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双曲線と直線の交点の個数

$${xy}$$平面上の双曲線$${\frac{x^2}{2}-y^2=1}$$を考える。
(1)点$${A(0,1)}$$を通り、かつ、この双曲線と共有点を$${1}$$つしかもたない直線のうち、傾きが負である直線$${l,m}$$の方程式を求めよ。ただし、$${l}$$の傾きを$${k_1}$$、$${m}$$の傾きを$${k_2}$$とすると$${k_1>k_2}$$であるとする。また、$${l}$$と$${x}$$軸の交点$${B}$$、$${m}$$と$${x}$$軸の交点$${C}$$の座標を求めよ。
(2)$${a,b}$$を定数とする。点$${P(a,b)}$$が$${PA=PC}$$かつ$${PB^2=2PA^2}$$を満たすとする。このとき、$${a,b}$$を求めよ。
                    (上智大)


【解答1】代数的アプローチ
点$${A(0,1)}$$を通り「傾きが負」である任意の直線は、$${y=kx+1 (k<0)}$$と表せる。この直線と双曲線$${\frac{x^2}{2}-y^2=1}$$との交点の座標は、これら2つの方程式を連立させて解くことによって得られる。

$$
\begin{cases}\frac{x^2}{2}-y^2=1\\y=kx+1 (k<0)\end{cases}\\x^2-2(kx+1)^2-2=0\\x^2-2(k^2x^2+2kx+1)-2=0\\(1-2k^2)x^2-4kx-4=0\\(2k^2-1)x^2+4kx+4=0
$$

(i)$${2k^2-1=0 (k<0)}$$すなわち、$${k=-\frac{1}{\sqrt2}}$$のとき
$${k=-\frac{1}{\sqrt2}}$$を$${(2k^2-1)x^2+4kx+4=0}$$に代入すると2次の項が消えて、

$$
-\frac{1}{\sqrt2}x+1=0\\\frac{1}{\sqrt2}x=1\\x=\sqrt2
$$

直線の式$${y=kx+1}$$に$${(x,k)}$$を代入して、

$$
y=kx+1=-\frac{1}{\sqrt2}\sqrt2+1=0\\
$$

よって、$${x}$$軸上の1点$${(\sqrt2,0)}$$で交わり、かつ交点はこの1点のみである。

(ii)$${2k^2-1\neq0 (k<0)}$$のとき
$${(2k^2-1)x^2+4kx+4=0}$$は2次方程式であり、双曲線と直線が接するとき、この方程式はただ1つの解(重解)をもつ。よってこの判別式を$${D}$$とすれば、$${D=0}$$である。

$$
\frac{D}{4}=4k^2-4(2k^2-1)=0\\-4k^2+4=0\\(k+1)(k-1)=0(k<0)\\k=-1\\x^2-4x+4=0\\(x-2)^2=0\\x=2\\y=-x+1\\y=-1
$$

よって、$${(2,-1)}$$で接し、交点は たかだかこの1つである。また$${x}$$軸との交点は$${y=-x+1,y=0}$$を解いて、$${(1,0)}$$である。

以上(i),(ii)および$${0>k_1>k_2}$$より、$${k_1=-\frac{1}{\sqrt2},k_2=-1}$$と対応する。よって、

$$
[答]\\l:y=-\frac{1}{\sqrt2}x+1\\m:y=-x-1\\B(\sqrt2,0),C(1,0)
$$

(2)

$$
\begin{cases}PA=PC ・・①\\PB^2=2PA^2 ・・②\\PA^2=a^2+(b-1)^2 ・・③\\PB^2=(a-\sqrt2)^2+b^2 ・・④\\PC^2=(a-1)^2+b^2 ・・⑤\end{cases}
$$

①③⑤より、

$$
a^2+(b-1)^2=(a-1)^2+b^2\\a^2+b^2-2b+1=a^2-2a+1+b^2\\-2b=-2a\\a=b・・⑥
$$

②④⑥より、

$$
(a-\sqrt2)^2+a^2=2\{a^2+(a-1)^2\}\\a^2-2\sqrt2a+2+a^2=2a^2+2a^2-4a+2\\2a^2-2(2-\sqrt2)a=0\\a(a-2+\sqrt2)=0\\答:\underline{a=0,2-\sqrt2}
$$

【解答2】幾何的アプローチ
一般に、双曲線の漸近線は、標準形であらわされた方程式の左辺を因数分解したものがイコール0となる式で示される。すなわち、

$$
\frac{x^2}{2}-y^2=1\\(\frac{x}{\sqrt 2}+y)(\frac{x}{\sqrt 2}-y)=0\\つまり、\\\frac{x}{\sqrt 2}+y=0,\frac{x}{\sqrt 2}-y=0\\という2直線である。
$$

与えられた条件をもとにグラフの概形を書いて考えると、直線$${l,m}$$は、点$${A}$$を通る直線が

$$
(I)漸近線\frac{x}{\sqrt 2}+y=0と平行となる場合\\(II)双曲線\frac{x^2}{2}-y^2=1と(その第IV象限で)接する場合
$$

であり、$${k_1>k_2}$$より、$${(I)}$$が直線$${l}$$に、$${(II)}$$が直線$${m}$$にそれぞれ対応することがわかる。つまり、

$$
l:y=-\frac{1}{\sqrt2}x+1\\
m:y=k_{2}x+1
$$

(以下、(2)も含めて、解答1と同じなので略。)

【コメント】
一般に、双曲線$${\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1}$$の漸近線は、$${(\frac{x}{a}+\frac{y}{b})(\frac{x}{a}-\frac{y}{b})=0}$$です。
<<因数分解イコールゼロ>>。覚えやすいでしょ。
(2)は簡単でした。

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