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学生R-1に出場した日のこと

学生R-1という、大学生のみがエントリーできるピン芸の大会がある。去年から興味はあり、今年初めてエントリーすることにした。去年の今頃というと、ちょうどお笑いサークルに加入したての頃である。芸歴(?)1年目という節目を迎えるときに挑めるため、丁度いい指標になるとも思った。

僕は予選2日目に挑んだのだが、前日の予選1日目の時点で僕は完全にエントリーをやめてバックレようとしていた。
学生R-1は客席投票で決まる。その時初めて知ったのだが、結果発表から日をまたぐまでの2時間だけ、全員の得票率が開示されるのである。
そこにはリアルでスリリングでシビアな数字の羅列が鎮座しており、酒も入っていたことで完全にナーバスになってしまった。
たまたまその時は僕の所属するお笑いサークルが第1回定期ライブをした直後の打ち上げの真っ最中で、みんなが必死に励ましてくれたので頑張って出ようと思った。
決勝はバックレる気はないのでご安心ください。

二日酔いの朝10時、某県某市からはるばる東京へ行く。しかし在来線から新幹線の駅まで行くための電車が30分遅れだという。慌ててタクシーで新幹線のある駅まで行ってもらった。運転手のおじさん、新幹線に間に合わせてくれてありがとう。

こだまの自由席に揺られながら東京駅に着いて、中央線で新宿駅まで行く。東京に一人で来たのは大学受験以来である。
東京の町並みに困惑しながらウロウロしていると、ちょうどリハの時間に会場へ到着した。(30分くらい余裕もたせてたつもりだったんだけど)
スマホはガッツリ通信制限を喰らってしまい、Googleマップがほとんど使えないのも苦労の一端だった。
初めて会うスタッフの方々はとても優しかった。関東6県以外からエントリーする人はエントリーフィーがなんと無料なので、向こうからしたらなんの得もないのだが、リハーサルも丁寧に行ってくれて嬉しかった。

数時間いつもお馴染みの快活クラブで暇をつぶすことにしたが、小道具の備品の買い出しやフリップの準備の時間にほとんど費やしてしまって、余暇の時間はほとんどなかった。

お昼ご飯を食べようと街をうろつくことにした。

門を抜けると、そこは歌舞伎町であった。

by.エロ川端康成



歌舞伎町の門はデーモンゲートである(クラウザーさん談)。トー横も見れた。歌舞伎町で話しかけられたのでイヤホンを外して受け答えしたが、イヤホンを外した直後にキャッチだと気づいた。
キャッチはいちばん人を裏切りそうな見た目をしていた。
逃げたかったがなんだかんだである店を勧められた。そこに入ると、昼なのにいる客よりむしろホールスタッフのほうが多いし、ガッツリ食える系の店なのにスタッフ全員Yシャツか黒スーツだったので、Googleマップのレビューを見ずとも入って2秒で退店。キャッチに追いつかれないようダッシュでコンビニへかけこみ、トイレで数分間時間を潰した。レビューを見ると、☆4台だった。逆に怖い。
結局、チェーン店の家系ラーメン店で遅い昼飯を食った。

受付時間に着くと、楽屋はギュウギュウだった。僕自身、小道具もめちゃくちゃあるし準備に時間かかるため、あらかじめできる準備はしてきたつもりだったのだが、ネタを練習する時間はほとんどなかった。デブだし変な衣装だし準備でドタドタしていたので、本当に迷惑だったと思う。楽屋に居合わせた皆様、申し訳ありません。
それでも、変わらずみんな優しく受け止めてくれて嬉しかったです。
控室では、MCの村民代表南川さんが「僕も当時は遠くからひとりで学生R-1受けに行きましたよ。同じ境遇ですね」と、とても優しく話しかけてくださったので緊張もほぐれて、とっても嬉しかったです。ありがとうございます。

僕がやったネタは一応内緒にしておくが、ピン芸をみんなの前でやること自体これが初めてだった。普段はサークル内の人と取っ替え引っ替えでコンビを組んでいる。来月にはサークル初のトリオネタをする予定だ。サークルの仲間内にも台本を見せた人は数人いたが、実際に披露したことは一度もない。
つまり、学生R-1の予選が僕の人生にとってのピン芸初舞台だった。
昨日のこともあり、ウケてくれたほうが嬉しいけど、ウケなくてもしょうがない、ここまで来ただけ偉いという気持ちでネタに臨んだ。

結果としては、めちゃくちゃ手応えがあった。
普段、ネタのことで頭がいっぱいいっぱいなのと緊張しすぎで、ネタ披露時のウケ量を一切覚えていないという悪癖があるのだが、そんな僕でも(あっ!!ウケてる!!)と思えるくらいにウケていた。今まで生きてきた中で、誰かから一番笑ってもらえた瞬間だと思う。
一方、ネタの内容としては、悔やまれることばかりだった。ネタは飛ぶし、噛みまくるし、衣装は脱げるし、用意していたフリップ1枚めくり忘れるし。
いくら頭の中で復唱するより、みんなの前で披露して慣れることが何よりも大事、と痛烈に思わせられた。
自分の反省とは裏腹にかなりウケていたので、裏笑いなんじゃないかとも思った。

片付けでもドッタンバッタンして、メガネは紛失しかけたり、先輩から借りたフリップ台のカバー控室に忘れたり(あとで取りに行った)で相変わらずの大迷惑だったと思う。申し訳ありません。

いつもネタをしたあとはすごく疲れるので死にそうな顔で快活クラブへ帰り、2時間くらいダラダラしてから新宿を出た。

新宿から五反田へ行き、さらばBARというお笑い芸人のさらば青春の光が運営しているバーに寄った。
その曜日はちょうど好きなお笑い芸人さんがバーテンダーをしてくれる曜日だったので、ウキウキしながら寄った。
一人でバーに行くのも初めてなのでドキドキしながら入ると、画面の向こうに見てた人たちが本当にいる!!カウンターはかなり人で埋まっていたが、最後の1席に座った。
芸人さんはもちろん、先客の方々も優しくて、みんなお話面白くて、お話を聞いてるだけでとっても楽しかった。最高の思い出になった。
初対面や目上の人にめちゃくちゃ緊張して黙るクセがあるので、つまんないやつだと思われたと思う。

次の日の1限にゼミの発表会があるので、バーに30分くらい楽しんでから、五反田から品川へ行き、新幹線に乗った。
ちょうど新幹線に乗るか乗らないかくらいのときに、結果が貼り出された。

なんと、3位通過で決勝進出した。
倍率13倍という激戦のうえ、ウケてたとて内容がボロボロだったため決勝なんて考えはハナからなく、得票率20%でももらえれば嬉しいなと思っていたので、飛び上がるような気持ちだった。

すぐにサークルの仲間たちからお祝いの言葉をたくさん貰い、新しい相互フォローの人も増えた。彼らの励ましがないと予選にすら居なかったかもしれないと思うと、恵まれた仲間たちに囲まれているなぁと思った。

決勝は歴戦の人ばかりが集うと思うのでウケるかどうかはわからないが、客席の雰囲気関係なく、ぼくが面白いと思うことを全力でやりたいと思う。
ノーマークのポッと出がなんかやってるわくらいの気軽な気持ちで見てくれるといいなと思います。

あと、ネタ中に「学生R-1は身内票だ」ってディスっちゃってしょべんなさい。学生R-1はこんなわけわからん俺でも通してくれるスーパー公平なナイス大会でした。

ちなみに、結果がどうであれこの紀行録は書くつもりでした。舞い上がって書いてやがると思われたくないのでとりあえず。

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