人のセックスを

なりたい人-人のセックスを笑うな-

ずっと気になっていたので深夜に見てしまった。
永作博美と松山ケンイチと蒼井優がでていて、こんなに光の使い方がきれいな画なのに面白くないわけがないと思った。大好きな映画になった。

永作博美演じるユリは自由で魅惑的で謎多きリトグラフの先生。松山ケンイチ演じるみるめは温厚で一途で、つい触ってみたくなってしまうような若い魅力のあふれた芸大生。蒼井優演じるえんちゃんは、みるめのことを気になっていながらも、友達として隣の席を陣取るけなげな女の子。

リトグラフの先生が産休に入り、ユリがみるめたちの大学に赴任してきたところから(本当はもっと前からなのだけれど)話は始まる。

みるめは、ユリの艶やかで無邪気で自由なところに惹かれ、ユリはみるめのまっすぐで幼くて、かわいらしいところ(多分)に惹かれて、急速に距離を縮めていく。えんちゃんはそれを面白く思わないながらも、みるめの助けになる。

この話に出てくる登場人物はみんな魅力的だ。

ユリは、自由で、少女みたいにかわいらしくて、やりたいことに素直で、だけど旦那さん(ユリは既婚者だ)に不倫がばれないように立ち回る強かさももっている。意識してやっているのかはよくわからないけれど。

もちろん不倫はよくないことだけれど、ユリはきっと旦那さんを愛していないわけではなくて、ただやりたいように好きに生きているだけなんだろうな、と思った。不倫を肯定するわけではないけれど、こういう人いるよなぁ、と思ってしまった。どうしても許してしまうというか、そういうところも含めて好きになってしまう、そんな人。もちろん旦那さんが実際どう思っているのかなんて、想像の範囲でしかないけれど。

ユリのふるまいを見ていると、だれでもユリを好きになてしまうだろうなぁ、という気持ちになってしまう。

自由で気ままで、「わたしのことをきらいなら離れてくれていいんだよ」、と言っているような後ろ姿。

私がユリの年に近づいてから見たら、このユリへの評価はまた全然変わってしまうのかもしれないけれど。

次に、みるめ。
みるめは本当にまっすぐで、やわらかそうだけれど、一本芯をもっていそうな素敵な男の子で、ユリがつい「触りたくなった」のもわかる。みるめみたいな男の子が自分を好いてくれたら楽しいだろうな。

みるめはユリのことを好きになって、一途に思っていて、ユリが既婚者だと知った時も、ユリからの連絡を取らないように携帯をがんじがらめに紐でくくってしまったりして、それでも忘れられなくてけじめをつけにユリに会いに行ったりして。

とにかくやることが純朴でかわいい。

最後にえんちゃん。えんちゃんは、一番普通で一番強い女の子だと思う。
えんちゃんはみるめのことが好きだけれど(たぶん)、みるめに触ってみたいけれど、みるめがユリのことを好きになったのを知って、みるめに迫ったりすることはせず、ちゃんと自分の人生を生きている。大学もやめてしまう。

そうして、みるめがユリに会えなくなって沈んでいるのを聞いて、みるめに会いに行き、「会いたいなら会いにいけばいいじゃん」とみるめの背中を押す。

えんちゃんは素敵だ。格好いいのだ。倫理観も一番ちゃんとしている。まぁ倫理観がきちんとしていることが人生の幸せにどれくらい直結するかは人によって意見が割れるところだと思うけれど。


不倫・年の差の恋という、どろどろしいテーマなのに、音楽の効果もあってどこかほっこりとしていて、物語チックで、綺麗なところがよかった。
暗い気持ちにならない映画がやっぱり好きだ。

最近は映画を見ては、こんな人になりたい、と思うことが多い。
映画で映される登場人物の素敵な一面だけを切り取ってつぎはぎで繋げた私になってみたいと思っている。そんなことはきっと無理で、映画の登場人物も、映画には見せていない一面がきっとあって、そこには人間臭くて目を背けたくなるような性格もきっと隠されているだろう。それはわかっているけれど。

やっぱり、例えば私が私を客観的に、幽体離脱でもして眺められたときに、素敵かもと思えるような人間になりたいな、と常々思います。

それをわかりやすく眺められるのが映画で、やっぱり「いいなぁ」と思ってしまって、邪念だなんて思います。

とても好きな映画でした。

ここまで書いた後で色々なサイトのレビューをみると、まぁまぁまぁというような感じでした。みんな好きな映画が違って、だからこそこんなに広く間口を広げた映画って、やっぱりいいですね。好きです。

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