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【企業インタビュー】グループ全体で臨むカーボンニュートラル。実質的削減のためにーー私たちの挑戦。株式会社三井住友フィナンシャルグループの事例

脱炭素化社会の推進に向けて、企業はさまざまな取り組みを始めています。

しかし「何をどうすればいいのか」「他の企業はどんなことをしているのか」と考えあぐねている人は多い様子。

パーセフォニジャパンは、先進的に脱炭素化社会に向けた取り組みを進めている企業様にスポットを当て、みなさまが参考にできる実践法をお聞きしています。第2回となる今回は、パーセフォニのお客様である株式会社三井住友フィナンシャルグループ様へのインタビューです。

迷ったり悩んでいる方々の参考になりますように。

【用語解説】カーボンニュートラルとは、発生した炭素(CO2が対象)排出量と除去量を差し引きゼロにする状態です。詳しくは過去の記事【秒速理解】脱炭素社会とは?なぜ目指すのか?達成の第一歩とは?で解説しています。

■インタビューした企業様
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
■お話を伺った方々
株式会社三井住友フィナンシャルグループ 
管理部開発グループ 小槻 淳様、山内 洋一様

グループ全体で総力をあげて課題解決に取り組む


ーーお二人が所属されている管理部では、グループ全体のカーボンニュートラルに取り組んでおられるそうですね。

そうですね。SMBCグループは2019年に「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を制定し、2020年4月には2030年までの計画である「SMBC Group GREEN×GLOBE 2030」を策定しましたが、長期目標の1つとして「SMBCグループが排出する温室効果ガス(GHG)(Scope1,2)を2030年において実質ゼロにする」を掲げており、目標達成に向けた様々な取り組みをグループベースで行っています。

管理部開発グループ  小槻  淳さん


ーー具体的に、目標達成に向けどのような取り組みをされているのでしょうか。

主な取り組みとしては2点あります。1点目はエネルギーデータの収集とCO2排出量の算定を行い、グループ全体の自社GHG削減計画の策定です。また、個別案件としても、使用電力の再生可能エネルギーへの切替えや、オンサイト・オフサイト型の太陽光発電施設の開設、非化石証書やJ-クレジットの購入などに取り組んでいます。2点目は、空調設備へのAI制御の導入や大規模ビルの運営スリム化などによる省エネルギー化などで、試行錯誤しながら、様々な取り組みを行ってきました。

――メガバンクがメガソーラーの創設とは斬新な取り組みと感じました。

ありがとうございます。実際に、再生可能エネルギーを生み出すプロジェクトを手がけることによって、GHGの実排出量を減らしたいという想いから始めました。メガバンク初の取り組みとして、プレスリリースをご覧になったお客様からご評価をいただけましたし、同じようにメガソーラーを開設する金融機関も誕生するなど、後に続いてくれる会社が増えているので、やる意義はあったと感じています。

管理部開発グループ  山内  洋一さん

省エネルギーにも真剣に取り組みたい

ーーカーボンニュートラルの取り組みを進めるにあたり、心がけたことは?

カーボンニュートラルを達成するには、再エネ証書やクレジットを購入するという方法もあります。これらはコストをかければ達成できるという側面もありますが、それだけでは不十分だと感じています。実際に使っているエネルギーの使用量を減らすといった取り組みや、コーポレートPPAの導入など、新たな再生可能エネルギーへの投資を促す追加性のある取り組みを行うことで、直接的にCO2の排出量を削減する取り組みが、大事だと考えています。もちろん長期目標の設定前から省エネ対策を実施してきましたが、近年はより重要性が増していると、強く感じています。

オフサイトコーポレートPPAスキーム図(出典:株式会社三井住友フィナンシャルグループ)


ーー目指す脱炭素化社会と現実とのギャップを埋めることは難しいですね。

確かに照明や空調、パソコン等の電子機器等、これだけ電気を使って業務を行っている以上、消費エネルギーをゼロにすることは難しいです。また、冷暖房の大幅抑制をすることで従業員に心身負担を強いる施策にも限度があります。ただ、昨今はAIなどを活用した新たなソリューションも増えてきたと感じています。お取引先様からも様々な提案をいただいており、一つ一つ試行錯誤しながら進めていきたいですね。

ーー具体的にはどういった取り組みでしょうか。

これまで、大型ビルの空調設備は、人が過去の経験に基づいて運転したり、決まったプログラムで制御したりしていましたが、AIが気象予測等に基づいて運転制御を行うシステムの導入を進めています。
ビルで使用するエネルギーの約30%が空調設備で使われています。これをさらに省エネ化できると、大幅なエネルギー削減につながるのです。AIの活用は我々としても初の取り組みです。今後どれほどの省エネにつながるか、楽しみにしています。

意思を丁寧に伝えて基準を統一   情報のアップデートを怠らない

ーーグローバル展開をしている企業ならではの悩みもあったのでは。

当行は海外約40か国に拠点がありますが、CO2削減の重要性については、国によってまだまだ認識に差があります。まずは、何故CO2削減がSMBCグループとして必要なのか、削減計画を含めて丁寧に説明し、理解してもらうことから始めなければなりませんでした。またエネルギーデータの収集が難しい国もあり、どうやったらデータを集めることが出来るかを調べるのに悩みました。

ーー海外諸国とのコミュニケーションにご苦労もあったのですね。

そうですね。さらに初めて行う業務なので、やって欲しい業務を正確に伝える必要があります。言語のニュアンスや文化の違いを踏まえ、コミュニケーションの取り方を工夫しました。また、環境関連の情報開示規則などは頻繁に変更される為、国毎の最新情報をキャッチアップし、そのつど情報をアップデートしていくことも必要でした。

現状を理解し、できないことは他者の力を借りる

ーーカーボンニュートラルの取り組みで大切にしていることはありますか?

私たちもまだまだ手探りの状況で、トライアンドエラーを繰り返していますが、現状を知ることはとても大切だ、ということです。しっかりと現状を把握した上で、どこに課題があるのか見つける、私たちだけでは解決できない課題があれば、他社の力を借りることも必要だと感じています。逆に当行が試行錯誤を通じて培ったノウハウは、他社にも役立てて頂けるよう、積極的に情報発信していきたいと考えています。


ーー今後、SMBCグループとして取り組んでいきたいことは?

銀行では、4つある本部ビルと、保有している全てのビルの電気を再生可能エネルギーへ切替えました。今後は、賃借ビルや海外拠点についても、脱炭素を進めていく必要があると考えています。また、私たちの取り組みを広く皆さんに知ってもらい、私たちも含めて各社で切磋琢磨することで、より取り組みが広がっていくことを期待しています。その為に我々が少しでも貢献出来ることがあれば、積極的に取り組んでいくつもりです。

SMBCの皆様、ありがとうございました!



最後までお読みいただきありがとうございます。

グローバル展開をされている企業ならではの悩みは、大企業の皆様にも共感できる部分はあったのかもしれません。そして、机上での取り組みだけではなく、実際に省エネにつながるアクションについてを真剣に考えることがまず大切なのでしょう。

今回の事例を通じて、皆様の活動のヒントが見つかることを祈っています。

それではまた次回、お会いしましょう!


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