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【タイ・音楽の旅2023】3日目:ロットヘーで鍛えられた歌手のパワーとスタミナに圧倒された夜

2023年10月23日

チョンブリーでの用事は1日のみだったので、再びバンコクに戻り、ここから改めてバンコク滞在のスタートになった。

朝はゆっくり目に起きて、とりあえず朝ごはんを食べようと、Google Mapでどこか食べられるところを探していたところ、宿の近くにクウィッティアオ屋を発見。ご飯の事はそれで解決したが、問題はバンコクへ帰る方法である。

パタヤなど賑やかな所なら、バンコクへ戻る方法はいくつかあるが、チョンブリー県庁周辺は観光客などほとんど来ない所なので、そういった情報がほとんど無い。どこかロットゥーやバスが乗れる所はないか、Google Mapに「รถตู้(ロットゥー)」とタイ語を入れて検索してみると、意外と近くにロットゥー乗り場が見つかった。その場所の確認も兼ねて、宿の周辺を散歩する。

まずクウィッティアオ屋に入って、センレック(中太麺)ナムサイ(澄んだ汁)を注文。味はまぁまぁといった感じ。しかし、特にトッピングなどしなくても、それだけで50バーツだから、1杯30バーツの頃から食べている身としては、クウィッティアオも高くなったと感じる。

クウィッティアオ・センレック・ナムサイ・ルークチンプラー

ロットゥー乗り場の確認だが、クウィッティアオ屋から歩いて2~3分の所にあって、宿からも充分徒歩で行ける場所に有った。窓ガラスには「ラマ4世通り」「地下鉄」との表記があるので、バンナー・トラート通りを通って、ラマ4世通りをフアラムポーン方面に行く路線である事が分かる。

宿の近くにあったロットゥー乗り場

一旦宿に戻り、荷造りをする。タイの宿はチェックアウトの時間が大体12時だけど、気持ち少し早めに11時頃に出て、ロットゥー乗り場へ向かう。フアラムポーンで降りる事を告げ、切符を買う。正確な金額は忘れたが、確か100バーツ前後だったはず。

ほどなくして車の準備が出来、待合室にいた他の人たちと一緒に乗り込む。車は順調にバンナー・トラート通りを走り、ラマ4世通りに出て、1時間半ほどでフアラムポーン駅の前に到着した。

この日の宿はラップラオに取っていたので、フアラムポーンからはバスでアヌサワリー・チャイ(戦勝記念塔)に出て、そこで乗り換えれば行ける事は分かっていたのだが、時間もあるし、長距離列車の発着場所がバンスーに移転してからフアラムポーンに来るのは初めてだったので、少し見学して観る事にした。

フアラムポーン駅の切符売り場

長距離列車の発着場所がバンスーに移転したとはいえ、中距離の列車はまだフアランポーンから発車している。時刻表を見ると、ロッブリーやフアヒン、ピサヌローク、チャチュンサオ、ナコンサワンなどに行ける事が分かる。また、1日1本だがスリンへ行く列車もフアランポーンから発車しているようなので、イサーンへ行くのにも利用できるようだ。

フアラムポーン駅の時刻表

とはいえ、そんなに本数が多いわけではないので、駅構内は落ち着いていて、基本的には列車の博物館のようになっている。また、タイ映画の名作のポスターが展示された一角もあった。

現在のフアラムポーン駅の構内
タイ映画の名作ポスターが展示された一角

時間的に昼ごはん時だったので、とりあえずバスでアヌサワリー・チャイに移動することにした。駅の近くにあるバス停に行くと、すぐにアヌサワリーを通るバスが来た。それに乗り、30分ほどで到着。今はGoogle Mapでバス停をタップすると、何番のバスがどこを通るのかが瞬時に確認できて、路線図とにらめっこしていた頃から考えると、ずいぶん便利になった。

何となくカオマンガイが食べたかったので、センターワンの向かいにあったはずのお店を探してみたが見つからず。ならばKFCにするかと、センターワンの中にあるKFCで、チキンにグリーンカレーをかけたご飯を食べる。

映えないKFCのご飯

日本ではKFCを一切食べないけど、タイのKFCは美味しいので結構行く。ただ、KFCばかりというのも味気ないので、出来るだけ続かないようにはしているけど。

食事後、再びバスに乗り、予約していたラップラオの宿へ。4連泊なので、しばらくはゆっくりできる。チェックイン後、今夜の会場などを調べたりと、しばし休憩。

この日はラムヤイがバンコク近郊で2ヶ所の予定だった。しかも、1ヶ所目は宿から近いという事と、僕はまだ観た事ないユキ・ハイトーンカムと共演の予定だったので、結構楽しみにしていた。しかし、結果から行ってしまうと、この日は残念ながらユキに会う事は出来なかった。

