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女王蜂全国ツアー2019 「十」-火炎-にいってきた

昨夜、女王蜂の全国ツアー「十」-火炎-に行ってきた。女王蜂のライブに行くのはこれでもう4度目か5度目になる。私が今、一番ライブを逃したくないアーティスト、それが女王蜂だ。

女王蜂のライブは、客側の自由度がとても高いライブだと思う。まずハイヒールがオーケーだ。(他のバンドのライブでは、危険なので自粛する人が多い)昔のライブではドレスコードがあったくらいだし、今のライブでも、チャイナ服やきめきめで露出度が高い服のお姉さんがたくさんいて、よっぽど周りの人の迷惑にならなければ自分の好きな格好でいけるライブだと思う。(私はそう思っているだけで、今のライブに関して公式な見解はないようですが…)

私はズボンをはいた自分が好きではないので、ライブもできるだけスカートで行きたい。誰が見ているわけではないけれど、せっかくのライブなんだから、一番好きな自分で行きたい。それで、今回は他のバンドのライブでは着にくそうな、広がりの少ないロングスカートで行った。それでも許されている気がするのが、女王蜂のライブのいいところの一つだと思う。

さて、今回はZepp Osaka Baysideということで、大阪のライブでは初の規模だった。こんなにたくさんの女王蜂ファンが集ったらどうなるんだろう、派手派手になるのでは、と思ったけれど、素敵な服装のお姉さん方と普通のライブが好きそうな服装のお兄さんお姉さんが半々といったところで、女王蜂の人気の広がりを感じた。

ライブセットは枝垂れの藤。枝垂れというのか、棚になっていない藤。光で照らされて美しい。赤の光でメンバーが登場する。

最初の曲はDance Dance Dance

Boy meets girl ! Boy meets boy ! Girl meets girl !とみんなで叫ぶのがとても楽しいアッパーチューン。ときめく夜がはじまる曲。まだ夢の中のように、ライブの始まりを感じる。

ライブが始まったとたん、みんなどこからかジュリ扇を取り出して高く掲げて揺らす。ジュリ扇は色とりどりで、照らす光も虹色で、色々な色が混ざって、けれど混ざり切らない空間になっていく。いろいろなことが振り切れて踊る。

その後もアッパーチューンが続いていく。火炎、デスコ、スリラ、失楽園。アヴちゃんの煽情的でかわいらしくてお腹の底からの咆哮のような声が、観客をどんどん深いところへ連れ込んでいく。

アッパーチューンの連続で、目の前がちかちかし始めると、アヴちゃんの劇場が始まる。女王蜂のライブは女王蜂みんなの劇場であるような気がしているけれど、私はこの暗めの背筋に冷たい汗が落ちるような曲の連続するところをアヴちゃんの劇場と呼びたくなってしまう。

折り鶴、告げ口、売春。

アヴちゃんが全身で表現する悲しみや切なさややりきれなさや怒りが、会場中を席捲する。どの曲も、物語が具体的に描かれていて、そんな経験が実際にあるわけではないけれど、この悲しさを、この苦しさを、この怒りを私は知っている気がする。アヴちゃんが全身を使って表現することを、いつも怖く思いながら、ひと時も目を離せないでいる。

劇場が終わって、しゅらしゅしゅしゅで、会場のボルテージがまた上がる。熱を放出するように。

個人的に嬉しかったのは空中戦だ。とても好きな曲。比較的前の曲だから、やってくれるかわからなかった。またライブで聴けて、本当に嬉しかった。

空中戦の最後の歌詞でこんな一説がある。

賽はとっくに投げられて
生きるか死ぬかの空中戦
一寸先は地獄でしょ 
君がいなけりゃ地獄もないけど

私はこの歌詞が好きで好きでたまらない。足場も何もないような、どうして生きているのかよくわからない日々が空中戦のようで、自分というもので生きていかないといけない、賽が投げられて戻れない。誰かと関わるのは苦しいけれど、その誰かがいないと生まれない喜びがあって、関わるのをやめられない。

人間やなぁ、と思って泣いてしまった。

アヴちゃんがMCで言っていた、今までも何度も言っている言葉が印象的だった。「みんな、女王蜂って知ってる?って聞かれたりすることがあるんじゃないかと思うんやけど、そのときに『いや、私ライブも行ってますけど?』って、できるように、これからももっとやっていきます」

私自身は女王蜂って知ってる?って聞かれたことはなくて、誰か聞いてくれないだろうか、と思っているけれど、そんなことはまぁ良くて、女王蜂というバンドを好きになってよかったなぁ、と思っている。好きになるのも全部偶然が重なっているのではないかと思ってるから、すべての偶然に感謝したい気分だ。

あのときモテキを見てよかった(デスコが劇中でライブ演奏される)。近所のTSUTAYAがCDをおいていてくれてよかった(いいと思ってすぐに買えるような経済力はなかった)。高校の帰り道、まだ明るい時間帯に告げ口を初めて聞いて、怖くなってとめたのもよく覚えている。(暗い夜道で聴かなくてよかった。)

最後の曲は聖戦。

「次の曲で最後にしようとおもってるんやけど、この曲でまたひとつ壁をこわすことができました。」と言って始めた曲で、アンコールもなく本当に最後の曲だった。

いつか笑える日が来るさ

悲しいメロディに、アヴちゃんの優しい声。
辛いことばかりじゃない。本当に楽しい日もあるし、楽しいのかもしれないと思って笑ってみる日もある。全然楽しくないのに張り付いた笑顔の日もあるけれど。それでもこんな風に歌ってもらえる日があるなら、幸せって言えるよなぁ、と思った。

一人できたライブで、感想を言い合う人もいなかったけれど、スキップしたくなるくらい心が跳ねたままの帰り道だった。

ライブでしか壊れない、発散できないなにかがあると思うんやけど、私はそれを壊したくてこんな風にライブや劇を見たり、やったり、ステージに立ったりしてる

とアヴちゃんがMCで言っていて、その通り、言葉にできないなにかをぶっ壊してくれて、眠りにつくまでずっと心が跳ねていた。




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