ。時間惜しいしね」

こうしてあなた達は、ユンコと共に工場区画へと向かった。

◆工場区画・小料理屋アサガオ◆

アサガオ。厳密には工場区画に隣接する隣区画にあるこじんまりとした小料理屋。あなた達が店内に足を踏み入れるといらっしゃい、という女店主の声とミャオーウーというデジタル招き猫の鳴き声。

「アラ? 5人も? 珍しいわね。狭い店で悪いけれど、ギリギリはいるかしら」

店主があなた達に適当な席に座るように促す。そして店の奥には……背中を丸めるようにしてカレーライスを口に運ぶ大柄な男。YCNANに見せられた写真に間違いない。モーティマー・オムラだ。

「ご注文は?」

あなたたちにお冷が出される……

モーティマーに探りを入れよう。観察し、警戒されないようにアサガオの店主やモーティマーに話しかけ、旧オムラ派の行動について何か知らないか探りだすのだ。

NMは店主アサガオおよびユンコのRPをしつつ、PC主導でモーティマーを探らせる。基本的にPCがモーティマーに対して声をかけオムラや事件の事を聞いたりした時点で以下に進むがPCたちが慎重になり、なかなか進行しないようならモーティマーを店から退出させ、追うと既に逃げるように走っていくなどとするといい(明らかに作業員ではないPCたちを怪しんだのだ)

その時だった。

「ウオオーッ!!!」

席に座っていたモーティマーがアメリカンフットボール選手めいた猛烈な勢いで立ち上がり、店の外へと転がり出る!

「逃げて!」

同時、あなた達にカウンター越しにコショウが振りかけられた!ゴボボーッ!咽る!その間にも逃げるモーティマー!

追え!

モーティマーはモータル。そしてあなた達はニンジャ。その身体能力には絶望的なまでの隔たりがあり、あなた達はすぐさまモーティマーに追いつくかと思われた。しかし、その時、ふいに戦闘機めいたするどいジェット推進音!

「インダストリ!」

横から!奇襲!わき目もふらず逃げていくモーティマーはそれにすら気づいていないのか、ぐんぐん距離を離していく!

PCたちは回避判定U-HARDを行う。回避できなかった場合1ダメージ+電磁1のダメージを受ける。回避ダイスはイベント後即座に回復する。

「もしや社長から情報を聞き出そうとする者がいるかもしれぬと目を光らせていたが……現れてしまったか。ドーモ、クラウドバスターです」

アイサツ!ニンジャだ!挨拶をされればアイサツを返さねばなるまい!

「ニンジャ……!」

ユンコの目にオムラ雷神紋が憎悪と共に浮かび上がる。

「一体、何のつもりだ……! ファック野郎!」

「モーティマー社長はモーターツジギリには関係ないということだ。すべては新社長の意向。我々はそれに従う。オムラは滅んでいない」

「この件から手を引け。さもなければおまえを無慈悲に断固粉砕する」

「つまりモーティマーは関係なくとも、アンタは関係あるってことね。OK」

ユンコの全身の放熱板が開き、圧縮空気が吐き出される。キュイイ、とモーター駆動音。

「あんたを叩きのめして、インタビューする……!」

NMはマップ『アサガオ近辺』を開示する(コピーして使用してください)。自作する場合は町中の通りというイメージ。特にギミックはない。NPCデータは以下の通り

・ユンコ・スズキ
公式NPC集を参考の事

・クラウドバスター
以下を参照のこと

・クローンヤクザY-13型
以下を参照のこと

◆戦闘中イベント集◆

◆ターン1開始時◆

「スッゾ!」「指差し確認スッゾ!」「ザッケンナコラーッ!」「72時間働いた」「スシが効く」

道路からもクラウドバスターに遅れて挟み撃ちするようにオムラ作業服クローンヤクザ!

◆クラウドバスター撤退(体力が半分or撃破)

「グワーッ!」

あなた達の強烈な一撃を受けたクラウドバスターが破砕サイバネパーツをばらまきながら空中で720度回転。かろうじてオムラ姿勢制御スラスターで体勢復帰。

「ジリー・プアーか……撤退する……!」

クラウドバスターはかなわぬみるや、即座にブースター出力全開……高速で空に向けて舞い上がり、あっという間に見えなくなった!

NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報

クラウドバスターは原作第1部マシン・オブ・ヴェンジェンスに登場したニンジャでありコミカライズ版の第1話でもあることから知っている人も多いだろう。

基本的にオムラ・インダストリへの忠誠心が高く、このCPでは特段邪悪でなくあくまでオムラ・インダストリに指示に従っているだけのニンジャとして描写している(原作でもモータルであるはずの鬼瓦ツェッペリン搭乗員に向けてサムズアップしたり奥ゆかしい)。PCをバトウするよりはおのれの性能を誇ったり、データ採取行動を行う、ユンコに攻撃する際はスズキ・マトリクスやモーターカワイイフレームなどに反応するなどするといいのではないだろうか。戦闘時は、基本的には切り裂き移動→電磁クローで近接攻撃を繰り返す。(上空退避はノダチやチェーンソー使いのPCがかなりきつくなるため)

クラウドバスターは後も登場するため爆発四散させないこと。

よりクラウドバスターのキャラ造形を深めたければ以下にキャラ背景などの記述がある。

◆戦闘終了◆

「ファック……逃げやがった……!」

ユンコは空に向けてマイクロミサイルやらザップガンやらを連射していたが、射程距離外に出るとクソ!と拳を打ち合わせる。

「ん……?」

と、クラウドバスターの破砕した装備の欠片から何か小さなチップのようなものをみつけ、拾い上げた

「オムラ・インダストリの生体ICチップだ……」

「オムラの社員は全員、このICチップをインプラントしたり装備に身に着けてるの。24時間ずっと製品データを取ってフィードバックするために。イカれてるよね」

当然、アタシはそんなダサいのは切除したけど……というユンコ。

「……これ、解析すればヤツがどこからきたか、ぐらいは分かるかも」

代表者一人がハッキング判定HARD。この判定は何度でも判定できるが、失敗するごとにハッキング者は精神1点のダメージを受ける。
◉知識:ハッカーの流儀、◉知識:重工業メガコーポ ◉電子ウイルスなどを持っている場合ダイス+2のボーナス。(その他はNMが判断する)

成功後、以下に進む

パワリオワー!データ吸出しが完了! 戦闘中に破損してしまったようだが、かろうじてIRCの通信ログが復元できた。

cloudbuster_OMR:モータースゴサ完成オメデトゴザイマス。
cloudbuster_OMR:もうローンチ日時は決定済みですか?
OMR_TAISA:はい、モータースゴサ出撃準備完了しています。
OMR_TAISA:XX日XX時に出撃です。
OMR_TAISA:オナタカミガスタンク施設襲撃予定な。
cloudbuster_OMR:了解しました……しかしオナタカミの施設ですのでモータートラが配備されているのは理解できますが
cloudbuster_OMR:一般の技術者や作業者もいるはず。それらに被害を及ぼすのは……
OMR_TAISA:クラウドバスター=サン。私もにっくきオナタカミに属するとはいえ同じ技術職を志したものを害するのは心苦しい!
OMR_TAISA:しかし、ここでオムラの破壊力を見せることで各所から流れ込む……大量のマネーが。ビッグバジェットだ。
OMR_TAISA:V字回復には実際、資金が必要なんだ。わかるね。それにはデモンストレーションがいる
OMR_TAISA:ここでくじけてはいけない。強い心と愛社精神を持ち、やりとげるんだ
OMR_TAISA:そうすれば新社長の元、オムラは再び蘇る!
cloudbuster_OMR:ハイ……

「……黒幕がいる、ってワケね。モータースゴサか。例のツジギリ機械の名前かな。とりあえず襲撃の日時、場所もはっきりと分かった。」

「準備をして、待ち構えよう。これ以上バカみたいなツジギリテロを許すわけにはいかない」

こうして、あなたたちはICチップから次のツジギリ機械出現の情報を掴み、待ち伏せを行う事となった。

「………………」

そして、さらにそれをあなたたちに一切気取られることなく物陰から見やるものがあった。

◆モータースゴサ戦◆

◆ 3日後 ◆

あなたたちはオナタカミ社の所有であるガスタンク施設の近くで何の気なしに時間を潰していた。川沿いの土手際に建てられたこの施設は、市街地にも程近く周囲にはカラテランニングをする男や、買い物帰りとみられる親子などの姿も見られる。

NMはここでややRPを挟んでも良い

こんなところでガスタンク施設が爆発すれば、大きな被害が出る……あなた達がそんなことを考えていた時であった。

SPLAAAAAAAASH!!!突如川の水が爆発するかのように立ち上り、何か巨大な影がそこから飛び出したのだ。クオオーン、クオオオオン。唸るような駆動音を発しながら陸に上がったそれは右手はドリル、左手はおそらくハニカム式のロケットランチャーとなっておりモータードクロ以上の大きさだ!

