コーヒーに憑かれた日

記録を読み返せばちゃんとした日付はわかるんだろうけど、コーヒーに嵌った瞬間というのを今でも鮮明に覚えている。

当時(たぶん10年くらい前)東京に住んでいて、友人の結婚式が関西で開かれるということで、結婚式前後に京都旅行でも盛り込もうと何となく京都チャリ旅を計画した。

大徳寺観光を終えて「手打ち蕎麦 かね井」で蕎麦を食べた後に、西から東へ鴨川めがけて何となくチャリを漕いだ記憶がある。

たぶん何10 kmも走ってとても疲れていた時に、当時別にコーヒー好きでもなんでもなかったけれど、ブラックコーヒーとしてコーヒーを飲むのが好きなくらいで、ネットで点数の高そうな店に決めて入ったのを覚えている。

場所としては、出町柳駅から徒歩数分で幸福の科学の向いにある白い雑居ビルの二階。階段を登る間にコーヒーのいい香りがしてきて、たぶん当たりな店だと直感的に思った。

カウンターは満席だったので、焙煎機近くのテーブルに案内されて、豆の産地のわかる世界地図のメニューに赤いシールや青いシールで焙煎度合いが書かれていたけれど、何を頼んでいいかわからず、「どういたしましょうか?」と言われて、

「めっちゃ疲れた時にがつんとくるコーヒーで」みたいなすごい適当な注文をした記憶があり、そのお店は濃さを「こってり」「あっさり」で分けていたのだけど、もちろん「こってり」でオーダーをした。

疲れていたのと季節が秋間近だったので、店内の温かい最適な温度とたばこの香りも何か眠気を誘って心地よく、ネルドリップで丁寧に抽出される時間も忘れられて個人的には最適なタイミングでコーヒーが陶器ではなく、切子ガラスで出てきたのを覚えている。

後から器にも嵌ることになって気づくのだけど辻和美さんのグラスに注がれた濃厚なこってりドゥミタスは、自分の中で勝手に決め込んでいたコーヒーの味の想像をはるかに超えていて、コーヒーってこんなにコクのある美味しい飲み物なんだと初めて思った。


一気に眠気も冷めてコーヒーの入り口に立ったような気がした。


素敵な趣味を持たせてくれたKAFE工船の瀬戸さんに感謝。



#コーヒー #ネルドリップ #オオヤミノル #Coffee #カフェ #珈琲 #人生を変えた出会い




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?