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シニア犬と暮らす ~お手入れ~

年を取ってくると、
今までできていたことができなくなり、

お世話の方法も若くて元気な時期とは、
違ったケアが必要になってきます。

今回は、シニア期のお手入れについてまとめました。

負担の少ないお手入れを

シニアになると、
体が思うように動かなくなってきたり、
疲れやすくなったりする影響で、
同じ体勢を取り続けることが難しくなってきます。

お手入れすることがシニアにとっては、
負担になってしまうので、
負担をかけないお手入れを行う必要があります。

また、シニアになると、
お口周りの食べ物による汚れや
粗相によるお尻や陰部周りの汚れなど、
成犬の時よりも汚れが付きやすくなります。

汚れをきれいにせず、
放置してしまうと、皮膚炎になる可能性もあるため、
常に清潔を保つことが必要です。


①爪切り

シニアになると、歩く距離が短くなったり、
全く歩かなくなったりするため、
地面で爪が削れず、伸びやすい状態です。

定期的に爪の長さをチェックして、
長いようであれば切ってあげましょう。

また、爪切りを嫌がる子は、負担になってしまうため、
やすりのみでケアしてあげるのも良いでしょう。


画像引用:as2023年7月号 (出版:EDUWARD Press)

②お耳掃除

特に、寝たきりの場合は、
身体の下側になる耳が通期が悪くなるために汚れやすくなります。
定期的にお耳の中をチェックして、お掃除してあげましょう。


画像引用:as2023年7月号 (出版:EDUWARD Press)

お家でお耳掃除する場合は、
犬用のイヤークリーナーをコットンに浸して、
指の届く範囲を拭ってあげます。

イヤークリーナーを直接お耳の中に入れる方法もありますが、
嫌がることが多いため、コットンを介して行う方が無難です。

また、綿棒は、耳を傷つけてしまうおそれがあるので注意が必要です。
耳が赤くなっていたり、腫れていたり、
汚れやにおいがひどい場合には、動物病院へ相談しましょう。


③肛門腺絞り

肛門の左右に「肛門腺」と呼ばれる臭腺があります。
肛門腺は、ふたつの小さい袋状の肛門嚢が形成されていて、
袋の中には分泌液が溜まるようになっています。

通常は、排便時に一緒に分泌液を排出できますが、
自力で排出しない子も多くいます。
特にチワワやポメラニアンなどの小型犬は、
排出できないことが多く、定期的にお手入れが必要です。

若いうちは、ケアしなくても大丈夫な子でも、
足腰のふんばりがきかなくなったり、
分泌物の性状が固くなったりすると、
自力で排出できなくなることがありますので、
定期的にチェックして、肛門腺絞りを行いましょう。


④ブラッシング

毛玉やもつれを放置していると、
皮膚炎になる可能性がありますので、
定期的にブラッシングが必要です。

ブラッシングをしている間、
立っていられずに座り込んだり、
伏せてしまったりすることがありますが、そのままで構いません。

寝ている姿勢が楽であれば、そのまま行いましょう。
姿勢により、ブラッシングができない場合は、できる箇所だけ行い、
次の日にできなかったところをブラッシングするようにします。


⑤被毛のカット

被毛が長いと汚れやすくなり、ケアする手間もかかります。
シニア期になってからは短めのカットがおすすめです。


全身を短くしなくても、
お尻周りやしっぽの付け根や内股の毛を短くすると、
排泄による汚れが落としやすくなります。

床が滑りやすかったり、足腰のふんばりがきかない子には、
足裏の毛をカットすることで、滑りにくくなり、
足腰への負担の軽減に繋がります。

また、目やにが出やすかったり、
お口周りがごはんで汚れやすい場合には、
お顔周りのカットをしてあげると良いでしょう。



⑥お顔周りのケア

ごはんの後は、お口周りが汚れていないか確認しましょう。
タオルやペット用のウェットティッシュで拭き取ると良いでしょう。
また、よだれをそのままにすると、赤く毛がやけてしまうので、
こまめに拭き取ってあげましょう。

シニアになると、目やにが出やすくなる子が多く、
放置すると、固まって取りにくくなります。
目やにを取る時は、小さめのコームを使用したり、
眼の周りにも使用できるウェットティッシュで拭き取りましょう。

また、固まって取りにくくなってしまった場合には、
蒸しタオルを使って、ふやかして取ると良いでしょう。


画像引用:asBOOKS手順・注意点・根拠がよくわかる動物看護技術トレーニングブック (松原孝子著/出版:interzoo/現EDUWARD Press)