その巨大機械は二足歩行しながらフェンスをなぎ倒し工場内侵入!

KABOOOOOOM!

宿舎や工場施設に手当たり次第にランチャー連射!逃げようとする従業員をドリルゴア殺戮!いけない、止めなければ!

「やめろーーーッ!!!!」

素手にユンコは、ZAPガンを連射しながら駆ける! あなたたちも巨大ツジギリ機械へと勇敢に駆け寄る!

「ドーモ。モータースゴサです。圧倒的プレゼンテーション中でありあなた達の降伏は認められません」

NMはMAP2オナタカミ施設を開示する(コピーして使用してください)。3日経過しているため、もしクラウドバスター戦で体力などを消費していてもニンジャ回復力で回復した、あるいは修理・補給したと見なし即応ダイス・緊急回避ダイス含めすべてのリソースを回復する。データは以下の通り

◆モータースゴサ (種別:ロボニンジャ/戦闘兵器/大型1×1)
カラテ    12  体力   20
ニューロン  5  精神力  -
ワザマエ   12  脚力   6
ジツ     0  万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  12/12/5/5
回避/精密/側転/発動  -/12/-/-

◇装備や特記事項
ドリルアーム 攻撃難易度N ダメージ2点 連続攻撃2 【6,5】でサツバツ発生
オムラ・ガトリングガン 射撃難易度N ダメージ2 連射3 バースト3×3 時間差
ハニカム式マルチランチャー 射撃難易度N 爆発(カトンLV2)連射3 マルチターゲット 時間差
・サツバツ耐性 サツバツを受けた場合それを痛打D3ダメージに変換する。即死の場合はD6となる

・戦闘データ蓄積 ???

戦闘データ蓄積は後のモーターガッタイ・モーターカネダ戦にて、PCたちの使用した常時強化系以外のスキル、移動スタイル、戦闘スタイル、射撃スタイル、ワザ、ヒサツ・ワザをコピーして使用するものである。なのでNMは何が使用されたかメモしておくこと。ただし、条件を満たしている必要がありたとえばモーターガッタイはナガユミを持っていないのでタツジン:ナガユミのスタイルやヒサツ・ワザを使用することはできない。基本的にコピーできるのはトライアングルリープや素手系タツジンの戦闘スタイルとなるだろう。

◆モータースゴサ戦後・調査◆

「ピガガガガガーッ!!!! サヨナラ!!!!」

モータースゴサはあなた達の攻撃を受け爆発四散!無数のパーツがあたりに飛び散る!あなた達はその中に、前回と同様のICチップを見止め、拾い上げた。

代表者一人がハッキング判定HARD。この判定は何度でも判定できるが、失敗するごとにハッキング者は精神1点のダメージを受ける。
◉知識:ハッカーの流儀、◉知識:重工業メガコーポ ◉電子ウイルスなどを持っている場合ダイス+2のボーナス。(その他はNMが判断する)

成功後、以下に進む

パワリオワー!データ吸出しが完了!

「これは……オムラの秘密工廠の位置が記されてる。間違いない、このツジギリ機械はこの工廠から出撃している……!」

「待ってまだデータが……これは、モーター三天使? 違う、このプロダクトの最終完成形は……モーターオムラ?」

ユンコがいぶかし気に声を上げる。

「……これだけだと何とも言えない。データが意図的に断片化されている。だけれど」

「このモータースゴサにはサスガ、そしてカナリという同系統機が既に存在するっぽい。つまり、あと2機残っている……」

「とにかく、敵のアジトが分かった。行こう。オムラの秘密工廠に」

あなた達はユンコの言葉に頷き、オムラの秘密工廠を目指す……!

◆オムラ秘密工廠◆

オムラの秘密工廠は運送会社の敷地めいたものに偽装されていた。モヌケ・エンタープライズ集約センター。

あなたたちは警備の隙間を縫って、内部に突入。といっても、さほど人員が多いわけではない。偽装している以上、物々しい警備が逆にできないのだ。エレベータに乗って地下へ。そこは地上敷地よりもなお広大さを感じさせる空間でありゴウン、ゴウン、とインダストリアルな機械音がそこかしこから響いてくる。

「スゴイ設備……これが、オムラ……」

通路脇に掲げられた「努力目標」「安全帽はあなたを守るので」「V字回復」などのショドーが掲げられた通路を抜け、ガレージを見下ろす!

