マニラ首都圏の隣、カヴィテ州にあるOur Lady of Candelaria Parish Church、シラン教会（Silang Church）とも呼ばれています。マニラのマカティ中心部から南へ約40キロ、車で約2時間程度のシラン（Silang）という町にあります。シランはマニラ湾に面するカヴィテ州の内陸側、観光地として有名なタガイタイ（Tagaytay city）に向かう途中にあり、少し標高があります。

16世紀後半にフランシスコ会がこの地域の宣教を開始、教会を建立。17世紀初頭から18世紀後半までイエズス会が引き継いだそうです。17世紀半ばよりOur Lady of Candelariaに捧げられています。Our Lady of Candelariaはカナリア諸島の14世紀頃の伝説を発祥とし、スペインの隆盛により南米やカリブ海諸国に広まり、フィリピンにももたらされたと考えられます。言い伝えでは、地元の住民が地元の山の中で聖像を見つけ、家に持ち帰ります。聖像は祈りの対象として有名になりますが、家を離れた際、聖像がなくなります。探して見つかり、持ち帰りますが、その後、聖像が消えて現れることが何回か起こるため教会に奉納することとしたそうです。

17世紀半ばに石造りの会堂が建てられたそうです。建築様式はバロックスタイル。教会と祭壇はフィリピンのNational Cultural Treasureとなっています。会堂は装飾が少なく、シンプルですが、重厚な佇まいです。右側の4層の鐘楼は19世紀後半の地震で損傷、100年以上経て20世紀後半に修復されたそうです。

会堂正面の2段目の中心に聖像が設置されています。Mahal na Birhen ng Candelariaの文字が見えます。

会堂入口には頑丈そうな大きな庇があります。

会堂の中へ。聖人像が迎えます。

正面の大きな白い祭壇が目を引きます。また、木製と思われる天井が特徴的です。

前方の天井はドームのようになっています。左右の翼廊にも白い大きな祭壇があります。

正面の祭壇は3層あり、非常に大きいです。Our Lady of Candelariaの聖像を中心に、周りに聖母に関連する情景が表現され、曲線を多用した細かい装飾が施されています。ロココ調とも呼ばれているそうですが、優美な印象です。Our Lady of Candelariaの聖像は、左手に幼子を抱え、右手に蝋燭を持っています。

右側の翼廊にある祭壇には黒い装いの聖人像が設置され落ち着いた印象。こちらにも青と白の装いの聖母像が設置されています。

左側の翼廊を望みます。右側と同じく祭壇がありますが、右側と異なり、柵があり、中に入れないようです。祭壇は他に比べて少し色が褪せた印象あり、修復中なのでしょうか。

会堂後方を望みます。

何かの祝祭日なのでしょうか。制服や白装束の装いの学生が入場してきました。可愛らしいです。

会堂の外へ。分厚いバットレスが会堂の壁を支えています。

おそらく左側の翼廊に通じる辺りに、黄金の扉がありました。布教記念といったJubilee Doorのようです。ドアの上部にPORTA SANCTA(Holy Door)の文字が書かれています。

教会の裏手へ。人が通れるようにバットレスがくりぬかれています。

会堂の裏手には緑豊かな静かな空間が広がっています。古そうな建物があり、中に入ると雰囲気が異なる小さなチャペルがありました。

外の強い日差しとのコントラストが大きい。

柔らかな印象のOur Lady of Candelariaの聖像がありました。

会堂の前のスペースは車で一杯です。

敷地の外へ。会堂の入り口に屋台があり、果物を売っています。グアバでしょうか。南国の木々と青い空、白い雲が鮮やかです。日差しが強く日傘をさす人も見られます。

会堂は町の中心部にあり、周辺にはファーストフードの店があり、トライシクルやジプニーが走り、とても賑やかです。体育館のような建物は市場のようです。

教会の全景を撮りたいのですが、車が多いですね。

2020年3月訪問。