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エゼチミブ(ゼチーア®)は食後投与じゃないといけない?その他諸々豆知識

 エゼチミブ(ゼチーア®)の用法は「食後」という明記がある。

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 インタビューフォームの薬物動態の項目には下表のような記載がある。

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 この表によると、エゼチミブのTmaxは空腹時で大きく延長し、Cmaxは空腹時で半減しているのがわかる。
 また、活性代謝物の抱合体も、空腹時投与ではCmaxが大きく低下している。
 しかし、エゼチミブも抱合体も、AUCは食事による大きな影響はない様子。

 ただ、よくよく考えてみると、エゼチミブおよび抱合体の作用点は小腸壁であり、小腸管腔側からコレステロールの吸収を阻害するので、血中濃度は薬効には直接関与しない。
 むしろ、空腹時服用でTmaxが延長するということは、それだけ腸管内の滞留時間が伸びるということなので、より効果増強が見込めるかもしれない。

 なので、保険適応である以上は、処方上は「食後」である必要があるが、実際の服用に関しては、例えば朝食をとらない人でも朝に服用するのはアリだと考えられる。

 エゼチミブは小腸のコレステロールトランスポーター(NPC1L1:Niemann-Pick C1 Like1)を阻害する事で、腸管からのコレステロール吸収を約55%抑制し、血中コレステロールを下げるが、TGも下げる事が確認されている(機序不明)。

 また、エゼチミブの小腸でのコレステロール吸収阻害により、肝臓でのコレステロールの生合成が代償的に亢進する。
 HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用により、血中コレステロールが相補的に低下することが、イヌを用いた試験及び海外の高コレステロール血症患者を対象とした試験において示された。 → 現在ではエゼチミブとスタチンの併用は当たり前だが(2019年6月)。

 ただし、エゼチミブをフィブラート系薬と併用する場合は、胆汁へのコレステロール排泄増加による胆石症に注意する必要がある(エゼチミブの添付文書より)。

仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。