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【投稿14日目】コミケにドラクエで出たかった人のユアストーリー感想

14日目。同人活動の記録・宣伝用に始めたこのnoteでドラクエについて語るなんて誰が想像したろうか。

こんにちは。ペンシルビバップ@小説サークルです。
一次創作の小説サークルですが、今日はドラクエについて語ります。

これを書いている私こと鋼野タケシはドラクエが大好きなのです。

リメイクはとりあえず買ってスマホでも売っているシリーズは全部買って、1から11まで、「トルネコの大冒険」や「モンスターズ」や「スライムもりもりドラゴンクエスト」や「バトルえんぴつ」や「歩くんです」まで合わせてどれだけ遊んだかわからないほど、ドラクエが好きです。

ドラクエでコミケに出てみよう! と思い立って、普段ペンシルビバップの表紙を描いてくれている田中一郎にサークルカットまでお願いして

落ちましたよね。


それはさておきユアストーリーです。

ドラゴンクエストの映画ユアストーリーを観てきました。

なのでここから先は映画のネタバレを含みますので、まだ映画を観ていない方やネタバレだけは絶対にイヤだという方は、我々ペンシルビバップは8月25日のコミティア129で「怖いもの」をテーマにした短編小説集をブース「p33a」で出展するということだけ覚えてこのページから引き返してください。

もう観たし、ネタバレしても良いし、という覚悟の出来た方だけこの先に進んでください。



これは私が描いた勇者オルテガです。


そしてこれはスライム。

さてこれだけ前置きしたらもう十分でしょう。ここからはネタバレをガンガン含みます。

率直に感想を書くなら「良い映画でしたね! その金持ってさっさと消えろ二度とドラクエにかかわるんじゃねーぞ!」という気持ちです。

単純に映画として見れば、百点満点ではないにせよ良い出来ではあります。

でもこの映画をつくりやがった製作陣への憎悪と怒りが胸の中で渦巻いています。口汚く罵倒してやりたいという気持ちを理性の力で抑え込んでこれを書いています。

公開から10日経ちましたし、このネタバレをあえて読もうという人はもう他で結末を知っていると思いますが、ユアストーリーは「実はドラゴンクエストを題材にしたVRゲームを主人公が遊んでいただけ」という結末です。

ゲマを倒したあと、ミルドラースが復活するのかと思いきや、代わりに出来の悪いマネキン人形が現れて「この世界はゲームで、私はゲーム嫌いの人間が送り込んだウィルスだ」と語り始める超展開が発生します。(ゲームに入ると現実の記憶がなくなって、ドラクエ世界を現実だと感じるのだとか)

で、仲間だったスラリンが実は別の誰かが送り込んだワクチンで、スラリンから出現するロトの剣を使ってウィルスを撃破して、物語はエンディングへと向かいます。

「予想もつかない展開」「どんでん返し」と言えば聞こえは良いですが、こんなものは良い終わらせ方を思い付かない素人がやるような悪手です。

フルコースの料理を味わって最後に「デザートです」って泥水ぶっかけられて「まさかこんなデザートが出るなんて予想もつかなかったでしょ?」なんて言われたら客は「デザートは最悪だけど良い店だったよね」とは食べログに書きませんよ。そりゃ怒りますよ。

予想もつかない展開=良い展開ではないのですよ。
わかってんのか畜生。

普通にストーリーを圧縮したり改変して映画に落とし込めば十分に及第点になったはずです。実際、ファンが期待していたのは「普通にドラクエを映画化したもの」だったから、たくさんのファンが激怒してユアストーリーは炎上しているのでしょう。

別に監督の作家性なんてこの作品に求めてないんですよ。
余計なことしやがって。

この展開の何が腹立つって「世界が現実じゃなかったけれど、主人公はその世界を肯定する」なんて方法は何十年も昔から繰り返し使い古されて手垢がついたどころか原形も残らないくらいの古臭すぎる方法だってことですよ。

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を始めとする作品群でフィリップ・K・ディックが「現実は本物かニセモノか」なんてパターンはひとりで散々やり尽くしているし、アニメなら「ゼーガペイン」「勇者特急マイトガイン」で現実世界だと思っていたものがデータで敵が本物の地球や地球人だなんてパターンもやっているし、ゲームなら「スターオーシャン3」「アバタール・チューナー」で主人公たちが実はプログラムだったというオチもあります。

あらゆる媒体でとっくに使い古されたパターンのひとつで、どんな作品だろうと最後に主人公たちが「実はこの世界はプログラムだった」と気が付いた途端に「なるほどこのパターンを使った作品なのね」としか思いません。

これが本当に今までないような賛否両論をうむ展開だったならまだしも、ドラクエに「在り来たりなテンプレ」を持って来て映画をぶち壊しにしやがったのがむかつくのです。私がデスピサロならこの映画一本で人間を根絶やしにすることに決めますよ。