忙しそうに行きかう作業員やフォークリフト。それだけではない!
鎮座する巨大ツジギリ機械!破壊したはずのモータースゴサの姿さえある!

「どうですか!我が社の生産施設は!イヤーッ!!!」

と、あなた達の背後からカラテシャウト!アンブッシュだ!

PC達は回避判定U-HARDを行う。回避できなかった場合1点のダメージを受ける

「ドーモ。はじめまして。私がオムラ・インダストリCEO……」

「カネダ・オムラ。同時に、プロダクト名、モーターカネダです」

「モーターカネダ!?」

そこにいるのは一人のニンジャ。クロオビを巻き、同様に黒い道着、これ見よがしにはだけ見せつけられる上半身の鍛え上げた胸板には雷神の刺青。鼻から下を黒いメンポで覆い、埋め込み式サイバーサングラスが光る。しかしところどころには排熱口がありそこから圧縮蒸気を吹いている!

これは……重サイバネ!? いや、ちがう!ロボニンジャだ!モーターヤブやドクロよりも圧倒的に洗練された!

「フー……」

モーターカネダと名乗ったそれは懐のタッパーからオーガニック・トロマグロ・スシを取り出すと……咀嚼! なんたる人間味……!

「これがインダストリであり、テックだ。魚すらも咀嚼し消化するボディ……わかるか。たゆまぬ改善と進歩……その夢をだな、絶対阻害したらダメ!ダメなんだよ」

「魚が食べられるからどうしたよ。だからって人を殺してまでするツジギリを正当化するな!」

「フン……クンクン嗅ぎまわるネズミめ……貴様らの潜入はすでに察知済みだ。いや、むしろお前たちはここにおびき寄せられたのだ。モーター三天使のデータ収集のためにな……ユンコ・スズキ。君は特にだ。知性マグロをよくもサシミにしてくれた。彼は我々の同志だったのに……まあいい、さっさと解体して君の中にあるスズキ・マトリクス理論を解析させてもらう」

「……やっぱり。あんたもあのファック野郎のお仲間だったわけね。OK、ブチのめす」

「CEO!」

その時、下のガレージで技師たちのチーフめいた男……タイサ=ルニヨシが叫んだ。

「モーター三天使、起動準備総じて緑です。いつでも起動できます!」

モーターカネダの目がサイバーサングラス越しにもわかるほどの光をはなった。同時、モーターカネダは連続側転を打ちながら下のガレージに飛び降り……モーター三天使と呼ばれた機体の一機のコクピットめいた空間に収まる!

「合体シーケンスにはオムラ認証が必要です!IRC承認を!」

「オムラ血族指紋認証! アルティメット・レベル・ガッタイ……!」

「「「ハイヨロコンデー!」」」

すかさずモーターカネダはIRC承認!すると、モーター三天使……スゴサ、サスガ、カナリはガッタイシーケンス開始! カナリを中心に、左右にスゴサとサスガがパーツめいて収まる! 流れるようにスムーズな進行。これがテックだ! 悪魔的殺戮兵器が今ここに完成する……!

「アイサツ機能は未実装ゆえ紹介してやる。これが三天使の殲滅形態!モーターガッタイだ!」

「ウオオーンン……」モーターガッタイが恍惚じみた呻きを漏らす。電子音ではない。接合したパーツ同士が軋み、怪物の声のように聴こえるのだ。

「「オームラ!オムラ!オームラー!」」
「「オームラ!オムラ!オームラー!」」
「「オームラ!オムラ!オームラー!」」

完成したモーターガッタイを前にしたオムラ・エンジニアたちは神の降臨を目にしたかのように感涙し、オムラ・チャントを繰り返しながらバンザイを繰り返す。

「これだけではないぞ。我々に油断はない。曲がりなりにも一度はクラウドバスター=サンを退け、モータースゴサまでもを破壊したのだからな。貴様らを処刑するために我々は最高戦力を用意した」

鋭いジェット推進音!天井の高い秘密工廠内を自在に飛びながら現れるクラウドバスター!

「ドーモ、クラウドバスターです」

そして!奥の隔壁が開き、そこから歩み出る全身機械化戦闘兵器ニンジャ。額に輝くオムラ雷神紋。

「ドーモ、ネブカドネザルです」

「結論から言ってやろう。貴様らは死ぬ!」

このテックの怪物たちを……倒す手段はあるのか!?

