起業で一番大事なこと

今週はいけそうだったコンテストに二つ落ちた。指と指の間から数百万円がするすると抜けていく。何十社中の2位、3位でしたとか言われても、こういうのは優勝しなければお金はもらえないから意味がない。

落ちるのはしんどい。結構な体力と気力を使って何も得られないのもそうだけど、自分が十分でないと思い知らされるのが一番しんどい。自分の提案を否定されて気持ち良い人間なんかいない。

それでも、こうやって否定されることはとても大事だと思う。スタートアップにおいて、自分の仮説を否定されることほど大切なことはない。否定されて初めて正しい方向がわかる。少なくとも、こっちの方向が間違っているということはわかる。

なんで否定されることがそれほど大切かというと、いきなり正解を見つけることが難しいからだと思う。

白いキャンバスがあって、そこに白いペンで刻まれた隠し絵があるとしよう。その時に隠し絵を浮かび上がらせる一番良いやり方は、絵の輪郭をピンポイントで当てようとすることではなく、黒いペンで全体をガーっと塗ることだと思う。黒いペンで塗ること(=否定されること)は正解を当てるより簡単だけど、それでもガーっとやっていけば、隠し絵(=事業の最終形態)が勝手に浮かんでくる。

この否定は市場(=身銭を切る立場にある人)にしてもらうべきだと思う。toBなら営業、toCならMVP。そうやって市場に身銭を切るか切らないか聞くこと。大抵は要らないと言われる。否定される。でもそこに学びがある。

自分の作ってるものがクソだとした場合、どこかでこれはクソだと気付かされるタイミングが来る。クソは喰らうなら早い方がいい。

否定されるのはしんどい。自分が十分じゃないとわかるのはしんどい。でも、多分この道で合ってる。あとは結果で証明するしかない。

ーーー

番外編

一社目の起業の時は、他人にプロダクトを晒す頻度が少なかった。頭の中でどんどん妄想が膨らんで、勝手に楽しくなっていった。MVPは仮説を否定するためのものではなく、仮説を補強するためのものだと思っていた。数字は嘘をつかないけど、解釈は嘘をつく。その結果、誰にも否定されないまま、誰にも使われないモノが出来上がった。

昔の自分はエゴが強かった。エゴが強いと自信を持ちやすい。自信があるから挑戦できるが、その分否定も避けてしまう。これだと失敗する。だから、否定を受け入れるようになる。自分の仮説を疑うようになる。側から見ると、エゴが弱くなったように見える。

でも実際には、今の自分のエゴはもっと強い。ベストな自分になりたいという強い欲求がある。その結果、今の自分のエゴじゃなくて、未来のもっと大きな自分のエゴを優先するようになった。だから今の自分が否定されるのは一向に構わない。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?