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エイハブの六分儀

このコーナーではプラネタリウム解説員の西香織さんが毎月の夜空を案内してくれます。


【9月の星空案内】

秋を迎え、ようやく風が爽やかになりましたね。9月にはやぎ座が見頃を迎えます。 ある時、ナイル川のほとりで神々たちの宴会が開かれました。陽気で酒好きな牧場の神パーンは得意の葦の笛を吹いて大のご機嫌でしたがそこへ、テュフォーンという怪物が襲いかかってくるのです。神々は慌てて思い思いの動物に化け、一目散に逃げ出しました。パーンも得意のやぎに化けて逃げましたが、目の前には川が横たわっています。今度は魚に化けて泳いで逃げようとしました。ところが、あまりにも慌てていたために上半身はやぎのまま、水につかった後ろの部分だけが魚、というヘンテコな姿に。なんとか逃げおおせ騒ぎが終わってみると「見てパーンの姿ったら!」喜んだ神々が嫌がるパーンを空に担ぎ上げ、星座にしてしまったといわれています。

可哀想に当のパーンは「いやん、探さないで…」と、暗い星々ばかりの見つけにくい星座となっています。パーンのパはパニックのパ。こと座のベガとわし座のアルタイルを結んだ線を南の下のほうへ伸ばした先の、誰かが笑っている口のような三角が目印です。

ちなみに、タイフーンおよび台風の語源となるのが、怪物テュフォーン。肩には百の竜の顔があり、下半身はとぐろを巻いた毒蛇、全身は羽毛で覆われ目からは火を噴く、のだそうです。さあ、思い描いてみてください。皆さんの想像力が今、試されています。ビジュアル化できましたか?私には…無理です。


【わけありエイハブの六分儀】

完全に油断していました。星座解説員として、歯ぎしりをするような思いで一ヶ月を過ごしました。というのも、先月「木星はさそり座エリア」とご案内してしまったからです。惑星たちは、地球とほぼ同じ公転軌道面を回っているので、黄道付近をウロウロします。黄道を中心に南北9°ずつ、幅18°のエリアに黄道12星座が描かれています。しかーし!さそり座の部分だけへびつかい座が低い所まで割り込んでいて、木星はココにて輝いているのでした!ということで、お恥ずかしい限りですが「木星はヘびつかい座に位置し、さそり座のすぐ上で輝いています。」と謹んで訂正させてください。


【THE VOYAGE編集部より】

あなたはテュフォーンのビジュアル化が、できますか?さぁ、ペンをとって想いのままテュフォーンを描いてみてください!
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みなさんが想像したテュフォーンを見せてくださいね~


コスモプラネタリウム渋谷 解説員 西 香織

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