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「どれだけの人が携わって『宇宙兄弟』という作品ができているのか?」

漫画『宇宙兄弟』の担当編集をしておりますユヒコです。先月に引き続き今月もTHE VOYAGE読者がきっと気になっている点に触れながら質問にお答えできたらと思います。

今回は「どれだけの人が携わって『宇宙兄弟』という作品ができているのか?」という質問をいただきました。『宇宙兄弟』という漫画ができていく過程の中の“材料集め”について、今日は紐解いていけたらと思います。

まず、誰もが知っている通り『宇宙兄弟』は、作者である小山宙哉さんが生み出し、今も物語を描き続けています。今月36巻が発売され、連載は12年目に突入している漫画作品です。

先月、報道ステーションで放送されたインタビューで、

「僕自身は『宇宙兄弟』を一番面白いとは言えないが(他の漫画と比べて。)でも一番“好きだ”とは言えるんですね。その“好きだ”という気持ちをブラさずに描いている」

といったコメントがありました。

作者自身が誰よりも物語を愛し、紡ぐ中で、この人たちの協力があったからこそ、より良い作品づくりができている!という方達を紹介します。

ヒントは作品の最後に掲載されている奥付ページにあります。



(※宇宙兄弟33巻 電子書籍参照)

上記のSpecial Thanksの欄にご注目ください。複数人の名前が書かれています。この欄には『宇宙兄弟』の技術面監修や作品取材に協力してくださった方々の名前が記載されていることをご存知でしょうか。

例えば、ロシアのシーンを描く際は、実際にロシアに留学経験のある方、ロシア人の方、ロシアで宇宙飛行士訓練をした方へ取材をします。当時は5名の方にお話を伺いました。ロシア人に日本人が接した時にどういった反応が起こるのか?などその人が体験したリアルな情報を集めていきます。

取材のポイントは、一人だけに取材するのではなく、複数人に話を聞くことで、立体的な情報を集めていくことです。

・ロシア人は始めは冷たい印象があった。
・お酒を一緒に飲むようになって、あたたかさがわかった。
・日本人に似ているところがありシャイな性格だ
・一度仲良くなれば家族のようだ
・物を大事に使う
・マニュアルより成功してきた意見を重んじる
・伝統が大事
・ロシアが第二の故郷と思うほど好きになった
・知れば知るほど大好きになる国だ

いろんな意見からイメージを膨らませていくわけです。


31巻に掲載されたこの3ページ。


さらっと読めてしまいますが、取材を通してわかったことを漫画に落とし込んでいます。こういった現地で体験しないとわからない情報・感情を丁寧な描写で伝えることで、読み応えのあるものとなり、読者に伝わるものとなっていきます。


作者は腕の良い一流の料理人です。
編集者は作者が立体的に物事を考えていけるような材料を用意します。

材料は、その領域の専門家、その事象を経験したことがある体験者が持っていることが多く、Special Thanksに掲載されている方々は一流の材料を提供してくれた方々といえるわけです。

材料を集め、小山宙哉さんがそれを料理し、一話の作品におさめる。その際に料理サポートに入るのが、アシスタントさんたちです(宇宙兄弟の現場は平均5~6人のアシスタントさんがいらっしゃいます)。背景を彩る人、仕上げをサポートする人、それぞれの役割を遂行していきますが、作画についてはまた別のタイミングでお話できたと思います^^。


まとめると、『宇宙兄弟』を読む中で、Special Thanks欄から作品を読み解いていくことで、どういった方々が材料を提供してくださっているかを想像しながら、作品を読み進めることができます。ひとつの作品が成り立っていく過程を想像してみてもらえると嬉しいです。最後に、Special Thanksに掲載されている林祥史氏と片岡龍峰氏の具体的な事例の記事を紹介しますので、読んでみてください!

せりか基金通信インタビュー『宇宙兄弟』の中でせりかの実験を成功に導いた医師 林祥史先生
https://koyamachuya.com/column/serikafund/98016/

【月のその先へ】“宇宙天気予報の第一人者” 片岡 龍峰の挑戦
https://moon.landing50th.com/challenge/321/


宇宙兄弟編集者 ユヒコ(仲山優姫)

作家エージェント会社コルクで宇宙兄弟の担当をしています。アザラシとAKBが好きです。
Twitterに作家のこと、日々のことを更新しているので、フォローよろしくお願いします! Twitter▶ @yuhicork  note▶︎ユヒコ


『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八 』

「宇宙に命はあるのか」はNASAジェット推進研究所勤務の小野雅裕さんが独自の視点で語る、宇宙探査の最前線のノンフィクションです。人類すべてを未来へと運ぶ「イマジネーション」という名の船をお届けします。
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明日もお楽しみに。 


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