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よりぬき2018年日記

2018年の日記を読み返してわりと気に入ってるやつをまとめてみました。いくつか追記もあります。一人でふらふらしている話や、季節の話や、旅行の話や、人と喋って何かを考えたりしてる話が好きだな。


3月10日(土)

上野まで歩いて行って回転寿司を食べる。165円均一の店に行く。上野には130円均一みたいな安い店もあるのだけど、いつも行列ができていて並ぶのはだるいから行かない。皿によって値段が変わる店もあるのだけど、皿を選ぶときに考えることが一つ増える感じがして面倒だ。そんな理由でいつも165円均一の店に行ってしまう。そんなにすごく美味しくもないけど不味くもない。とりあえず寿司を食べたい欲求は満たされる。一人のときは機械のように何も考えずに流れてくる皿を淡々とベルトから取ってもくもくと食べるようなのがいい。10分くらいで食べてサッと出る。5皿とあら汁で990円。

この店潰れちゃったのであまり回転寿司行かなくなったな。くら寿司が上野にできたけどいつもすごい行列。

3月30日(土)

友人とお茶を飲みながら、文章を書くとき、ノンフィクションよりフィクションを書くほうが恥ずかしいよね、みたいな話をする。ノンフィクションだったら、これは実際あったことを書いているだけだからって言いわけができるけど、フィクションだったら自分のセンスとか願望とかが丸ごと晒されて吟味されるような気になるという。これは逆の人も多いかもしれない。空想や想像を膨らませてお話を作れる人に昔から憧れている。僕はあったことを書くしかできないんだよな。

4月4日(水)

この季節、春の暖かい太陽に照らされていると何でもできるような気になってくる。しかし15時を過ぎたあたりから、日陰にいると少し肌寒さを感じ始める。陽光はまだ一日のピークを超えても暖かさを維持できるほど強くはない。浮かれて薄着で外出した人間に調子に乗るなと釘を刺すような寒暖差。世界は自分の都合に合わせて回っているわけではないということを思い知らされる感じだ。この季節は何を着ればいいのかよく分からないから、寒くなっても調整できるようにいつもナイロン製の薄い上着を鞄の中に携帯している。そんな小賢しい知恵を使ってなんとか戦っていくしかない。

4月6日(金)

友人に会うために一時間ほど電車に乗って出かけた。
川に出たら人が全くいなくて気持ち良かった。空が広い。こんなに広々としていて人がいない場所は東京だとないよな。うらやましい。青い空に草の緑が濃く映えている。
今年の桜の時期は早かった。川沿いにも桜並木があったのだけど花は大体散ってしまっていて、だけどまだ葉桜と言えるほど葉っぱは出ていなくて、中途半端な赤っぽい色になったごつごつとした木が並んでいた。満開の頃はさぞすごい景色だっただろうと思うけれど、今くらいの状態のほうが心がざわつかないので良いかもしれない。満開のソメイヨシノはちょっとギラギラしすぎているし、葉桜は葉桜でなんか生命力に満ち溢れていて「今年度も頑張っていきましょう!」みたいな前向きな感じがして焦らされるところがあるからな。
風が妙に強い日だったのだけど、遮るもののない堤防の上だとさらに強く吹いていて、歩いていると飛ばされそうになるくらいだった。「落っこちないようにね」。風を避けられる位置のコンクリートの階段に座っていろいろと話す。「自分は漫画を描かないとただのクズだからひたすら描きまくってる」とか「漫画だけは自分を裏切らないと思ってる」とか言っていて、そういう覚悟でやってる奴には勝てないかもしれないな、と思った。この人はもし漫画を描けなかったら、何を心の拠り所としてどんな人生を歩んでいたんだろうか。

4月30日(月)

あんまり虚無ってばかりいると脳が腐りそうだしどっか行くか。別に行きたいところはないけれど、精神が煮詰まったときは旅に出るといいってphaさんの本にも書いてあったしな。とりあえず荷物をまとめて東京駅に行く。どこに行こうか考えた結果、一度も行ったことのない地方都市に行ってみることにする。何があるのかも全然知らないけれど。
車中では「なんで俺はこんなことしてんだろ」とか鬱々としつつも、窓の外に大きな建物が少なくなって山や海が見えてくると、ちょっと気分が楽になる。鮭とイクラの駅弁を食べる。ルイベがしょっぱい。やっぱり来なきゃよかったという気分にもときどきなるけれど、到着して知らない土地に降り立った瞬間はやっぱちょっと気分が湧き立つな。
やっぱ必要なのは旅か。しかし知らない景色を定期的に見せてやらないと精神が濁るの面倒臭いな。もっと機械のように淡々と生きたいのに。
路面電車に乗って海に向かう。砂浜に座って波の音を聴きながらぼーっとするだけのやつをやる。夕焼けが赤くてすごく大きかった。遠くの防波堤の上に、シルエットしか見えないのだけど、男子高校生2人、女子高校生3人のグループが楽しそうに歩いたり話したりしていて、やばい、青春だ、怖い、と思う。もし近づいて不意に「写真撮ってもらっていいですか!」とか言われたら回復不能のダメージを負いそうなので近づかないようにした。
市の中心部まで戻ってエビとブリとホタルイカの天丼を食べる。エビが特産らしい。美味しい。スマホから適当なビジネスホテルを予約して泊まる。行ってみると思ったよりボロくて少し凹む。もっと口コミをちゃんとチェックすればよかった。

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