でも「映画としてどうか」と考えれば、上手い部分もあります。

勇者ではない主人公が「ロトの剣」を使ってウィルスを退治するのは、Vの主人公ではなく、ドラクエ世界を何度も冒険して救ってきたプレイヤーが世界を救うという展開だからこそできる演出だろうと感じました。

主人公=プレイヤー=ドラクエの世界を何度も救ってきた勇者であるあなた(ドラクエの主人公)
だから副題がユアストーリーなんだなと納得しました。

まあ「勝手に巻き込むんじゃねーよおれはリュカの物語が見たかったんだ」とも思いましたけれど。

で、エンディングに向かう直前で主人公一家がサンタローズに帰る途中、主人公がビアンカに小突かれた?(放心状態だったのでちゃんと覚えてない)時に「痛いよ」と応えるシーンがあります。

「痛かったんだよ」と、もう一度言い直すのですが、これがVRだろうとゲームだろうと現実と同じように泣き笑う体験ができるのだという、主人公がゲーム体験を肯定するメッセージのように感じました。こういう発想は好きです。在り来たりですけど。

他にも、映画でうまいこと改変されたシーンはあります。

奴隷にされている神殿から脱出する際、滝から落ちたすぐ真下に街があって、その街で樽から抜け出して主人公たちは脱出します。海を漂う行き当たりばったり感がなくなりスピード感が増しているのと、街でプサン(イケメンジジィになってる)と出会って、後のマスタードラゴンに力を借りるための伏線になっているのは「うまいな」と感じました。

他にも原作では「炎のリングと水のリングを持ってくればフローラを嫁にやる」という展開ですが、映画では「復活したブオーンが暴れているから、ブオーンを倒したら嫁にやる」という話になり、しかもルドマンが持っているのが「天空の剣」に変わっています。

マーサを助けるためにパパスは天空の剣と勇者を探している⇒天空の剣はルドマンが持っている⇒天空の剣を手に入れるにはブオーンを倒してフローラと結婚する必要があると一連の流れができています

尺の短縮+物語をサラボナへ進める必然性+ブオーンとの戦いで映画に見せ場ができると、一石三鳥の良い改変。一石サンチョと書いてやりたいという気持ちを理性の力で抑え込んでこれを書いています。

また、嫁選択ですがこの映画ではフローラと子供の頃に船で会っていて、お互いのことを覚えていて、再会を喜ぶという展開です。

そしてフローラは可愛いし、明らかにお互いに相思相愛のムード。

その後に再会するビアンカに対して主人公が惹かれている描写のひとつもありません。(ついでに言えば幼少期の冒険はカットされているので、レヌール城の冒険でどの程度の仲だったのかもわかりません)

この映画の流れではフローラを選ばないとおかしい。
アンディ? 誰だそれは。

にもかかわらず、変身したフローラに飲まされた「本心に気付く薬?」か何かで主人公はビアンカを好きだったことに気付き、結婚相手をビアンカに選びます。

ここは見ていて一番「は????」となるシーンだったのですが、オチまで見たあとだと「毎回ビアンカを選んでいたプレイヤー」が主人公だから「今回のプレイではフローラを選ぼうかな」と思っても、結局はビアンカを選んでしまったというメタ的な演出だったのだなと気付きます。こういった「ドラクエであること」を利用した演出はうまいと思いました。

だからって腹立つオチだけど。

他にもやたらとサラボナのあたりで「ブオーンを倒すこと」を「クエスト」と称する場面があります。

「クエストを無事に生き延びた」「クエストで死ぬのではないかと心配した」とか、細かい表現は忘れましたが謎のクエスト連呼に「ドラクエだからってクエストって単語を無理に使う必要なくない????」と観ながら思っていました。

これも「実はゲームだった」から、VRゲーム内のメインクエストという意味でNPCであるフローラやビアンカがやたらと発言していたのではないかと思います。

だからって腹立つオチだけど。

主人公の名前は「リュカ」で息子の名前は「アルス」だというのも、伏線としてうまいこと生きています。

映画を観ながら「なんでアルスなんだよ。ロト編じゃねーんだぞ」と感じましたが、主人公が「リュカという男」ではなく「ドラクエ好きのプレイヤー」だと知ると、主人公の名前は小説からとって「リュカ」で、息子の名前はロトの紋章(もしくは後年の3)勇者からとって「アルス」だというのはうまい手だなと納得しました。最初から「ドラクエであること」を逆手にとってうまいこと演出してあります。

だからって腹立つオチだけど!