タラート・ポーゲーウ(ラップラオ101)の告知
ワット・バンプリーヤイ(サムットプラカーン)の告知

ラムヤイのFBページでスタートは21時半と告知されていたので、夕飯を食べる時間も考えて、少し早めに到着するよう19時頃に宿を出発した。

歩いてラップラオ(ソイ)101の入り口に向かうと、モーターサイが何台も待機していた。運転手に「タラート・ポーゲーウへ」と伝えると、「今日、ラムヤイが来るんだよね」と言われる。かつて「好きな歌手は誰?」と聞かれ、「ラムヤイ・ハイトーンカムです」と答えると、「誰それ?」と返されていた頃から考えると、ラムヤイの名前もずいぶん浸透したものだと感じる。

市場へは5~6分ほどで到着。前日のチョンブリーとは違い、こじんまりとしたローカル感たっぷりの場所だった。

市場の入り口に飾られていた看板

入り口にあった看板を見てみると、そこにはユキの名前は無く、同じハイトーンカムの歌手であるチョークに変わっていた。理由は分からないが、まぁ、これはこれで仕方ない。ルークトゥンのコンサートにはよくある事である。

とりあえず現場を確認しようと切符を買いに行くと、そこには顔なじみのハイトーンカムのおじさんがいた。僕の顔を覚えていてくれたようで、「久しぶり!」と挨拶してくれた。

中に入ってみると、懐かしさを感じる光景が広がっていた。ステージは小さめで、足場も決して良いとは言えない場所だった。

ローカル感満載のコンサート会場

一旦外に出て、食事が出来る場所を探す。ただ、出店はあまり美味しそうなものが無かったので、マーケットの隣に有ったお店に入ってみた。

唐辛子がたっぷり入ったソムタム

頼むものは大体いつも同じで、ソムタムやラープなどのおかずものと、カオパットなどのご飯もの、それと飲み物(お酒は飲めないのでソフトドリンク)なんだけど、注意しなければいけないのはおかずものを注文する時である。

というのも、何も言わずに頼むと辛さがタイ人仕様で作られてしまうから。辛さに強い人なら大丈夫かもしれないが、ほとんどの日本人だったら耐えられないだろう。自分も辛いものが苦手ではないが、さすがにタイ人レベルは無理なので、バンコクに住んでいた時は「唐辛子2本」と必ず言うようにしていたのだが、旅行でたまにしか来ないので、それをすっかり忘れてしまっていた。

この日はソムタムを頼んだのだが、何も言わなかったので、来たものは案の定、唐辛子がたっぷり入っていた。唐辛子を避けながら、何とか完食できたが、まともにはとてもじゃないけど食べられない辛さだった。

食事を済ませステージ前に戻ると、バックステージにハイトーンカムの社長であるプラジャックチャイさんの姿が見えたので、挨拶に行く。プラジャックチャイさんとは去年タイに来た時には会えなかったので、4年ぶりになる。

ハイトーンカムの社長プラジャックチャイさん

プラジャックチャイさんとはラムヤイと会う以前から知り合いで、その頃から自身でステージに立ちつつ、歌手のコンサートの手配などをしていた。でも、まさかこんなに大きな事務所になるとは思わなかった。

「今日、ラムヤイは2ヶ所なんだ。次も行くか?」と聞かれ、もちろん「行きます」と答えた。しかし、この後ラムヤイと一緒に来たハイトーンカムのスタッフにプラジャックチャイさんが「車にもう1人乗れるか?」と聞いてくれたのだが、「今日は無理」と言われてしまう。「じゃあ、チョークを一緒に見よう」と半ば強引に決められてしまった感があったが、結果的にはこれが良かった。

ほぼ予定時間にラムヤイが会場に到着。専属バンドは次の場所に行っているので、こちらはラムヤイとダンサー2人、そしてサポートの男性歌手ネームの4人という最小構成だった。

