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病気コラムvol.6《角膜潰瘍・結膜炎》


わんちゃん・ねこちゃんの「眼」の病気

今回は「眼」の病気についてご紹介していきます。
アニコムの「家庭どうぶつ白書2022」によると、
「眼」の病気というのは全体の上位6位に入るくらい、
非常によく遭遇する病気です。

かつ、飼い主様がご自身の目で見て症状が分かりやすい部分であるので、
より来院する頻度が高い病気だと思われます。

さて、ではどのような異常が「眼」に起きるでしょうか?

一番わかりやすいのが、「眼が赤い」という状態ではないでしょうか?
特に、以下の写真のように、
眼の「結膜」という、主にいわゆる「白目」の部分が赤いことが多いと思います。

引用:眼の治療マニュアル(出版:千寿製薬)

結膜炎とは…

結膜炎とは、この「結膜」という部分において、
炎症や充血が起きている状態のことをさします。
結果、「白目」の部分が赤く見える状態となります。
みなさまも、わんちゃん・ねこちゃんの「眼が赤い」と、
感じられたことが一度はあるのではないでしょうか?

結膜炎の主な原因

さて、一体どのような原因で結膜炎が起きるかというと、
l  感染性(細菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染など)
l  異物(ゴミ、異所性睫毛、眼瞼内反、腫瘤など)
l  角膜の外傷(角膜潰瘍、異物など)
l  免疫介在性(アレルギーなど)
l  眼内腫瘍
l  緑内障
l  ぶどう膜炎
l  乾性角結膜炎(ドライアイ)
など、挙げればきりがないくらい存在します。
本日は、その中でもよく遭遇する「角膜潰瘍」について解説していきます。

角膜潰瘍とは…

角膜潰瘍とは、眼球の「角膜」という部分に潰瘍、
すなわちキズができてしまう状態をさします。
具体的な部位は、以下の犬の眼の構造図をご参照ください。

引用:眼の治療マニュアル(出版:千寿製薬)

症状としては上述の結膜炎の他、
流涙(涙が多い)、羞明(眩しそうにしている)、目ヤニが多いなどです。

角膜には、血管は走行していないものの、
神経は走っているので、通常痛みが生じます。
また、そのキズの深さによりグレード分類がされています。

引用:眼の治療マニュアル(出版:千寿製薬)

角膜潰瘍の原因と診断

角膜にキズができる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
l  外傷(自傷、ケンカ、異物、シャンプーなど)
l  目の疾患(ドライアイ、瞬目不全など)
l  内臓疾患(クッシング症候群など)

ご来院頂いた際には、
まず、眼瞼の構造、異物の存在、涙液の状態などを目視で確認します。

次に、角膜にキズがあるか、特殊な染色液による検査にて確認します。
いわゆる「フルオレセイン染色」という染色方法を使い、キズの有無を確認します。
実際にキズが認められた場合は、その部位が緑色に染まるという特殊な検査です。

引用:眼の治療マニュアル(出版:千寿製薬)

角膜潰瘍の治療法とは

角膜潰瘍の治療は、各グレードにより治療方法が少し異なります。
キズが浅い場合は、いくつかの点眼薬を用いて治療を行います。
通常、角膜の再生は5~7日にて行われます。

しかし、グレード4以降まで進むと、一般的には手術適応になります。

そうならない為にも、また大切な視覚を守るためにも、
眼に異常を感じた際は、早急にご連絡いただけたらと思います。

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