里親のこれから。

販売を辞めて業態を譲渡に切り替えてから1年半がたち、徐々にではありますが、おかげさまでお店の認知度も増え、里親募集した子はすぐに決まる事が多くなりました

里親募集に切り替えてからはそれまでは全然知らなかった世界や問題点をいろいろと知ることが多く、ペットにとって、飼い主にとって、世の中にとって、この先どの方向に向かって進むのがいいのかを考えることが増えましたので、今後の道筋を整理する意味でざっくりと文章にしてみたいと思います。

最近、テレビの報道もあり、保護犬、里親譲渡、殺処分ゼロ、という類のフレーズを耳にする機会も増え、一般の飼い主の方の中にも関心を持つ方が増えてきているのを肌で感じるようになりました。

保健所で引き取ったペットを全頭保護する団体があったり、著名人が代表になって殺処分ゼロを掲げる組織を立ち上げたり、知事が殺処分ゼロの達成を宣言したり、TV番組では坂上忍さんが自費で保護施設の建設を宣言したり、クラウドファンディングで離島の保護施設に寄付が集まったり、などなど、その動きは多種多様です。

もちろん、活動の内容には各々の団体や組織の考え方や信念がありますので、方式や方法は違えど、全てが素晴らしい取り組みだと思います。

そんな中で、実際に1年半保護犬の譲渡活動をしてみて、もう少し違う方法、というか、別の切り口があるんじゃないかなと最近思うことが多く、自分なりに考えたことをまとめてみたいと思います。


おかげさまで、当店のインスタグラムのフォロワーも1万人を超え、多少なりとも認知度が出てきたところで、まずは里親譲渡に関するアンケート調査を実施してみました(現在もインスタグラムにて常時受付中です)。

結果、驚くほど多くの反響があり、アンケートを実施した途端にたくさんの意見が集まってきました(アンケートの結果は当店にて全て展示してあります)。アンケートのお題は、里親になろうと考えたことがあり、実際に譲渡団体から譲り受けたことがある方(結果、譲渡まで至らなかった方も含め)を対象に、現状の里親制度の疑問点や不満点、提案等を無記名で募ったのですが、"圧倒的に"多かった意見が、「条件が厳しすぎて里親になれない」、というものでした。その中には、何度応募しても落とされて里親になる事自体を諦め、ペットショップで購入した、というケースもありました。

ペットショップでペットを買うことは悪い事ではありません。ただ、ペットショップでペットを買う人を減らしたいと言う信念で譲渡活動をしているのだとしたら、もうすこし条件のハードルを下げて流通量を増やしたほうが、結果として保護犬を迎える、という選択肢が広まり、生まれた子みんなに家族がいるという理想の状態に向かって、ペットの繁殖や販売量が適正な範囲に収まっていくんじゃないかなぁと思います。

例えるなら、現状は蛇口から流れる水を穴の空いたバケツに貯め、バケツから水が溢れないようにするために穴を大きくしないでバケツの大きさをどんどん大きくしている感じでしょうか。

そのほかにバケツから水が溢れないようにするには蛇口から流れる水(保健所に連れてこられるペットの数)を少なくする方法があります。

現在、一部では個人間で里親を募集するサイトでのやり取りもありますが、割合で言えば保護犬の大半は一度保健所に収容された子たちになります。その子達が保護団体に引き取られ、里親を募集する、という流れです。

保健所から引き取られた子たちは行政の殺処分を免れるので、それだけ殺処分の数が減ります。全頭が保護団体に引き出されれば、殺処分ゼロ達成。となります。殺処分ゼロは達成されましたが、その子達全てに家族が決まったわけではありません。つまり、バケツが大きくなっただけで、蛇口から出る水が少なくなったわけではありません。結果、大きいバケツがどんどん必要になるので、どこの保護団体も収支が苦しく、常に寄付を募っている状態が続きます。こう考えてみると、動物にも人にもやさしい社会を目指す上で、”殺処分ゼロ”というスローガンは果たして目指すべき目標なのか、疑問に思います。

どうしたら蛇口から流れる水(保健所に連れてこられるペットの数)を少なくできるのか。目指すのは殺処分ゼロよりも、保健所への持ち込みゼロを目指すのが本筋なような気がします。

保健所へ持ち込まれる子たちは飼い主さんが飼いきれなくなって直接連れてくるか、捨てられた子が連れてこられる事が多いので、一度飼ったペットは責任を持って最後まで飼う。これをみんなが実践すればいいだけなのですが、そうも簡単な話ではありません。

当店で引き取った事例で、トリミングをしっかりして手入れがされ、とても可愛がられた子がどうしても飼えなくなったということで引き取った事があります。飼い主さんに事情を聞いたところ、若くして大病にかかってしまい、退院のめどが立たない状態で入院をしないといけなくなった。このままだと毎日知り合いや友達に家にご飯をあげてもらうためだけに来てもらい、犬は家にずっと飼い殺しの状態になってしまうので、次の飼い主さんにバトンタッチをしてあげたいと、涙ながらに事情を説明されていました。

人生は予測できません。

何が起こるのか想像もつかない10年後、15年後の先まで、何があっても迎えた命が尽きるまで必ず飼い続けると約束させる事にどれほどの意味があるのでしょうか。

飼えなくなった子を手放す事が悪、という風潮があります。保健所も数字上の殺処分ゼロを推進するために、一般からの持ち込みも理由によっては引き取りを拒否することもできるようになり、保護団体も保健所からの引き出しには積極的ですが、飼い主さんからの直接の引き取りはどこも積極的ではないように思います。

そんな雰囲気の中、”仕方なく”飼い続けられている子達。家族として可愛がられなくなってしまった子達が数多くいるのではないでしょうか。
こうして”仕方なく”飼い続けられている期間がつづくと、ペットの性格にも悪い影響が出てきて、攻撃性が高くなったり、ストレスで様々な病気を引き起こす事が多くなります。そうなると、仮に保健所に持ち込まれたあとに保護団体に引き出されたとしても、性格に難有りでいつまでたっても次の家族が見つからず、もっと大きな施設が必要になり、収支が成り立たなくなり、寄付金を募る、という負のサイクルがエンドレスで続いてしまいます。

大切なのは、どうしても飼えなくなるギリギリの時期よりもっと早い段階、今、この子は家族の一員として幸せに暮らしているだろうか、と聞かれた時にはっきりとYES!と答えられなくなった段階で、次の飼い主さんにバトンタッチをしやすい環境があることのほうが大事なような気がします。

長くなりました。たかだか1年半ですが、保護活動をしてみて思ったことをまとめてみました。初めに書きましたが、保護活動をしている団体、個人、組織のそれぞれには考えや理念、信念がありますので、どれが正しくて、どれが間違っているというのはありません。もちろんすべてが解決する夢のような解決方法というのもありませんが、今回まとめた内容をもとに、少しづつ、できる範囲から自分なりに考えた方法で進んでみようと思います。




















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ペッツ

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