「女性への畏怖と憧憬」ムンク展@東京都美術館 1/14 (1/2)

大混雑のムンク展

記念すべき1ログ目は大混雑で有名だったムンク展。2018/10/27~2019/1/20まで東京都美術館で開催してましたね。年内はそんなに混んでいなかったのに、年明けになったとたん1時間待ちは必至というかなり大盛況の展覧会でした。私も大混雑と聞いていたので開館時間を狙って行ったのですが9:50に美術館前に着いた時点で1時間待ち。。。

まあ並びましたね。。。入口までに1時間、中も目の前で見るためには並ぶ必要があり、結果滞在時間は3.5時間。。。さすがにちょっと疲れました。

ムンクの月

ムンク展に行くまでの私の彼のイメージは「叫び」はもちろんのこと、「マドンナ」と”月の人”という印象。

私の好きな漫画の一つに羽海野チカの名作「ハチミツとクローバー」がありまして、その中の一説ではぐちゃんという天才画家少女がムンクの月と海の描かれた古いポストカードを見つけて「寒い国の人だと思ったの」と言います。

なんだかそのシーンが印象的でムンクといえば月の人、寒い国の人という印象がありました。手もかじかむほど寒い夜、鼻の頭に感じるノルウェーの冷気と月の光。少し寂しい様な、夢と現の交わる白夜の様な空。実際に彼の絵を見るとどの絵からもそんな寒い冬の寂しさと、柔らかい月の光のぬくもりを色調から感じました。寒いようで暖かい、寂しいようで懐かしく、居心地がいい。


女性へのどうしようもない畏怖と憧憬

男性画家の人生を語る上で、影響を与える女性いわゆるミューズという存在は避けては通れないものです。ダリにとってのガラ、ミュシャにとってのサラ・ベルナール。

ムンクの場合も例にもれず不倫相手のダグニー・ユールに、結婚しなければ死ぬといってムンクを銃で脅したトゥラ・ラーセン(あろうことか銃が暴発し、ムンクの指に怪我を負わせる!!)と、様々な女性が彼を取り巻いていました。でも彼にとってのミューズは母と姉だったのではないかと私は思います。

彼は5歳の時に母を、14歳の時に姉を亡くしています。この2人の死が色濃く映し出された絵のひとつが「病める子」のモチーフです。

ちなみにムンクは(他の多くの画家もそうですが)同様のモチーフから何点かの連作を描いているので、色や構図の差を感じながらお気に入りを見つけるのも楽しいです。

ほら、色が変わるだけで全然雰囲気変わりますよね。私は赤いリトグラフの絵が一番好きです。目から自分の死期を悟っているような落ち着きと諦めが感じられる様な気がします。


幼少期に家族のそれも女性ばかりを失ったことにより、おそらく彼の中で女性は儚いものという印象になってしまったのではないでしょうか。愛してもいつかは自分の傍からなくなってしまうもの。だけど愛さずにはいられない。そんな女性の儚さへの恐れやいられない。そんな女性という存在への並々ならぬ感情を表現したのが「マドンナ」だと思っています。

小さいころにこの絵を画集か何かで見たときに、左下の胎児の様な人物の顔が怖すぎてやけに脳内フラッシュバックをしていたのを覚えています。話それますが、小さい頃って怖いと感じた映像やイメージをやけに鮮明に覚えていたんですよね。私だけでしょうか…?

大人になった今、改めてこの絵を見ると怖さよりも「いいなぁ...」という感情を持ちました。だってこの女性すごく美しくないですか⁉女性だけが持ちうるエロスや高貴な雰囲気や神秘性などの全ての良い点をぶち込まれて描かれていると思うんですよね。これだけ美しく描けてもらっているこの女性への羨ましい私の気持ちと、

そういった自分(男性)は持ちたくても持てない女性だけが持てる特権(子供を宿すことも今の科学技術では女性だけが持ちうる特権ですね)みたいなものへのずるいな、いいなっていうムンクの気持ちが相まって羨望の様な感情をこの絵から抱きました。

さてさて、4時間近くこの展覧会に滞在していたからか初回のログなのにかなり長文化してしまいました。なんせ、まだ「叫び」に触れられていない(笑)

てなわけでムンク展ログは2部構成にしようかと。次回は後半、真似せずにはいられない「叫び」と、彼の色調についてログを残したいと思います。それでは1回目のログはここまで。ありがとうございました。