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ビッグリトルファームの奇跡

ドキュメント映画「ビッグリトルファーム」を見た。

映像作家の夫婦と犬が、8年かけて、循環型農園を作っていく過程を美しく描いたドキュメント映画である。

自然農法、動物、昆虫、微生物。すべてがぐるぐると循環していくパーマネントアグリカルチャーというものだ。パーマカルチャー。

まるで、ノアの箱舟に乗ったすべての生物達が新天地で共存しながらサイクルを作り上げて繁栄していく様が描かれているようである。

循環というが、食物連鎖の輪をつくっていく事になる。過酷な部分もある。
果物は鳥の餌になってしまうが、徐々に、フクロウや鷹などの猛禽類が住み着き、バランスが保たれる。コヨーテが鶏を襲うが、番犬の働きにより、鶏ではなく、野ネズミを駆逐しはじめる。
なにかのバランスが崩れると、自動的にバランスを保つものが動き始めるのだ。

いわば、地球のサイクルであるのだが、そこに人が寄り添い、生きていくのである。

多くの投資により成立したものであるが、リターンは返せていないのかもしれない。ほぼ無報酬であろうインターンシップの労働力によって成立しているのかもしれない。農場経営を重視しないからこそ成立しているようにも見える。しかし、世界にひとつくらい、このような場所があってもいいだろうと思う。出資した投資家達もそういった心境ではないだろうか。

沖縄にもこのような農園はないだろうか。

以前、自然農法に関心が湧いた時にたどり着いた福岡さん。その後継者的な存在である臼井さんという方を知り、フェイスブックで友達になって頂いていた。いわば、日本におけるパーマカルチャーの第一人者。安曇野にてシャンティクティという農園を運営されている。
最近、臼井さんが沖縄ツアーに来たようで、沖縄で活動する自然農法や、循環を意識したキーパーソンの運営する施設やらを巡り歩く旅のようであった。やんばるの森で、薬草シロップを販売しながら小さな宿を経営する女性の記事を見る。この女性、福岡さんの助手として世界を回ったらしい。
ここには一度訪問してみる価値があるだろう。

俄然として興味が湧いた。調べてみると、沖縄にもビッグリトルファームにチャレンジしている方々がいそうである。

このような循環型の世界で求められる建築とはどういうものか。
藁でつくったり、土嚢でつくったりと、いろいろ模索されているようだが、ほぼセルフビルドになってくる。建築家という職能が、これにこたえうる事ができるだろうか。パオロソレリのアーコサンティのような世界観が思い浮かぶ。

沖縄という環境で、どのような建築をつくるべきか。試行錯誤は続いていくのだ。

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