NMはMAP3『オムラ秘密工廠』を開示する。(コピーして使用してください)自作する場合は地下秘密基地のガレージをイメージしてください。なお、タイサ・ルニヨシおよびオムラ・エンジニアは背景であり行動しないし、攻撃対象にもできない。データは以下の通り。

・ユンコ、クラウドバスターは既に掲載したものを使用する。

◆モーターガッタイ (種別:ロボニンジャ/戦闘兵器/大型1×1)
カラテ    16  体力   100
ニューロン  7  精神力  -
ワザマエ   14  脚力   6
ジツ     0  

攻撃/射撃/機先/電脳  16/14/7/7
回避/精密/側転/発動  -/14/-/-

◇装備や特記事項
ゴリラアーム 攻撃難易度N ダメージ3点 連続攻撃3 弾き飛ばし
胸部ハニカム式ロケットランチャー 射撃難易度N ダメージ2 連射3 時間差
マルチプルロケット弾 移動フェイズに使用可能。任意の1地点にカトンLV3相当の爆発を発生させる
歯車の盾 軽減1

・サツバツ耐性 サツバツを受けた場合それを痛打D3ダメージに変換する。即死の場合はD6となる。

・戦闘データ蓄積
モータースゴサ戦およびこの戦闘中にPCが使用した常時強化系以外のスキル、
移動スタイル、戦闘スタイル、射撃スタイル、ワザ、ヒサツ・ワザを使用できる。
◆ネブカドネザル(種別:ニンジャ/重サイバネ化/戦闘兵器)
カラテ    13  体力   29
ニューロン  14  精神力  -
ワザマエ   14  脚力   10/N
ジツ     0 

攻撃/射撃/機先/電脳  19/25/19/22
回避/精密/側転/発動  24/20/24/-

◇装備や特記事項
LAN直結ヘヴィマシンガン レールガン
サイバネアイLV4+高性能赤外線ターゲッター+全方向監視アイ+マルチロックオン照準+回避パターン解析プログラム
テッコLV4+内蔵型赤熱チェーンブレード×2
クロームハートLV4+ジェットパックユニット+ヘヴィウェポンマウント+オムラニウム・フレーム
ヒキャクLV4+ブースターカラテユニット×2+脚部バーニアユニット+脚部内蔵型マイクロミサイルポッド
生体LAN端子LV4+ファイアウォール×3+ニューロン・ブースター
◉重サイバネ化 ◉戦闘兵器化 ◉空中制動 ◉タクティカル移動射撃 ◉頭上からの死 ◉忠誠心:オムラ×3
◉キリングマシーン ◉グレーター・ツジギリ ◉コアフレーム完全制御 ◉全火力展開 ◉狂気:オムラ×2
◉知識:重工業メガコーポ(オムラ)◉知識:大型兵器 ◉知識:サイバネティクス
◉知識:テックガジェット ◉知識:モーター理念

LAN直結ヘヴィマシンガン、レールガンは以下を参照

内蔵型赤熱チェーンブレード×2等の各種サイバネは以下を参照

◆タイサ・ルニヨシ (種別:モータル)
カラテ    1  体力   1
ニューロン  5  精神力  9
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     – 

攻撃/射撃/機先/電脳  1/4/5/5

◇装備や特記事項
◉忠誠心:オムラ×4 ◉狂気:オムラ×5
◆オムラ・エンジニア (種別:モータル)
カラテ    1  体力   1
ニューロン  3  精神力  5
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     -

攻撃/射撃/機先/電脳  1/3/3/3

◇装備や特記事項
◉忠誠心:オムラ×2 ◉狂気:オムラ×3

タイサ・ルニヨシおよびオムラ・エンジニアは背景であり特に行動せずターゲットにも出来ない。ただ、戦闘時に味方が優勢ならオムラチャントしたり製品の性能を誇示したり、劣勢であれば責任を取るためセプクしたりカロウシしたりするといい

◆戦闘中イベント集◆

◆ターン3開始時orクラウドバスター撃破後のイベント◆

「オームラ、エエーッ!?」

チャントが乱れた。エンジニアがどよめいた。……人知れず上に上がっていたリフトエレベーターが、ガレージに戻って来た。その者を載せて。

「お、お前ーッ!?」

タイサがその者へ指を突き付けた。

「なん、何でここにまた来やがった!」

彼は泡を吹きながら人さし指を繰り返し突き付ける!

