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久保選手のスポーツ番組インタビューについて

まだワールドカップは終わっていないが、日本代表が日本に帰ってきた。
キャプテンの吉田選手が、この機会にサッカーのファンを増やすべく、日本滞在中にできるだけテレビに出ろ!と選手たちにはっぱをかけて、久保選手がGoingという上田さんの司会の番組に出た。

自分は太田上田、という番組が好きでYoutubeで見ているし、この番組の一部を見たが面白いな~という感想だった。しかしそのあとYahooニュースの中で 上田時代錯誤イジリ という記事が出て、驚くとともに
スポーツ選手へのインタビューについてある出来事を思い出した。

明石家さんまさんの、メッシへのインタビュー。ちょうど自分はその時テレビでその場面を見ていた。

持ち時間が限られていたのかもしれないが、メッシに挨拶してすぐに、
「メッシさん、いつ引退しはるんですか」
と聞いた。
メッシはその時に、かなり硬い表情で
「自分はまだ選手としてできる限り戦いたい。では」という感じで短いコメントを終えて、すぐにピッチに帰ってしまった。
珍しく、しまったすべった、いらんことを言ってしまったという痛烈な表情のさんまさんを見ながら自分までやってしまった気になった。
日本でさんまさんをよく知っている文脈で日本人にだったら受けたかもしれない会話が完全にすべった。
まあ考えてみれば外国人相手に、しかも通訳を挟んで行われる会話で
「アナタハ イツ インタイシマスカ」とぶしつけに聞かれたら、
このおっさん何を聞いているんだ、という感情になるだろう。

さんまさんはその質問の前に何を話すべきだったのか。

ここまでトレーニングを積み重ねてきたスポーツ選手にふさわしい適切かつ具体的な称賛を述べてからなら、いけたのかもしれない。

たとえば
「前半○○分の時、メッシさんはここまで下がってきて○○選手からボールをカットして、そのあとのパスがまた良かった。素晴らしいプレーでした。このプレーは練習通りにできた感じでしたか、あるいはその時のイマジネーションでしたんでしょうか」

「そのイマジネーションはグラウンドの上ですか、それとも日常生活でも行われるんでしょうか」

「サッカー選手も30台前後で指導者に役割を変えたり、第二のステップに行く人も多いんですが、あなたにはまだまだそんな引退を考える必要はなさそうですね。しかし具体的には何歳まで現役選手でいたいという目標はあるんでしょうか」

こんな流れで会話できたら、「いつ引退しはるんですか、あんたは引退永遠にしなさそうですよ!」の流れでメッシにもうける会話ができたかもしれない。

それと同様。
上田さんの司会もよかったのだが、せっかくの直接話せる機会を生かしてあなたのこんなプレーがみんなを力づけた、と具体的なプレーを挙げるなら、ああ、上田さんはこんな久保さんの一面を引き出してくれた、とファンが喜んだかもしれれない。

たとえば
「○○戦の前半何分の時、久保さんはここまで走りこんでここにクロスを上げましたよね。素晴らしいプレーでした。かなり走る量が多かったと思うんですが、カタールの気候の中で高い運動量を保って守備と攻撃の往復をするのは大変じゃなかったですか」
うーん、もっといい質問ありそう。
だけど詳細に、具体的にその人が頑張ったことを褒められたら、スポーツ選手はああ自分の頑張ったことを見てくれた人がいるんだ、とわかって、さらに心を開いていいインタビューになるのかもしれない。

そういうふさわしい誉め言葉の後に芸人らしいいじりが続いたら、上田さんをたたくような言葉がネットに上がることはもしかしたら少なかったのかもしれない。

スペイン戦でゴールを挙げた田中碧選手のインタビューがTverに出ていた。彼はとても考え深い人に見えた。ゴールを決めた喜びを語りつつ、
「ゴールは一瞬ですからね。また明日からは普段のしんどい練習がつづいていくだけで、喜べるのはほんの一瞬です」と語っていた。
スポーツ選手の孤独を見た感じがした。

ちなみに上田さんの突っ込みは上手に亀梨さんが拾ってくれていた、と評判だった。



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