⑦デンタルケア

シニアになっても、デンタルケアは必要です。
高齢になると、唾液の分泌量は減ってきます。
唾液が減ることで、歯石は、よりつきやすくなります。

すでについてしまった歯石を落とすのは、
動物病院での歯科処置が必要になります。
それ以上の歯石が付かないように、歯のケアをしていきましょう。


デンタルケアを行う場合は、
誤嚥を防ぐためにお顔をあげた状態で行うようにしましょう。

犬用の歯ブラシやペーストを使用すると、
歯垢を分解しやすくしたり、口臭を予防してくれたりする効果があります。

口を開けること自体が難しい子は、
無理せず、できる範囲のケアを行いましょう。

寝たきりの場合、口の下にペットシーツを敷き、
人でも使われる介護用のスポンジ歯ブラシを
濡らして、優しく拭いていきます。
スポンジは、軽く絞ってから使用します。

画像引用:asBOOKS手順・注意点・根拠がよくわかる動物看護技術トレーニングブック (松原孝子著/出版:interzoo/現EDUWARD Press)

また、ガーゼ濡らして、指に巻き、
優しく拭いていくのも良いでしょう。

歯周病がある場合には、
歯肉を強くこすったり、歯ブラシを使用すると、
出血しやすいため、力を入れずに優しくケアしてあげてください。

デンタルケアをしておくことで、
歯石の付着を防ぎ、歯周病を予防できます。

また、お口を触ることに慣れておくと、
シニアになっても嫌がらずにケアさせてくれるので、
若いうちからのデンタルケアは、とても重要です。


⑧部分洗い

汚れが気になる時は、
水のいらないシャンプーやペット用シャンプータオルを使用しましょう。

負担をかけないように、汚れた部分だけをきれいにします。

皮膚の弱い子では、シャンプー剤が残っていることで、
かぶれたりすることもあるので、
泡は落とし残しがないように拭き取ってあげましょう。

また、蒸しタオルを使用して、身体を拭いてあげるもの良いでしょう。

寝たきりの子では、お尻周りが排泄物で汚れることが良くあります。
トイレシートを敷いて、周りが汚れないようにした上で、
ボトルにぬるま湯を入れ、
シャンプー液を極少量溶かしたものや
ペット用のお尻周り専用洗浄液を
汚れた部分にかけながら汚れを落としていきます。
後は、タオルで水分を取った後、ドライヤーで乾かしてあげましょう。


画像引用:asBOOKS手順・注意点・根拠がよくわかる動物看護技術トレーニングブック (松原孝子著/出版:interzoo/現EDUWARD Press)

⑨シャンプー

寝たきりの子で、
さらにしっかり洗いたい場合は、必ず2人以上で行いましょう。

頭部は、マットなどを使用して、高さを出します。
耳、目、お口の中にシャンプーやお湯が入らないように気を付けましょう。
洗い終わった後は、タオルで水分をしっかり拭き取り、
ドライヤーで手早く乾かします。

体調をよく観察し、無理せず短時間で行いましょう。

寝たきりではなく、
介助があれば歩ける場合でも、部分洗いがおすすめです。
全身のシャンプーを行う時は、体調の良いときに行います。

足腰が弱っている老犬では
浴室の床や洗面台の底は、非常に滑りやすく、
負担がかかってしまうので、
お風呂マットや滑り止めマットを敷くといいでしょう。


⑩入浴

お湯につかることで、四肢や身体を温め、
関節や腰の痛みを和らげてあげることができます。

また、シャンプーで全身を洗うのが難しい場合には、
ペット用の入浴剤を入れたお湯に浸からせることで、
汚れを落とすことができます。

バスタブなどにぬるめのお湯を入れて入浴剤を溶かし、
その中に浸からせます。

お湯をすくって、身体にかけたり、
やさしくマッサージしたりしてつからせます。
入浴剤は、シャワーですすぎ、タオルとドライヤーで乾かしましょう。

全身が濡れると時間がかかりますので、
体調をよく見て、行ってください。

画像引用:as2023年5月号 (出版:EDUWARD Press)

シニアになると、お手入れ・ケアに手間がかかり、
大変なことも多くあります。

お家でのケアは必須ですが、
無理せず、動物病院へご相談ください。

愛犬と少しでも穏やかな日々が過ごせますように。

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