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アテネの街のグラフィティ

グラフィティ3

以前、日本のお客様をご案内していた時に、「グラフィティが多いですね」とおっしゃられる方が何人もおられました。もちろん残念に思われてのことで、観光国として国をあげて法律で、街をきれいに見せる国もあるのにと私も同調していました。

実際に私が住む地域でもたくさんのグラフィティがあります。その大半が、ただの落書きで、嫌がらせであり、迷惑行為です。アパートの壁に乱暴に意味もない文字を並べたり、暴力的な言葉を書いたりと様々です。

グラフィティ2

また別の機会で、若い二人の女性のお客様の散策に同行した際、たまたまモナスティラキのお土産屋が両脇に並ぶ細い道を通っていました。まだ開店前だったので、お店のシャッターが下りていました。そのシャッターは色鮮やかなグラフィティでいっぱいでした。「うわー、綺麗」と声を上げて熱心に写真を撮り始めました。そこには海から現れる三叉の鉾をもった海の神様ポセイドンやファンキー調に描かれた人物像などでいっぱいでした。私の中では、嫌悪の対象でしかなかったグラフィティが、ストリートアートとしても存在するんだなと思いました。

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ギリシャでは基本的にグラフィティは犯罪です。見つかった場合は3000ユーロの罰金が科せられます。英国では最高5000ポンドまで、アメリカのカリフォルニア州では、最高で50,000ドルの罰金だそうです。ちなみに日本では、軽犯罪となり、有罪になった場合は、1日から30日未満の拘留、あるいは、1000円以上1万円未満の罰金が科せられるそうです。

グラフィティ

基本的にグラフィティーは二つの種類に分かれており、一つはストリート・アートとしてのもので、許可された空間でのグラフィティです。それは公共の建物であれば、国で認められた、また一般の建物であればその所有者によって認められた空間です。

もう一つの部類は違法となり、政治的なメッセージを伝える、いわゆるアクティビストが行うグラフィティと、社会に反する人たちや、またはやり場のないティーンエイジャーの落書きの部類に分けられます。ほとんどのグラフィティは見ていて感じのいいものではありませんし、観光国で成り立っているギリシャでは残念なことです。

グラフィティ4

実際、グラフィティがされているほとんどの場所は個人の家あるいはアパートの壁です。私の住んでいる周辺にも沢山迷惑行為の落書きがあります。通常何人かのグループで夜中にグラフィティ活動が行われています。グループの中には見張り役の者も含まれているそうです。夜中であること、現行犯でしか捕まえられないということから、なかなか犯人逮捕とはならないのが現状です。

グラフィティ1

ここに載せているグラフィティはアテネ中心部を散策しているときに見つけたグラフィティです。学校の建物の裏の壁に描かれたものや、お土産やさんのシャッターに描かれたものは許可されたグラフィティなのでしょうが、それ以外は許可されていない壁でのグラフィティだと思われます。でもやっぱり自分の家の壁が何者かによって落書きをされるというのはいいものではありません。認められない空間でのグラフィティは取り締まりがもっと厳しくなってもいいのにと個人的に思います。

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