映画独自の改変に話を戻すと他にも良い点があって、一度はフローラに求婚しておきながら「やっぱりビアンカを選ぶ」と決めた主人公に対してルドマンが激怒します。

これは「そりゃそうだ!」と思いました。ゲームのルドマンさんは天使すぎるのではないでしょうか。どこの馬の骨とも知れないまものつかいと田舎娘に婿選びを邪魔されて、にもかかわらず結婚式を挙げさせて、しかも家宝の天空の盾までプレゼントするってどういうことなの。

映画でもフローラを一方的に降る主人公に対して激怒したにもかかわらず「お前が私の逆鱗に触れて婚約解消したことにしておく」と気遣いを見せ、さらには天空の剣は「勇者が見つかったら必要になるだろう」と言ってそのまま主人公にプレゼントする善人っぷり。ただの天使から根は善良な富豪って感じに改変されていたのはとても良かった。

他にも映画ならではの改変で良い点はいくつもありました

・天空人は目の色が違う
⇒映画なのでビジュアル面で主人公たちに特別感がある印象ができた

・マーサは天空人の末裔(だからリュカが勇者ではないかとパパスが思っていた)
⇒物語上の主人公の重要性が増すし、リュカが天空の剣を抜けずに勇者じゃなかったという部分と、息子が勇者だったと発覚するシーンの盛り上がりが増す。

・パパスの手紙ではなく日記になっている
 ⇒パパスは死を予期できなかったのだからこっちの方が自然に感じる

何より最高に良かったのはゲマとの戦闘中、圧倒的な戦力差に絶望するリュカ一家の元にヘンリーがラインハットの軍勢とブオーンを従えて助けに来るシーン。これは本当に映画観ていて鳥肌が立つくらい良いシーンでした。

ゲマに追い詰められたリュカがバギクロスの竜巻に乗って跳躍、一気に逆襲してパパスの剣を突き刺すも、一歩及ばず刃は魔法の壁で遮られる。しかしそこにアルスが駆け寄り、天空の剣で魔法の壁を突き破り、親子二人でパパスの仇を討つ。

最高の盛り上がりでした。

自らの命と引き換えに魔界の門を開きミルドラースを呼び出そうとするゲマ。天空の剣で魔界の門を閉じようとするアルス。

最高の盛り上がりでした。鳥肌が止まりませんでした。

マネキン人形が現れるまでは。

あとはまぁなんかマネキンが「ドラクエってゲームあって実はここはゲームの世界でゲーム嫌いな人がつくったウィルスが私でお前は現実に帰れ。大人になれよ」みたいなこと言い出して色々あったけど倒しました(適当)

こうして思い出しても良い映画だったなという想いとクソみてーなモンつくりやがってという怒りの両方が渦巻いています。

ラストにあのままミルドラースが現れてみんなで倒してくれたら、感動して終われたのに……。繰り返しますが、口汚く罵倒してやりたいという気持ちを理性の力で抑え込んでこれを書いています。

というのもユアストーリーは決して手抜きでつくられた映画ではないし、出来が悪かったわけでもありません。むしろ部分的にはゲームより良かったと思える箇所もあります。ゲマ戦の盛り上がりとか、あとポワン様が最高にかわいかった。ポワン様を嫁にできるドラクエ題材にしたVRゲームが出たら遊びます。

とここまで書いてて気付きましたが主人公が「現実の記憶がなくてドラクエ世界を現実と思っている一般人」ということはですよ、こいつはドラクエの世界を自分の世界だと思っているわけですから普通に考えたら普通にビアンカとセッ(省略)

映画として出来が悪かったから怒っているのではなく、ドラクエを期待して観に行ったのに、突如としてメタフィクションのSFが始まったから怒っているのです。

「娘がいない」とか「グランバニアが出て来ない」とか「序曲流し過ぎ」とか「ヘンリー性格おかしくない?」とか、映画としての粗を探そうと思えばいくらでも出てきますが、やはり一番の問題点は「ファンが期待している正反対のポイントを的確に突いて来た」ところだと思います。

ドラクエだと思って観に行ったらドラクエ遊んでる人のプレイ動画を見せられたワケですよ。そりゃファンは怒るよ。

最初にツイッターで「令和のデビルマン」という評価を見た時、SNSで感想書く人ってそういう盛った書き方するしなぁ……と思いましたが、観た後ではこれは「とにかく邦画で最低評価とされているデビルマンと同列かそれ以下のレッテルを貼ってやらなきゃ気が済まない」と怒り狂った人の感情なのだなと納得しています。

何度も書きますが、映画として悪い出来ではないですよ。お金を出して劇場で見たことを後悔しない出来です。

ただし、ファンであればあるほど腹が立ちます。

「良い映画でしたね! その金持ってさっさと消えろ二度とドラクエにかかわるんじゃねーぞ!」

というのが、率直な感想です。

それではまた明日。
(明日はちゃんと小説サークル活動っぽいこと書きます)


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ペンシルビバップ@小説サークル

小説サークル「ペンシルビバップ」は、イベント毎にひとつのテーマを決め、テーマに沿った短編小説を作風もジャンルもバラバラのメンバーが執筆しています。主な活動の場は文学フリマやコミティア、年4冊のオリジナルの小説同人誌を頒布しています。noteでは活動記録を残していきたいと思います。
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