左からチョーク、ラムヤイ、プラジャックチャイさん

ラムヤイがステージに上がったので、ステージ前に移動しようかと思ったのだが、かなりの人になっていたので、ここは諦めてバックステージで観る事にした。

会場が小さい事もあってステージ前はかなりの人だった

いつもは写真を撮る事に夢中で、客観的にステージを観る事が出来ないのだが、バックステージからだと写真を撮るのは困難なので、ステージをじっくり観ているとラムヤイがなぜこれほどまでに、タイの人々に人気があるのか、その理由が少しわかったような気がする。

観客ファーストで常に世間の流れを見ていながら、自分のやりたい事も上手く取り込んでいる

まず、ラムヤイは非常にクレバーな歌手である。観客とのやり取りを見ていると分かるのだが、観客のアクションに対するレスポンスがとても速い。客席の動きを常に注視しているし、それを上手く拾ってステージを作っている。

それと、世間の流行りなどを細かくリサーチしていて、素早く取り入れている。特にTikTokはよく利用しているようで、そこで人気のある曲をすぐにプログラムに取り込む。最近歌っているガントゥルムもそうだ。ただ、何でもかんでも取り入れている訳ではなく、自分に合うかどうかもしっかり考えている。そこが、ただ歌わされている歌手とは違うところだ。

そして最も重要なのが、ホスピタリティーが高いという事だ。コンサート終了後の2ショット撮影会で長蛇の列が出来ていても、最後のひとりまでしっかり対応しているのには、本当に頭が下がる。それに、コンサート中にチップをもらう時も、ただお金をもらうだけでなく、その人の手を触ってからチップを受け取るようにしている。

どんな観客にもしっかり対応するホスピタリティーの高さが人気の要因ではないだろうか
一発屋が多いタイで、年を追うごとに人気が高くなっている歌手はそうそういない

プーサオ・カーロッの大ヒットから7年が経ち、その後何曲もヒット曲を出したり、テレビの出演も多かったりと、知名度が高いという事もあるが、ラムヤイがタイの人々に好かれるのは、単にそれだけではないという事は彼女のコンサートを観るとよく分かるのではないだろうか。

1時間ほどのステージが終了し、ラムヤイは足早に次のバンプリーに出発していった。そして、チョークが満を持してステージに上がる。

と言っても、僕はこれまでチョークの名前と顔は知っていても、彼の動画をYouTubeで見たりしたことはなかった。なので、果たしてどんなパフォーマンスをするのか、期待と不安が半々だった。

チョークの名前は常々耳にしていたけど、これほどまでに凄い歌手だとは思わなかった

しかし、チョークが歌いだしてすぐに不安の部分は吹っ飛んだ。こりゃ凄い!スタートからテンションマックスで押しまくる。しかも、時間が経ってもパワーが落ちない。バックステージにいた僕も、慌ててステージ前に移動した。

ラムヤイが終わったら、帰る客が多いんじゃないかと思っていたけど、チョークの圧倒的なパフォーマンスに人が減る様子は全然なく、盛り上がりも最高潮だった。その様子は動画を見てもらえればよく分かると思う。

チョークのステージはタイ音楽の楽しさが凝縮されている
バックバンドも素晴らしく、クオリティーに関しても非の打ち所がない

ロットヘーは完全に現場主義で、とにかく皆を盛り上がらせなければならない。バイポー・ラッティヤーもそうだけど、そこで鍛え上げられた歌手は客の楽しませる方法を熟知しているし、何よりもスタミナがある。その実力をチョークは改めて思い知れせてくれた。

彼のステージはそんな状態で、全くテンションが下がることなく、アップテンポの曲を連発したまま1時間半以上続いた(通常、この手のコンサートは1時間くらいで終わる)。しかも、「さよなら~!」なんて言った後もなかなか舞台を降りず、ファン対応しながら何かしら歌っている。どんだけスタミナがあるんだ?

「イサーンディスコ」なんて言い方があるけど、チョークのコンサートはその言葉がピッタリである。もしタイでコンサートを観た事が無くて、どんなものか知りたい人がいるならば、このチョークをお勧めする。きっと、そのパワーに圧倒されるのではないだろうか。

コンサート終了後、チョークと一緒に写真を撮り、プラジャックチャイさんの車で宿まで送ってもらった。ラムヤイの後、別の場所に行かなくてつくづく大正解だったと思わされた夜だった。

コンサート終了後チョークと2ショット

ちなみに、チョークの新曲「マイ・チャイ・ワイルン・ランシット(ไม่ใช่วัยรุ่นรังสิต)」も彼らしさが良く出ているノリの良い曲。こちらもぜひ聞いてみてほしい。


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