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スクリャービン/ワルツ Op.38 変イ長調

近代ロシアの作曲家であるスクリャービンは、神秘主義(神秘を直接体験することで神や究極の真理、宇宙の本質などを把握しようとする考え方)に強い影響を受けた人物である。

この曲はロシア国内で社会主義が高揚しつつあった1903年、31歳の時に書かれた。
この年はモスクワ音楽院でのピアノ教授を辞職し作曲に専念することを決意した翌年であるため、非常に多作だ。
そして様々な思想をもつ詩人や批評家たちと交流を深め、自身の神秘主義的芸術観を育みがら独自のスタイルを確立しはじめたのもこの頃だ。

こんにちの日本では演奏機会の少ない秘曲。
緊張と弛緩を繰り返すワルツの幻影や、割り切れなさを感じさせる和声とその移ろい、そしてまばゆいあたたかさと幸福感が心を包む。


2018.11.09 第31回荻窪音楽祭/茨城音楽文化振興会コンサート「学生演奏家による室内楽の夕べ」より(一部加筆)

#ピアノ #クラシック #音楽
#スクリャービン #ワルツ #音大生
#プログラムノート

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