見出し画像

小林泰三

眠れないので小林泰三の話をする。
小林泰三はsf、ミステリの作家。

最近なぜか読んでいる。紙だとアリス殺し、クララ殺しを、電子書籍では天獄と地国を何度も読み返している。

軽快かつ非人道的で派手なsf・ミステリで、夜に軽く読むのにピッタリだからだと思う。

僕が小林泰三を初めて読んだのは多分高2くらい。大学生にはまだなっていなかった気がする。sf小説にハマりつつあった当時の僕はシナッシナの感度0アンテナをビンビンに張って、NAVERまとめとかでオススメのsf小説を検索したり、2chのsf小説ランキングスレとかを見ていた。

その手のsf小説ランキングサイトは大体『夏への扉』が一位で、僕は夏への扉をsfとしては大して面白くないと思っていたので「またこれ系のサイトかよ!」とブチ切れてよくブラウザバックしていた。

そんなサイトでたまたま目にしたのだろう『玩具修理者』が僕が初めて読んだ小林泰三の著作である。

この玩具修理者は中短編集で、中には5編ほど物語があった。その中で印象に残っているのは表題の玩具修理者ではなく、“酔歩する男”という作品。

当時の僕はグレッグイーガンなんて知らなかったので、なんて斬新な発想なんだ!とこの酔歩する男を読んで驚いた。

物語は確か、一人の女を巡って2人の男がタイムマシンを開発するみたいな話だったと思う。

そのタイムマシンの開発過程で片方の男の脳に致命的な障害が起こる。その障害は物事の因果関係と時間感覚を無茶苦茶に失調するという症状を男に来すのだが、そもそもこの世界が連続的で因果律が正常に機能しているということが錯覚なのではないか?と主人公は悟りを開く。

世界の連続性も因果律も脳が勝手に人間に理解できるように並べ直しているだけなんだ。俺の脳はその部位がぶっ壊れたから本来の世界を感覚しているんだ!と認知のコペルニクス的大転回が起こってストーリーは進行。
通常のヒトが知覚する連続的で因果関係のハッキリした世界は、脳の特定の部位がその認識させているだけで本質的に非連続的で原因と結果は連動していない。この仮定の元、そんな本質的な世界を生きる男はどんな光景を見るのか。側から見たら酔歩してるみたいだね。というようなお話だった。

ヴォネガットのタイタンの妖女でいうパンクチュアルな存在に近く、もっと直球でいうなら、順列都市でシュレッディングされたダビング人格から主人公が推論した、この世界には因果律はないという仮定を小林泰三なりに咀嚼し、翻案して吐き出したペッとしたものが本作の僕の印象。

僕はこの小説で初めて当たり前だと思っていることをグラつかされる感覚を味わった。当たり前に存在しすぎていて、その存在を認識すらしていなかった時間感覚や因果律を疑ってみるという感覚。

この極めてsf的な感覚を初めて知ったのがこの本だったように思う。僕の中で世界の蓋然性の膜が破られた一冊と言ってもいい。

いま朝の5時である。何を書いているか自分でもあまり分からない。

にゃるらが読んだ本というnoteを毎日投稿していらっしゃるゲームクリエイターの記事を読み、そこにある本を各種サイトで眺め、予算と相談し、買ったり買わなかったりしていたらこんな時間で、眠れないし久しぶりに本でも読もうかと、そういえば小林泰三のAΩ読みてぇなと楽天koboを開き、購入ページまで進むも支払いカードを変更したことを思い出し、電気つけて財布からカード抜いて入力し直すほどには読みたいわけではないな、と諦めて書き始めたのがこのnoteです。

しかし、やはり眠たいと書けない。言葉はスルスルと出てくるのだが、自分が直前に何を書いたのかが把握できない。メメントみたいな状態で文章を書いている(メメントってそんな内容でしたよね)。
正直メメントはあまり好きではない。映画の構造自体が先行していて、物語としてあんまり興味を持てなかった。TENETも似たような感じで、面白いけどよくワカンねぇなという感じ。
YouTubeの解説動画を見て分かった気になるのも癪だしバカらしいし、そもそも分かることが目的の鑑賞って何だ?と僕は思ってしまう。
わかりやすくて楽しい映画がぼくは好きだよ。

あとにゃるら、実は余り好きではない。
クリエイターとして特別何かを感じていない。しかしエンタメの消費者としては信頼がある。インプットの量が多いし、それを文章にしてくれるので伝わってくる。世のクリエイターはもっとにゃるらみたいに読んで面白かった本とか、聴いて良かった音楽とか映画とか漫画とかアニメとか旅行先とか色々教えてくれ。

誰が何を見てどう感じたか、というのは僕にとってかなり大きい。Twitterとか2chとかの凝り固まったおすすめは結局どこかで見たランキングを自分の言葉のように話し直しているだけなので面白くない。つまんないやつのオススメはつまんない人が紹介したというデバフが乗るのでつまんない。

話変わるけど悪口を書くことが批評だと思ってるような自称映画評論家はTwitterをやるな。おまえの批評は秘密の日記帳にでも書いて学習机の鍵付きのところに大事にしまっとけ。俺の目の届く範囲に公開するな。凍結しろ

だからにゃるらは尊い。にゃるらの読んだ本、聴いた音楽、面白かった漫画はTwitterや 2chより相対的に信頼できる。

ただ、最近にゃるらの影響を受け過ぎており、にゃるらの読んだ本、音楽を集めている自分にちょっぴり自己嫌悪なアネモネ筋肉ちゃんです。

今日書店で、なんかの本の帯かポップかで“おすすめ作家紹介クリエイター”と書かれたものをみた。お前はなにをクリエイトしてるんだ?

みんなもっと気軽に読んだ本とかの話をに してほしい。この本のこのページ面白かったぜ〜ってデジタル剽窃しておれにLINEで送ってほしい。もっと活気のある世界になってほしい。ちな、これ読んでないとか終わってる!みたいな教養主義のゴミは全員死んでくれな!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?