「カエレ!カエレ!」

エンジニア達が悲鳴じみてそれに和した。
しかしクラウドバスター、そして機械じみたネブカドネザルはあきらかに狼狽え、呟く。

「社長……!」「ボス……」

「カーエーレ!カーエーレ!カーエー……ア……」

その者は……くたびれたパワードスーツの男は顔を上げた。モーティマー・オムラ。元オムラ社のCEO。その表情には様々な感情や、感傷がないまぜになっていた。今まで熱狂的にオムラ勢の活躍を見ていたオムラエンジニアたちすら黙らせるほどに、凄絶なアトモスフィアを纏った彼は。

「オムラは……カイシャはな……」

モーティマーはアメフト選手めいて肩から突進する!モーターガッタイめがけ!

「オムラは!終わったんだァー!ウオオーッ!」

ダクトテープで補修されたモーティマーの不格好なパワードスーツが悲鳴めいて圧縮蒸気を吐く。そしてモーターガッタイに取りつくと、装甲板の隙間に手を差し込む……いや、あそこにメンテナンス用パネルがあったのか!? 装甲板の一部が開く! オムラの製品の癖や規格を知っているからこそできる、ここにそういったものがあるであろうという推測からの行動だ!

「ピガーッ! 不確定インシデント対応重点!」

「グワーッ!!!」

KRAAAAASH!ドリルアームがモーティマーのパワードスーツを捉える!モーティマーは跳ね飛ばされた。そして床を三度バウンドし、ゴロゴロと転がり、倒れて動かなくなった。しかし!

「ヌ、ヌウーッ!!!?」「ピ、ピガッ、ピガッ!ピガガッ!ピガーーーーーッ!!!!」

モーターガッタイの動作に明らかに不調!悲鳴めいた電子音と煙を発しながら、片膝をつく!モーティマーは、クリティカルな電子部品を引きちぎっていたのだ!

「チィーッ……! 小賢しい真似を……しかし、壊れたならばまた直せばよい! 機械はそれができる!」

しかしモーターカネダはコクピットから飛び上がり脱出! 着地と同時に……両手にサイを構え、倒れたモーティマーに向けて駆けだした!

「もとはといえば貴様の愚かな経営でオムラはこうなったのだ! いまさらしゃしゃり出てくるな! 前CEO影響力排除重点!」

しかし!

「モーティマー社長がオムラ社の『解散』を宣言した以上……オムラは……終わりです。これ以上、あなたの指示を聞くことはできません。私はオムラ社員であって、あなたの奴隷ではない……」

「……ボスの意向に従います。オムラ社は営業を終了しました」

モーティマーを守るように立ちふさがるクラウドバスターとネブカドネザル!

「き、きさまらーッ!!!」

NMはモーターガッタイ、クラウドバスター、ネブカドネザルをMAPから取り除き、モーターカネダをモーターガッタイの代わりにMAPに配置する。データは以下の通り

◆モーターカネダ (種別:ニンジャ/戦闘兵器)
カラテ    16  体力   23
ニューロン  8  精神力  -
ワザマエ   14  脚力   8/N
ジツ     0  

攻撃/射撃/機先/電脳  16/14/8/8
回避/精密/側転/発動  16/14/14/-

◇装備や特記事項
●連続攻撃3 ●時間差 ●マルチターゲット ●連射3
サイ二刀流(装甲貫通1のカタナ二刀流と見なす)◉◉タツジン:二刀流
◉ヒサツ・ワザ:マサシズ・パニッシュメント
◉重サイバネ化 ◉戦闘兵器化 ◉回転斬撃強化 ◉グレーター・ツジギリ
◉オーバークロック ◉頑強なる肉体

◉サイ習熟

このニンジャはサイ二刀流による攻撃時に出目6で痛打+1を得る。
また以下の戦闘スタイルを使用可能。

戦闘スタイル:連続刺突

ワザマエで攻撃判定を行う。装甲貫通2。

◉◉ゼンメツ・アクション・モード
不如帰+???

