2015年12月第5週/2016年1月第1週

29日(火)

先日亡くなった祖母のエイさんが目を細めて微笑んでいるか、嘆き悲しんでいるか、頭を抱えて落胆しているか、そのどれでもなく素の真顔で全く反応を示していないか、どうか定かではありませんが、すっかり喪に服してサッカー観戦続きの オッサン です。今年最後のサッカー観戦は味の素スタジアムの天皇杯準決勝、浦和レッズ vs. 柏レイソル です。1月31日の JAPAN YOUTH PUMA SUPER LEAGUE 川崎フロンターレ U-18 vs. 米子北高校 にはじまり、年間60試合超のサッカーを見てきましたが、今年の見納めの試合に例年通りまたしても 川崎フロンターレ が含まれていないことがチトばかり残念ではあります。両サポーターの混雑を避けて西調布駅からのアプローチを選んだためアジパンダ広場ちかくの入り口から入場です。

自由席ですから目指すはバックスタンドです。ひなたを選んでできるだけあたたかい場所に席をとります。となりの調布飛行場からのフライトには申し分のない天気です。「I’m flying, Flying to you. 体ごと 心ごと」と気持ちよく舞い上がりそうな空です。ちなみに 能瀬慶子 の アテンション・プリーズ の作詞作曲が 浜省 であることは一般教養としてぜひ押さえておきたい知識です。。

柏レイソルの今シーズンが終了しました。延長を含めて120分の攻防、元日にサッカーをするためには肉体的にも精神的にも大変な思いをしなくてはいけないようです。

その名の通り太陽王は日が傾くころに力尽きました。今年、Jリーグで最もACLチャンピオンに近かったチームでしたが、来年の同じ舞台へ立つことができないことになりました。サポーターもその敗戦を静かに受けとめているように見えます。

一方の浦和レッズサポーターは勝利の歌、「We are Diamonds」の大合唱です。その原曲となった「Sailing」を歌った Rod Stewart は 中村俊輔 が以前所属していた セルティック ファンであること、すらりとしたブロンド女性が好きであること、そして誕生の数分前にドイツのV2ロケットが通りを挟んだ向かいの建物に落ちたことは、すべてwikipediaのロッド・スチュワートのページの受け売りです。

30日(水)

これなら一緒に楽しめるのではと思い、発売と同時に購入したチケット。我が家のセンターバックのお二人を連れて武道館へ。ほぼ半径500mが生活圏となった二人に都心の地下鉄での移動はかなり気の毒なので武道館前の駐車場に直接乗り入れです。駐車場開場と同時の開演3時間前の到着です。

食事をしたりで時間を調整し、いよいよ入場です。しかし、オッサンがかねてから抱いていた疑念がここで問題となって明らかになります。今まで武道館は2階席にしか座ったことがなかったのですが、どうも階段を登った高さと自分が座った座席のアリーナからの高さにそこはかとない違和感を今まで感じていました。この日初めて武道館のアリーナに足を踏み入れてわかったのことは、武道館のアリーナが地下の1階に当たる部分にあること。18歳で武道館初体験をして以来、2階席以外に着座したことがないオッサンはその違和感に悩まされ続けてきましたが、この疑問が解消されたことで明日から明るく生きていけそうな気がします。ただ我が家のツートップのお二人は予期せぬ階段を降りることになり、たぶん心の中にダチョウ倶楽部の三人がそろって言うセリフが渦巻いていたに違いありません。チト気の毒でした。少しばかり反省、反省終わり。

この人の面白さは普通の人が絶対に気がつかない人やグループのなんとなく気持ち悪い部分を捉えて再構築するセンスだと思います。ともすると個性的、魅力的な部分として受け入れてしまいがちな部分を、思いっきし「これ変だよね!」と表現することへの再発見と共感の面白さ。普段の生活ではなかなか味わえない快感です。いきものがかりもミスチルも藤田ニコルもこの人にかかるとすごいことになっちゃっています。すこし心配したもののオッサンとしては我が家のお二人に満足をしていただけたのでほっとしました。

31日(木)

大晦日も昼過ぎまでお勤めです。帰宅後、正月を迎えるためにコストコ川崎倉庫店へ。到着したころには今年最後の夕日が空を西から赤く染め始めようかという時間になっていました。しかしかんがえてみれば、明日も年が変われどほぼ同じものが見られます。

2016年1月1日(金)

最近、復活を遂げた早朝散歩です。元旦に行うのは2年連続のこととなります。このノートで何度か触れていますが、この時期の夜明けは夜と朝のグラデーションが見事です。この日の予報も間違いないようなのでスンゲー早起きを敢行です。ただし、この早起きは年越しそばを食べ損なうという大きな犠牲の上に成立しています。この時点ではオッサンは新年を迎えましたが年は越していないねじれ現象が生じた状態にあります。

上流の橋までジョギングのようなものの往復を終えるとグラデーションが少しづついい感じになってきました。

そして、大晦日の夕日と同じく明日も見た感じはあまり変わらないと思われるのに世の中注目の日の出です。新年ということがこれだけ日の出の価値を押し上げるのであれば、たぶん価値観に関するいろいろ勘違いが新年に横行していることが容易に想像できます。その……、いえなんでもないですぅ。とにかく新年の初日の出はありがたいです。今年も1年のスタートとしてはこれ以上ない気持ちになりました。

