石油王

カビの生えた仕事をしています。

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  • 女王陛下の腕飾り

    買い物、映画、洋書などガサゴソ書きます。

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再販「カブール・ノートー戦争しか知らない子どもたちー」

読まねばならない本に飽きてしまい「カブール・ノート」に逃げ込んだ。 1997年当時のアフガン情勢から冒頭始まる。自分の記憶を手繰り寄せる。つまらないサークルに入ってしまい辞めたくても辞められない不快な環境に身を置いていて部室にあった映りの悪いテレビの映像から国際情勢の情報が流れてきたことなどを思い出す。北朝鮮の洪水と飢餓の映像があまりに古い感じがして本当に97年の出来事かと疑うほどのものだった。90年代の終わりといえばバブルが崩壊して就職氷河期と言われながらも、まだ景気回復

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    • 姥捨てられない山

      小さいころにテレビの地上波放送でやっていたのをうっすら覚えている。カラスと白飯のおにぎりだけが鮮明な記憶で器量よしの坂本スミ子が歯を削ったとか緒形拳が米俵を背負って練習したというのは後付けの記憶であろう。何よりも作品そのものではそんなことはわからない。 やたらと生き物の生態が挿し込まれており監督は生き死にを描くのに徹底したのだなと一人で満足した。 蛇のシーンは印象的で緑の蛇が2匹絡んで起き上がるような仕草のシーンと緒形拳が帰宅して息子が歌うシーンに黒い蛇が(何匹か不明)とぐ

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      • ブロークバック・マウンテンを15年目で鑑賞

        感動の物語と言われてずいぶんヒットした記憶がある。 私は見るたびに居眠りしてしまいひどいときには熟睡して全然映画に身が入らないということを繰り返しやっと鑑賞できた次第。 いうほどの悲しい物語とは思えなかった。アルマに対するイニスの態度やテキサスが中絶手術が難しい土地柄であることを考えるとDVである。土地柄ということを外して考えてもあれはひどい。 その点は人物描写を考えるとアン・リー監督は単に同情だけを観客から引き出そうとしたのではないということであろう。 ターキーを切り分

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        • グエムルとパラサイト

          「パラサイト 半地下の家族」を見てポン・ジュノの社会を見る鋭い目と貧しい人々への共感、この人たちに目を向けよというメッセージはじゅうぶん伝わった。 いい気になって「グエムル 漢江の怪物」を10数年ぶりに見直した。いきなり驚かされたのはその映画のタイトル。The hostだった。知らなかった、気づかなかった。パラサイトを見なければ気づかないまま生きていただろう。 パラサイトは寄生する生命体や寄生している状態を示す単語であるのに対し、ホストは寄生される生命体やその状態を示す単

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          貧乏人と金持ち、どちらがパラサイトなのか

          家族で見るのにピッタリの「パラサイト 半地下の家族」でした。 極力ネタバレは避けますが、バレていたらごめんなさい。 さんざんあらすじに「ひょんなことから金持ちの家の家庭教師になった長男をとっかかりに家族全員が金持ち一家に寄生する」と書いてありますのでここは書いたとしてもネタバレにならないでしょう。 そのあらすじがまた不正確なのでネタバレどころかミスリードを誘っています。家族全員が寄生している状態とはどのような状態なのか。寄生どころか各人が得意分野をあの手この手で駆使して

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          Orange is the new black/オレンジイズニューブラック 女子刑務所青春小説

          Netflixでやっていると言うので話題になっていた。うちはこれ以上オンデマンドサービスに加入しても見ることができないから本で読もうと思ったのがきっかけだった。 日本語版の翻訳は村井理子さんだったがちょっとお高めだったのでKindle版の英語原著で読むことにした。読むのが大変なら村井さんの翻訳版を買えばいいと思って読み始めたのが8月末。読み終わったのが12月13日。途中で他の本を読んだりもしたが3ヶ月半もかかったのはちょっと恥ずかしいが読了した達成感はある。「キリング・フィ

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          Min Jin Lee著 Pachinkoは反日小説なのか

          昨年の梅雨時体調を崩し手術入院をした。 切る前は多少緊張したりしても本を読む、字を追う余裕があり図書館で借りた本を読んだりKindleに落とした英語の本を読んだりして過ごしていた。その時に読み始めて結局先月2019年4月に読み終わったのがミンジン・リーの「Pachinko」だ。Twitterユーザの在米日本人や渡辺由佳里さんが洋書ファンクラブで紹介していたので興味を持って購入した。 この作品はたぶんアメリカ人が書いた在日コリアンが主人公の最初の作品と思われる。作者のミンジン

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