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ゼロコロナ政策下の香港でコンテンツ展示してきた話 後編

※2022年9月時点の情報です。最新の情報ではないので、予め御了承ください。

2022年9月、未だ世界では新型コロナウィルスが猛威を振るう中、我々ピラミッドフィルム クアドラ(以下:クアドラ)は、仕事で機会を得て香港へ行ってきました。

前編では出国から隔離生活の様子を振り返りましたが、ここからは香港グルメや観光地など自由な香港ライフを、前編に引き続きプロジェクトマネジメントチームのマネージャー清水龍輝がお届けします。前編をまだ読んでいない方はこちらから。

滞在・移動

私たち一行は北角(ノースポイント)というエリアに拠点を置きました。香港と聞くと想像する看板が道にせり出した建物も多く、活気にあふれた街です。大通りを一本入ったところに春秧街というマーケットがあり、露店が並び食材や点心を売っています。この春秧街は露店や道行く人の真ん中を路面電車が走る面白い光景を見ることができます。

この路面電車は優れものです。地下鉄が張り巡らされた香港ですが、地下鉄の駅間を埋めるように細かく路面電車の停留所があります。実際に私たちの滞在したホテル、今回作業を行った納品先、ともに目の前に路面電車が停まるため、そうと気づいてからは路面電車の移動がメインになりました。地下鉄は日本と同じく地下深くにあるので大きな荷物をもって移動するのは少し大変です。もちろん早く遠くまで行きたいときは地下鉄が便利ですが、路面電車の解放感はオススメです。ちなみに路面電車は、香港島と九龍(カウルーン)をつなぐ路線はないので行き先に応じて、交通手段を選ぶ必要があります。

街中には、バスも多く走っています。そして日本で走っているバスの1.5倍くらいのサイズがあります。よくもまあ、そのサイズでその速度で走れるなという勢いで駆け抜け、狭い路線もグイグイ力強く走っています。

タクシーも相当数走っており、バスとタクシーで交通量の半分くらいを占めているのではないかと思うくらいです。タクシーは、2度乗りましたが、少し旧式の日本車だったと記憶しています。日本に比べると運転もドライバーもラフなので、楽しく乗ることを推奨します。

バス路線はとても多く、同じ停留所に複数の系統が停まるので、行き先をしっかり確認して乗る必要があります

景観

香港は高層ビルの数が世界一です。
むしろ高層ビルではないものを探すほうが難しいくらいです。のちに足を運ぶ新界(ニューテリトリー)という北部エリアには3階建て程度の建物はありますが、中心部である九龍界隈では希少な存在です。建物のサイズもそうですが、とにかくどこも人が多いです。どの駅で降りても建物と人の量は変わらず、どこも活気があります。

新界では、山や森の中に同じ見た目の建物が立ち並ぶ光景を見ることができます。これからさらに発展していくのでしょうか
ビクトリア・ハーバーを挟んで香港島を望みます。世界各国の大企業のロゴがネオンを彩っていてとても綺麗

日本に比べると、OOHや意匠が街にあふれています。日本も大きな広告は見ますが、香港はサイネージの活用において違いがあるように見えます。香港の夜景や街並みを構成する要素として、欠かせないものとなっています。

有名な九龍城はなくなって久しいですが、モンスターマンションのように味のある密集住宅はまだ一部残っています。急激に近代化している様子と、まだ取り残されている建物のコントラストは香港らしさを感じます。

有名なミュージックビデオにも使用されているモンスターマンションです。まだ多くの人が生活しています

蘭桂坊(ランカイフォン)という欧米式のナイトライフを楽しめるエリアもあります。近くには有名な世界一長いといわれるヒルサイド・エスカレーターがありますが、安易な気持ちで頂上まで行こうと思わないでください。確実に帰り道に後悔します。それくらい長いエスカレーターです。ただ、充実した達成感を得ることができるのと、様々な飲食店が立ち並んでいるので、行く際はしっかりと時間の確保と心構えをしてもらえればとても楽しめるスポットです。

香港の街中には、工事をしている建物も多かったのですが、足場に竹が用いられていることが非常に多いです。日本だと鉄パイプのようなものが用いられていると思いますが、香港の主流は竹です。ジャッキーチェンの映画で見ていた世界観そのままで、テクノロジーの中にある伝統を感じることができます。

このサイズの現場でも竹です。竹への高い信頼が窺えます

食事

初めての外食では、点心をいただきました。北角にある路面店で、現地の女性スタッフがテキパキと働くお店です。私たち一行はそもそも中国語が読めないので、翻訳アプリをかざしてメニューを把握しました。たどたどしい英語と指差しでなんとかオーダーし、ご飯の上に点心2種類を乗せたものを食べることができました。

観察期間はイートインできず、テイクアウトしかできないので公園で食べます

香港の料理はとても美味しくおなかにも溜まります。日本人でも食べやすい味付けがされており、抵抗なく食べることができますが、少ししょっぱいかもしれません。一部、肉の処理が日本と異なり、小骨が多い料理もありましたが、全体としては非常に食べやすいと思います。

そして、日本企業の店舗や日本式の飲食店はとても多いです。私たちも最初は現地の料理を食べていましたが、しょっぱさによって飽きてくると定期的に日本の食事を口にしました。味付けは現地向けにカスタマイズされることなく、日本で食べているものそのままという印象です。この点は、中期滞在するうえで非常にありがたいです。コンビニも日本企業が多く、日本語のプライベートブランドがそのまま陳列されているなど、深く日常生活に関わっていることがわかり、嬉しい気持ちになります。