◉戦闘データ蓄積

モータースゴサ戦、モーターガッタイ戦およびこの戦闘中にPCが使用した
常時強化系以外のスキル、移動スタイル、戦闘スタイル、射撃スタイル、
ワザ、ヒサツ・ワザを使用できる。

タツジン:二刀流およびマサシズ・パニッシュメントは以下を参照

また、◉オーバークロックは以下を参照のこと

『●不如帰』:このニンジャは不退転の決意を固めており、多対一の戦闘の中でも、
獅子奮迅の戦いぶりを見せる。 単独で2体以上のPCを相手に戦っている限り、このボスNPCは
1ターン中に2回の手番を得る。『一騎討ち』ルールと同様に、本来のイニシアチブ値で
1回目の手番が、イニシアチブ値の1/2で2回目の手番が回ってくるが、例外として、
直前の手番と同じ行動種別は選べず、同じターゲットも選べない。なお、ここでいう行動種別とは
「近接攻撃」「射撃」「ジツの使用」「その他の行動」である。 
「同じジツ、同じスタイル、同じ轢殺攻撃は連続使用できない。
このとき、スタイル宣言なし、もスタイルの一種とみなす
(つまりスタイル宣言なしの近接攻撃を2回連続では行えない
◉◉ゼンメツ・アクション・モード
●不如帰の効果に加え、体力半分以下で連続攻撃さらに+1(二刀流と合わさり連続攻撃5となる)、
近接攻撃ダイス+4。不如帰の効果は体力が半分にならずとも発動している

NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報

モーターカネダやタイサ・ルニヨシは原作3部モータードリヴン・ブルース、ネブカドネザルは原作2部ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ等に登場した人物である。基本的にはこれらの描写を参考にするとよい。

おそらく、まともにネブカドネザルと戦えるPCはこの時点ではおらず、またモーターガッタイも耐久力が高すぎて倒せないため、自然とまずクラウドバスターを撃破しよう、という流れになると思われる。クラウドバスター撃破および3T目開始時にイベントを発生させ、モーターカネダを登場させる。クラウドバスターおよびネブカドネザルは撃破されても死亡しない。

◆戦闘終了◆

CEO、カネダ・オムラは死んだ!オムラ血族のクローンバンクから、コールドスリープ者の脳と脊髄、指紋照合用の指先皮膚を摘出、オイランドロイド技術の延長状のサイバネボディに移植した理想的CEOは消滅したのだ!

「オームラ!オムラ!ハァーッ……ハァーッ……」

しかし!セプクしたり失禁し意識を失うものも多いオムラ・エンジニアたちの中一人のチーフエンジニアが。タイサ・ルニヨシがキーをたたく!たたく!たたく!

「オムラ……オムラ……V字ッ!回復ッ!イイ!オムラ!」

ネオサイタマ近海の座標へ、オムラ三天使の戦闘データが流れ込む。今回の戦闘データも実際役に立つ!100%は近い!

「オムラ!イイ!オムラ!イイーッ!」

キーを叩く!すさまじい速度!それはもはやテンサイ級にも迫りうる!入力データはモーターオムラ……必ずや。

「オムラ!……フー」

彼はデスクに両手を突き、うなだれた。モニタには「完了」の文字。

「後は任せたぞ、君たち。ガンバロ

KABOOOOOOOM!!!

UNIX爆発!タイサ・ルニヨシ爆死!それだけではない!秘密工廠のあちこちで爆発!崩落!

「グワーッ!?」「グワーッ!ボス!」

クラウドバスター、ネブカドネザル近辺でも!意識のないモーティマーが爆風で奥に追いやられる!

「「「オームラ!オムラ!オームラ!」」」
「「「オームラ!オムラ!オームラ!」」」
「「「オームラ!オムラ!オームラ!」」」

しかしそれでも、エンジニアたちの末期の叫びめいたオムラ・チャントは鳴りやまぬ!狂気!

「ヌ、ヌウウウウーッ!!!」

クラウドバスター、ネブカドネザルはモーティマーや社員を助けようとする!しかし既に崩落鉄骨や火災!

数人を助けるのが限度!さらに、悪いことに、モーティマーには近づけない!爆発!!!モーティマーが火炎に飲まれた!その時だ!

「サービスのサービスのサービスだ! 愚か者!」

爆炎からモーティマーを抱え飛び出る多色彩装束!オメガ!

「脱出せよ!」

脱出せよ!

BOOOOOOOM!BOOOOOOOOOOM!!!KABOOOOM!!!

KRA-TOOOOOOOOOOOOOOM!!!DOOOOOOOOOOOOOOM!!!!

