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【EDH】ルールから見る『嵐呼びのカラマックス』の対処法

[2023/06/25 追記]
本エントリにルール上の間違いがありましたので、修正を行いました。ご指摘いただいた方、ありがとうございました。

思い立ったが吉日、ということで、私の愛用デッキのひとつ、『嵐呼びのカラマックス』の話をしたいと思います。

※本エントリはマジック・ザ・ギャザリング(以下MTG)のフォーマットのひとつ、統率者戦(EDH)についてです。
※本エントリはファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.

■はじめに

なぜこんな記事を書こうとしたかというと、『嵐呼びのカラマックス』は一見シンプルな効果に見えて、自分で使ったり相手にしたりすると実は結構ややこしかったり、想定と違う動きをしたりするからです。そうするとどういうことが起きるかというと、
・ルールを間違えて適用してしまう
・相手にうまく説明できない
といったことにつながってしまう可能性があります。これは誰も幸せにならないので、そういうことを避けるべく、全国のカラマックス使い、未来のカラマックス使い、そしてカラマックス使いと遊んでくれる人たちに向けて、ややこしくなりがちなポイントをまとめたいと思います。
え? なぜタイトルが「カラマックスの対処法」なのかって? それは、単にそのほうが書きやすそうだったからです。ごめんねてへぺろ。

■『嵐呼びのカラマックス』テキスト確認

図1. 嵐呼びのカラマックス(英、日)

効果がふたつありますね。ひとつめは条件付きで自分の唱えたインスタント・呪文をコピーする能力、ふたつめはインスタント・呪文をコピーするたびに+1/+1カウンターを自身に乗せる能力です。どちらも「Whenever(~するたび)」と書いてあり、いかにも悪いことをしそうな雰囲気です。

■ひとつめの能力について

ひとつめの能力には、if節(である場合)が使われています。このテキストは英語ではなくMTG語なので、if節にはif節ルールが適用されます。if節ルールというのは、MTG Wikiに以下のように記載されています。

1. if節の条件が満たされていない場合には、能力は誘発しない。
2. 能力が誘発した場合、その解決時にも条件をチェックする。この時点で条件が満たされていない場合には、その能力は何も起こさない。

if節ルール - MTG Wiki

このひとつめの能力の条件は「Kalamax, the Stormsire is tapped(嵐呼びのカラマックスがタップ状態である場合)」なので、インスタント・呪文を唱えたときにも、この能力を解決するときにも、『嵐呼びのカラマックス』がタップ状態である必要があります。
つまり、この能力の解決前に、『嵐呼びのカラマックス』がアンタップ状態になったり、破壊されるなどして戦場に存在していなかったになっていた場合、インスタント・呪文はコピーされないということになります。

[2023/06/25 追記]
この能力の解決時に、『嵐呼びのカラマックス』が破壊されるなどして戦場に存在していなかった場合は、「最後の情報」を参照することになります。「最後の情報」が「『嵐呼びのカラマックス』がタップ状態だった」であれば、インスタント・呪文はコピーされます。

呪文や起動型能力、誘発型能力の解決によって発生する効果の処理に際して特定のオブジェクトの情報を必要とする場合、そのオブジェクトが元の領域に残っている場合には、現在の情報を用いる。しかし、そのオブジェクトが領域を移動している場合には、そのオブジェクトが領域を移動する直前の「最後の情報」を用いる。

最後の情報 - MTG Wiki

ポイントその1:『嵐呼びのカラマックス』のひとつめの能力が誘発したとき、インスタント・呪文をコピーされたくない場合は、解決前に『嵐呼びのカラマックス』を除去ではなくアンタップしよう!

いやいやアンタップとか難しすぎでしょ、対処法ほかにもあるのでは、と思った読者もいるのではないでしょうか。『嵐呼びのカラマックス』の能力が解決する前にそのインスタント・呪文を打ち消せばいいのでは、というお話です。これについては、公式サイトのリリースノートに答えが載っています。

A copy is created even if the spell that caused Kalamax's ability to trigger has been countered by the time that ability resolves. The copy resolves before the original spell.

Ikoria: Lair of Behemoths and Commander (2020 Edition) Release Notes | MAGIC: THE GATHERING (wizards.com)

日本語ページがないため公式の訳はありませんが、「この能力が解決されるときにトリガーとなったインスタント・呪文が打ち消されていたとしてもコピーは作られる」と書いてあります。

ポイントその2:『嵐呼びのカラマックス』のひとつめの能力に対しては、呪文の打ち消しより除去のほうが有効だぞ!呪文の打ち消しでは対処しにくいぞ!

[2023/06/25 追記] 
例外としては、『狼狽の嵐』や『かき消し』など、自身をコピーする能力を持つ打ち消しがあります。自身とコピーをそれぞれ、コピー元のインスタント・呪文とコピーされたインスタント・呪文を対象にすることで、両方を打ち消せる可能性があります。

図3. 狼狽の嵐
図4. かき消し

■ふたつめの能力について

こちらはひとつめの能力に比べるとシンプルですが、そもそもひとつめの能力とは独立している、ということにお気づきでしょうか。つまり、自身のひとつめの能力によるコピーでなくても、この能力は誘発する、ということです。たとえば、『嵐呼びのカラマックス』がアンタップ状態でも、ストームつきのインスタント・呪文を唱えるとこのサイズアップ能力は誘発して、ストームカウントと同じ数の+1/+1カウンターが乗ることになります。

図4. 嵐の乗り切り

ポイントその3:『嵐呼びのカラマックス』のふたつめの能力は、ひとつめの能力の条件を満たしていない場合でも誘発することがあるぞ!

■混ぜるな危険!なカード

なにかをコピーする能力は、大体において相性のいい(悪いことができる)カードが存在します。EDHREC にも「High Synergy Cards」という欄がありますが、優しいもんですね。

・双対の声、ヴェイラン

図5. 双対の声、ヴェイラン

このカードのふたつめの能力は、インスタント・呪文を唱えるかコピーすることによって誘発する能力が、追加でもう一回誘発するというものです。ところで、『嵐呼びのカラマックス』のふたつの能力のうち、追加でもう一回誘発するのはどちらでしょうか?

正解は、両方です。ひとつめの能力は「インスタント・呪文を唱えるたび」、ふたつめの能力は「インスタント・呪文を1つコピーするたび」なので、両方該当します。そうすると何が起きるかというと、『嵐呼びのカラマックス』と『双対の声、ヴェイラン』が並んだ状態では、インスタント・呪文を1回唱えるごとに2回コピーされ、+1/+1カウンターが4つ乗ることになります。

ポイントその4:『双対の声、ヴェイラン』は見たら焼け!

■おわりに

ということで、ややこしくなるポイントをまとめてみました。このあたりを押さえておけば、いつカラマックスに除去を当てるべきか、なんとなくわかったのではないでしょうか。とはいえカラマックス使いも無策なはずもなく、『偏向はたき』やら『蛇皮のヴェール』やらを構えていることでしょう。そのあたりのやりとりも、このデッキの面白いところのひとつですね。ではではこのへんで。カラマックスに幸あれ。

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