午後からは天皇杯決勝の地、味の素スタジアムへ。決勝は正面ゲート、飛田給駅からのアプローチです。エンペラーズカップののぼりを目にしましたが印象的には抑えたデザインです。心配なのはなにかのデザインに似ていると大きな問題とならないかどうかです。もろ手を挙げて歓迎したインターネットの高度情報化社会って、意外に面倒です。明らかなのは技術に比べて人の心はそう簡単に高度にならないということです。

浦和レッズのコレオグラフィ。F の等々力でも時々やりますがかかわる人数も違えば、スタンドの形状も違い、このスケール感はさすがに浦和レッズです。

しかし、勝負に勝ったのはコレオグラフィの浦和ではなく、パトリックというとんでもない弾頭を持ったガンバ大阪でした。もともと初めて日本に呼んだのは川崎フロンターレというチームであったことは深く記憶に刻まれるべき事実です。

去年からこんなことばっかりしているうらやましいチームです。この試合の前も「皿はやったが杯は渡さん」というような趣旨のフラッグを掲げているサポがいましたが、コールリーダーの煽りっぷりなんかも堂に入って回数を経るごとに巧みになっている気がします。

お約束のリボン噴射です。やはり身に余るカメラなのでなんかひどい画像なのはご勘弁ください。人生4度目の修学旅行へ行くのにハズミをつけようと思い切って購入しましたが、将来このカメラを使いこなしている自分がさっぱり想像できません。

いったいパトリックは何を見ているのでしょうか。仕上がりが心配ですが、Adobe の photoshop でナンとでもなります。ガンバ大阪 ならあまり上のほうを通さなくても、すぐ承認が得られることでしょう。

朝のジョギングのようなものをやっている際も富士山がくっきりと見える空でした。ここへ来る途中の南武線の車中からも姿がきれいに見えていました。観戦後、どこから眺められないかと見まわしていたら、味スタのスタンドを出てアウェイ側のゲートへ向かう通路から甲州街道越しに見ることができました。ここに江戸を置いた徳川家康にこの富士山の距離感だけとってもセンスを感じることを禁じ得ません。

横浜・東京の元日の空は実に穏やかなものでした。穏やかなことばかりをすべて歓迎することはできませんが、できるだけ心穏やかに過ごせるように努めたいと思った1日でした。

2日(土)

元日から少し余計な買い物をしたために自粛ムードが漂っていた高校サッカーの観戦計画ですが、ご近所の等々力で、地元・桐光学園、そして青森山田と聖和学園、となれば、やはり足を運ぶの止めることができませんでした、トホホ。

桐光学園と長崎南山の対戦は、球際に強い当たりを見せた桐光学園がなんとなく遠慮してしまったように見えた長崎南山に対してゲームを支配して勝利。青森山田と聖和学園は、足元の技術で相手の包囲網をかいくぐる聖和学園に対して球を散す集散のスピードで上回り、速攻が功を奏した青森山田が意外な大差で3回戦へ。当たり前ですが皆さん、とにかくサッカーが上手です。

現状のサッカーのルールにおいてはゴールに蹴り込んだ数の多さが競われるため、そのための技術であったり戦術であったりします。その常識を打ち破るようなチームの出現は、勝つということにおいてなかなかローマと同じように1日にしてならずといった印象です。それはチームを作る側よりむしろそれを見て受け入れる側に高いハードルがあるように感じました。今回のレフリングは責めるようなことはできませんが、聖和学園にとっては少し自分たちのサッカーとのギャップを意識させられた試合だったように感じました。こういったサッカーを見せてくれた聖和学園に高い評価をしてあげたいなあと思いました。とにかく相手を剥がす楽しさをこの世代で、しかもこの舞台で見せてくれたことは大きな驚きです。

この日の試合に関心を持っていたのはオッサンだけでなくかなりの人数になったようです。競技場を出る際にもJリーグ試合より出入り口となるゲートが少なかったせいも手伝って混雑をするような状況となりました。そういえば昔、サッカーの試合で国立競技場が満員になるのは高校選手権の準決勝と決勝くらいだったのを思い出しました。


今週の新しい言葉:

「いつもきれいに使っていただき……」

普段、早朝散歩などをしているとこの時期は特にコンビニのトイレを借りる機会があります。特に年齢的にもその機会が頻繁になりつつあり、着ていくものにちょっとした間違いがあるとコンビニの前を通るたびに寄るはめになり、外出した目的が分からなくなるようなことになりかねません。それにしてもよく掃除されて清潔なところが多い印象があります。女性のトイレはさっぱりわかりませんが立ちションはね飛び問題はもはや人類共通の問題として認識されるようになってきたようです。そのために小便用の便器の目の高さにはよく張り紙がしてあります。きれいな状態を保ちたいけどあまり手もかけられないジレンマが見てとれる張り紙が多く見受けられます。例の「いつもきれいに使っていただき……」ってものです。

「初めて利用するのに……」、「あまりきれいに使おうという意識はないんだけど……」、「実はこの間、目標を定めるのを間違えて便器の外側へ……」など、時に応じて様々な思いに至ります。Black Taguchi を内に宿す オッサン は時々わざと汚く使ってやろうかとも思いますが、どうもそういった人が出てきかねないくらいこの手法が世に蔓延してしまったので、ついに原点回帰しだす店も出てき始めました。「もう一歩前へお願いします」。この間紹介したトイレ管制室もいいアイデアでしたが、これくらい迷いがない方が清々しく利用できそうです。


今週のパノラマ:

天皇杯準決勝、味の素スタジアムバックスタンドからの眺め。
元日の朝、T 川2ヵ所からの景色。
天皇杯決勝、味の素スタジアム2階席への途中の踊り場から外の風景とコレオグラフィ真っ只中のスタンド光景。
計5枚。