スーパーマーケットには日本製品はもちろん、九州フェアや日本青果フェアなども催されていました。品ぞろえは日本のそれと変わらず、多様な食材や調味料を買うことができます。体感では表の人通りに比べてスーパーマーケットの中は人が少ない気がするので、香港では外食が主流なのかもしれません。

また、ミルクティーはとても美味しいです。イートインなども含めて10種程度飲みましたがハズレはありません。特にコンビニで購入することのできる「布诺乳茶」というものが本当に美味しいです。日本でも購入できないか調べましたが、全く取り扱いはないようなので、どなたか輸入してほしいと願っているくらいです。是非探して飲んでみてください。ミルクティーや点心など、チェーン店などもあるので、テーマを決めて食べ歩くのも楽しいと思います。

芸術

香港には、素敵な美術館やミュージアムがいくつかあります。私はその中で、2つのスポットに行くことができました。香港で最初に建てられた香港芸術館(通称HKMoA)と、アジア最大級であり2021年にオープンしたばかりのミュージアム、M+です。

まず、香港芸術館は香港国内外のクラシカルな品が多数展示されています。いくつかのブースに分かれて、西洋の名だたる画家が描いた絵画や香港の近代芸術まで幅広く所蔵しており、3時間程度滞在しました。近年改装したこともあってインタラクティブな展示もいくつかあります。体験者の目、鼻、口を撮影、分解してパーツ化し、福笑いのように遊ぶコーナーや、絵画の中に体験者が合成されるブースなど、ただ見るだけではない工夫が随所に施されているので、楽しく過ごせるスポットです。

M+は、再開発真っただ中の西九龍文化地区というエリアにあります。ウォーターフロントに位置し、展示センターや博物館など文字通り文化的な施設が次々と建設されている、香港でいま一番アツイエリアです。最寄りの地下鉄駅から商業施設の中を通り、M+に向かうと、M+の奥には広大な芝生が広がり、家族連れからカップルまでがのんびり過ごしているのが見えます。一方でM+の手前は、大掛かりな工事がまだ行われており、また何か新しいスポットができる様子で、香港の進化の過程を見ることができます。

中に入ると、上層階まで吹き抜けになった広々としたエントランスがあります。2021年11月にできたばかりの新しい施設で、20世紀から21世紀の視覚芸術、デザイン、建築、映像などの芸術文化作品が世界各国から集められています。展示方法も趣向が凝らされ、例えば、東京の新橋に実際にあった寿司屋「きよ友」が、外観ごと移築され、中に入って見ることができるなど、眺めるだけではない楽しさが提供され、本当に飽きずに館内を回ることができます。日本国内の広告や、中国の歴史に絡んだ芸術など、アジアの旗艦美術館として充実した展示が続きます。

大階段上部には、M+ができる過程を面白おかしくアニメーションにしたものが流れています

視覚的でありながら五感で楽しむことのできる展示が多く、香港に訪れた際は必ず足を運ぶべきスポットといっても過言ではないと思います。香港のカルチャーや歴史はもちろん、日本の2000年代以前の流行など、日本で見ることも難しい展示もあるので、是非行ってみてください。

最後に

かくして香港を満喫しながら、業務もしっかりと終えることができました。
ひとつだけ、悔やんでいることがあります。尖沙咀(チムサーチョイ)や銅鑼湾(コーズウェイベイ)などの中心部には素敵な雑貨屋やお土産屋があるなか、荷物が多くなることを恐れた私たちは空港でお土産を買うことにしていました。ところが、香港空港内の店舗はことごとく閉店中でした。びっくりするくらいやっていません。ブランド品を取り扱う免税店はすべて閉まっており、飲食店もフードコート的なものがひとつ営業、お土産屋さんも小型な店舗で菓子が少し買える程度です。

皆さまがもし香港に行く機会があった際は、規制も緩和され空港も活気を取り戻しているかもしれませんが、時間に余裕があるなら、お土産は空港に行く前に購入することをオススメします。中環(セントラル)というエリアにある、セントラルマーケットやG.O.D.などの店舗では、香港らしさあふれる雑貨を買うことができます。空港でも買えるだろうと高を括っていた私は、結果的にウィンドウショッピングしただけになってしまいましたが…

最終的に、あまり選択肢のないなかから、私たちはカロリーの塊お菓子と香港名物のお茶をいくつか買い、飛行機内を思い思いに過ごしながら日本へと帰っていきました。日本に着くと、出発した日より10度も低く、半そで短パンの私は震えながら家まで帰りました。
こうして私たちの計21日間の滞在は幕を閉じます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
仕事の内容より、香港の滞在記ということでまとめました。この御時世、なかなか海外に行く機会も多くないので、こういった貴重な機会があり、嬉しいです。この経験を活かして日本のみならず、世界中で楽しめるようなコンテンツ作りを行っていきたいと改めて思うことができました。新しいカルチャーや歴史に触れることができる香港、皆さんも是非行ってみてください。

追伸

帰国翌日に体重計に乗ると、出発前より8キロ増えていました。香港フードおそるべしです。

~完~


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