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<日本の若者世代が背負うものって?>感想:報道1930(2019年5月3日放送)

しばらく記事を書いていませんでした。
ゴールデンウィーク。楽しみでたまらなかった連休も、そろそろ終盤ですね。

5月3日19時半、何気なく実家でテレビを点けていたら、チャンネルはTBSでした。「報道1930」。生放送形式のニュース番組です。

放送内容に色々と感じるところがあったので、備忘録も兼ねて記述してみようかと思います。

*番組の内容まとめ

今回の放送のテーマは、「今日の若者が年配者に何を思うか」。
松原耕二氏、高畑百合子氏、出水麻衣氏、堤伸輔氏、パトリック・ハーラン氏といういつものメンバーに加え、北野大氏、椎木里佳氏というゲストを迎えることにより、20代・30代・40代・50代・60代・70代を1人ずつ取り揃え、スタジオで議論を開始した。
議論のベースとなったのは、15名の名門大の学生を集めた座談会のVTRだった。
座談会は、進行役の松原氏が学生たちに様々な問いを投げかけ、○×で回答をさせ、その理由等を聞きながら議論を行う形式で進められた。
松原氏は、1000兆円もの借金(2018年3月時点の日本政府の国債・借入金等による債務額は約1087兆円)を背負わされた学生たちはさぞ年配層に不満が溜まっているだろうと予想していたが、そこで直面した若者たちの回答は異なっていたという。
座談会に出席した若者のうち、過半数は現状に満足していると述べたが、「将来が不安か」という問いには半数が○、半数が×と答えた。その上で、過半数の学生は、1000兆円の債務に関し、年配世代への怒りがないと答えた。また、ほとんどの学生が将来年金を受給できないと考えており、「それをどのように補うか」との問いに対しては、自らの貯蓄で賄うしかないといった意見が上がった。
また、話題はTwitterにおけるハッシュタグ「#老害」へと移り、電車に乗っていて杖で叩かれた等、年配層に対し不快な印象を持った身近な経験についての若者の意見が取り上げられた。スタジオでも、「最近の若い者は」「老害」と批判しあう構図について議論が行われ、世代間でいがみ合い差別につなげるのではなく、お互いの歩み寄りが必要だという結論に着地した。

*「違和感」とぽっかり空いた穴

この番組を見た感想を率直に申し上げるのならば、
「本当にこれでいいのか!?」というざらざらした違和感がありました。
今回の議論において、富裕層とならない若者世代が背負っていく負担の重さについての意識が全く欠落していると思われたからです。
①座談会参加者の偏り
スタジオでパックンも指摘していましたが、今回の座談会で集められた学生は名門大学に所属する学生ばかり。すでに起業済という華々しい経験を持った学生もおり、比較的将来の選択肢も広く、多くの収入を得られるチャンスのある方々と想定されます。参加者を選抜する時点でかなりバイアスがかかっていると思われるので、これを若者の代表意見とするのでは不十分で、もっとさまざまなバックグラウンドを持った若者の意見を検証する必要があると考えます。

②若者世代の低・中所得層は将来どうなるのか?という議論の所在
座談会では、「1000兆円の債務は仕方ない」「年金受給も諦めている」という意見が目立った一方、それを補う方法としては「個人の貯蓄」が挙がっていました。政府の支えを期待せず、生き抜いていく必要があると考えているようです。しかし、高収入を期待できる層はいいかもしれませんが、低収入しか期待できない層は、今後の社会変化の中で耐えていけるのでしょうか?過剰な負担に低所得層が耐え切れなくなったとき、高所得層は人口の逆三角ピラミッドの中で高齢者+同世代の低所得層を支えていけるのでしょうか?
今回の番組に限らず、この問題についての議論が日本社会においてあまりにも不足している気がします。

③さらに次の世代につなぐ責任をどう考えるのか
蛇足かもしれませんが、「1000兆円の債務は仕方ない」という意見が強かった中、若者世代は、「次の世代に債務を残さない責任」についてどう考えているのだろうという疑問もわきました。前の世代の債務を「仕方ない」と感じるのであれば、今の若者世代が更に次の世代に債務を残していくことも「仕方ない」ということになるのではないか、表裏一体にはならないだろうかという疑念を持ちました。仮に、今回の議論を通して、「怒りのなさ」が浮き上がったのだとすれば、その原因を今後掘り下げていく必要もあるのかもしれません。

*若者世代(25歳)の自分が思うこと

一人の若者として、日本の将来に対する個人的な意見を述べますと、現状には満足しています。しかし、将来はめちゃめちゃ不安です。
これまで積み重なった債務については、一人一人の年配の方に対する怒りはありませんが、これまでの政府が何をやってきたのだろうかという疑問はありますし、それを許してきた有権者としての前世代には非があると考えています。
ただでさえ少子高齢化と人口減少によって税収は減り、社会保障費は増大し、インフラは老朽化しても直せないほどお金のない時代がやってくるのに、比較的潤ってた頃に多大な借金をつくられて、返せなかったから返しておいてくれとか言われても「無理だよ」としか言えません。こうなる未来は予測できていたはずなのに、ここ10年でも債務残高は大幅に増えています。その支出についても、将来の財政難を回避するために有効に活用されているとも感じられません。しかし、私たちの世代で返済しなければ、さらに次の世代がもっと苦しむのだろうと思います。理不尽でも、バトンが渡されてしまったからには、改善する責任があると思います。
しかし、その本当の苦しさに気づくのはきっとこれからなのだろうという思いがあります。今はまだ東京の人口も上向いているし、地方主要都市においてもそれほどの実感はないかもしれませんが、少子高齢化と人口減少の影響をシビアに感じる瞬間が、突然来るのではないかと予想します。少子化対策がもはや手遅れであり、人口減少は止まらないと言われているように、実感を持ってからの対策では遅いのかもしれません。せめて今からでも、真剣に議論を重ね、少しでも将来の状況を緩和するための対策を強化していく必要があるのだと思います。

*最後に

今回の番組の座談会参加者は、LINEでの呼びかけに呼応して集まったとのことで、社会問題への関心が高い方々だと考えられますが、それなのに債務や年金に関してそれほど踏み込んだ議論を放送できず、老害等身近な嫌悪感の話題にシフトして終わってしまったことは、番組として非常にもったいないと感じました。(番組は編集されているので、見えないところで様々な深い議論があったのかもしれませんが、少なくとも視聴できる範囲では。)
今後も継続してこの問題を議論していく場が必要だと思います。

この記事が非常に興味深いと感じました。
今こそ、限られた税金の使い道を本当にシビアに考えなければいけない時なのだと思います。

(写真:2012年12月、東京都吉祥寺にて撮影)

#報道1930 #日本社会 #政治 #少子高齢化 #世代間格差 #若者

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