オムラ秘密工廠が爆発炎上し、地面から火が噴き出す。地上施設が地下へと崩落していく。終わりだ。旧オムラ・インダストリ派の野望はついえた。あなたたちは少し離れた場所からそれを見ている。

「ハァーッ……ハァーッ……ちょっとだけついてきたこと、後悔したかも」

大の字になり方で息をするユンコ

「……爆発前にウルシ・ジツで鉄骨と扉をいくらか溶かした。しかしあの様子では何人が脱出したものやら」

オメガは当然のように無傷。

「ウ……」

オメガに地面に寝かされたモーティマー・オムラはすぐにゆっくりとその小さな瞳を開けた。生きている。あのパワードスーツがモーティマーの命を救ったのだ。だが、彼には何の喜びもない。

「……明日も仕事があるんだ。どいてくれ」

立ち上がったモーティマーは、虚無的に皆を見ると、バツが悪そうに頭を掻き……それから、大きな体を丸めて去っていく。その背中はひどく小さく見えた。

「……社長!」「ボス……」

クラウドバスター、ネブカドネザルはその後ろ姿に声をかける。一瞬おびえたように肩を震わせたが、モーティマーはそれを振り切るように歩き出す。

「待ちなよ……!」

さらに声をかけたのはユンコ!

「オムラが終わったって、なにさ……アタシの中じゃ、まだオムラもなにも終わってないんだよ! いつのまにか体が機械にされてて、変な連中から狙われて! 父さんも死んだ! 全部アンタの責任だろ! ほっぽりだして、一人ひっこもうとしてんじゃねーッ!!!」

「エ……アイエッ!?」

ぱしん。その声に振り向くモーティマーの顔を、ユンコが間髪入れず張った

「仮にもオムラのトップだったんなら……こいつらもどうにかしろ! それに、あんた自身だって、納得してないじゃん! 一度決めたなら、スタイル貫き通せよ!!! なんだんだアンタ!!!!」

「ア……ア……」

ぱしん。ぱしん。さらに2度。呆然と頬をおさえるモーティマー。その瞳の先には、その場にうなだれるクラウドバスター、ネブカドネザル、助け出された数人のオムラエンジニア……みな、涙を流している。文字通り自分の身をささげたオムラが終わったことを、理屈では理解しても、やはり感情では納得できないのだ。

「ど、どうすればいいんだよ……オムラは、終わったのに……」

「だから終わってない! ゼロになっただけ! ゼロからもう一度始めればいい! あんたの好きなV字回復だ!」

「V字……回復……う、お、ウオオオオオオーッ!!!!」

モーティマー・オムラは、泣いた

◆ 後日・ニチョーム ◆

オムラパーツ正規販売店が入っていたビルに、いくらかの資材が搬入されている。それらはわずかに残ったオムラ工廠の資材であったが、それだけでも今のニチョームにおいては貴重な最先端テック設備や部品の山だ。

「……やるだけ、やってみるよ。父さん」

ハシゴにのぼって、モーティマーが入り口の上にカンバンを掛ける。そこには力強い文字で『オムラ製作所』とショドーされていた

◆ モータードリヴン・ブルース ◆

おわり

◆余暇・セッション終了処理◆

NMはPC全員にセッション報酬を手渡す。万札・余暇等は
キャンペーンのレギュレーションに沿って各自設定してほしい。

なお、実際にこのキャンペイグンが行われた際の報酬は、
万札15、名声+1、余暇2日、知識・交渉スキルを1つ無償で獲得であった

◆シナリオ後の状況

ネオサイタマで大型機械による連続ツジギリ事件が発生。ハイデッカーは騒ぎにしたくないためかこれを握りつぶし、各地で被害が起きている。ナンシーは正義感からこの事件を調べるが、その後ろにいたのはオナタカミ社に吸収されることを良しとせず、技術を誇示することで反ハイデッカー勢力などから支援を受けようとする旧オムラの過激派だった。ナンシーの助手ユンコ・スズキや本社要塞陥落時に行方不明になっていたはずのモーティマー・オムラの助けもあり、PCたちは旧オムラ派の妄執を粉砕。ツジギリ事件を収束させた。モーティマーはユンコに諭され、微力ながらも社員の力を借りながら責任を取るためにオムラV字回復を目指すべく歩みだす

◆死亡した原作ニンジャ・人物◆
モーター三天使(モータースゴサ、モーターカナリ、モーターサスガ)およびモーターガッタイ、モーターカネダ、タイサ・ルニヨシ

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