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楕円の回転

楕円$${\frac{x^2}{7}+\frac{y^2}{3}=1}$$を原点を中心に反時計回りに角$${\frac{\pi}{6}}$$だけ回転して得られる曲線を$${C}$$とする。
(1)曲線$${C}$$の方程式を求めよ。
(2)直線$${y=t}$$が$${C}$$と共有点をもつような実数$${t}$$の範囲を求めよ。
                                                                  (名古屋工大)

【解答】
(1)曲線$${C}$$上の任意の点$${P'(X',Y')}$$は、楕円$${\frac{x^2}{7}+\frac{y^2}{3}=1}$$上に連続的に分布する点$${P(X,Y)}$$を$${\frac{\pi}{6}}$$回転して得られる。それゆえ、点$${P'(X',Y')}$$もまた連続的な楕円曲線をなすことは明らかである。従って、逆に、連続的な楕円曲線である$${P'(X',Y')}$$を$${-\frac{\pi}{6}}$$回転した点$${P(X,Y)}$$は、楕円$${\frac{x^2}{7}+\frac{y^2}{3}=1}$$上に連続的に分布する。$${xy}$$平面を複素数平面とみなして立式すると、すなわち、以下の通り。

$$
X+Yi=(X'+Y'i)\{cos(-\frac{\pi}{6})+isin(-\frac{\pi}{6})\}\\=(X'+Y'i)(\frac{\sqrt3}{2}-\frac{1}{2}i)\\=\frac{\sqrt3}{2}X'+\frac{1}{2}Y'+(-\frac{1}{2}X'+\frac{\sqrt3}{2}Y')i
$$

ここで、$${X,Y,X',Y'}$$は実数なので、複素数の相等の定義により、つぎの連立方程式が得られる。そして、この解$${(x,y)=(X',Y')}$$こそが点$${P'(X'、Y')}$$の座標に他ならない。

$$
\begin{cases}X=\frac{\sqrt3}{2}X'+\frac{1}{2}Y'・・・①\\Y=-\frac{1}{2}X'+\frac{\sqrt3}{2}Y'・・・②\\\frac{X^2}{7}+\frac{Y^2}{3}=1・・・③\end{cases}
$$

③より

$$
3X^2+7Y^2=21・・・③'
$$

①②③'より

$$
3(\frac{\sqrt3}{2}X'+\frac{1}{2}Y')^2+7(-\frac{1}{2}X'+\frac{\sqrt3}{2}Y')^2=21\\3(\frac{3}{4}X'^2+\frac{\sqrt3}{2}X'Y'+\frac{1}{4}Y'^2)+7(\frac{1}{4}X'^2-\frac{\sqrt3}{2}X'Y'+\frac{3}{4}Y'^2)=21\\(\frac{9}{4}+\frac{7}{4})X'^2+(\frac{3\sqrt3}{2}-\frac{7\sqrt3}{2})X'Y'+(\frac{3}{4}+\frac{21}{4})Y'^2=21\\4X'^2-2\sqrt3X'Y'+6Y'^2-21=0
$$

上述のように、$${(x,y)=(X',Y')}$$なので、この方程式を満たす解$${(x,y)}$$は、すべて、曲線$${C}$$上にあり、曲線$${C}$$上の点の座標$${(x,y)}$$は、すべて、この方程式を満たす。要するに、この式は曲線$${C}$$の方程式そのものであるといえる。
[答]:$${\underline{4x^2-2\sqrt3xy+6y^2-21=0}}$$

(2)直線$${y=t}$$と曲線$${C:4x^2-2\sqrt3xy+6y^2-21=0}$$との交点の座標$${(x,y)}$$は、$${y=t}$$と$${C:4x^2-2\sqrt3xy+6y^2-21=0}$$の二つの式を連立方程式とみなして$${(x,y)}$$について解いた解であり、したがって、交点の個数は、この連立方程式の解の個数と一致することになる。

$$
\begin{cases}y=t・・・①\\4x^2-2\sqrt3xy+6y^2-21=0・・・②\end{cases}
$$

①②より

$$
4x^2-2\sqrt3xt+6t^2-21=0・・・③
$$

③を$${x}$$についての2次方程式とみなし、この判別式をDとすると、「直線$${y=t}$$が$${C}$$と共有点をもつ」のは、$${D\geqq0}$$のときである。

$$
\frac{D}{4}=3t^2-4(6t^2-21)\\=-21t^2+84\geqq0
$$

よって

$$
t^2-4=(t+2)(t-2)\leqq0
$$

従って、答:$${\underline{-2\leqq{t}\leqq2}}$$

【コメント】
このタイプの問題は、$${P'→P}$$と回転移動を逆にたどるのが定石です。移動前の変数$${P(X,Y)}$$についての方程式が与えられているので、これを橋渡しにすることによってきれいに解けます。

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