保険薬局は、法的には「医療提供施設」なのだが、一般認識はまだまだ・・・

  2007年の医療法改正で保険調剤薬局も医療機関(≓医療提供施設)の一つと位置づけられた。
 医療法における定義では「病院」「診療所」「介護老人保健施設」「調剤を実施する薬局」の4施設を主に医療提供施設としている。
 しかし、一般的には医療機関は狭義の意味で扱われることが多く、それは医師・歯科医師が診療行為を行う施設(医院・病院・診療所)を指す。
 広義の意味では薬局も含まれるが、公的にはまだ認知されていない。

 そもそも、薬局が医療提供施設として位置づけられなかったのは、“独立した法制度”と“営利法人施設(株式会社)が多い”ことにあった。
 病院などは医療法だが、薬局は薬事法であり、それらを単純に同じ目線で見る事自体がそもそもナンセンス。
 さらに、日本では医療は営利を目的にしてはならないという大原則がある。薬局は株式会社(=営利法人)が多いので、この原則に反する。

 これらの背景により、薬局は長年医療機関と認定されなかった。
 だが、医薬分業率が50%を超え、地域医療に参画していると判断せざると得なくなったので、2007年に医療提供施設として医療法に明記された。
 また、病院や診療所も利益を意識した運営をしていかなければならない時代に入った事も一因だろう。

 このような背景を考えると、「時代背景上、しょうがなく薬局を医療機関と認めざるを得なかった」といったネガティブな意味合いが強そうな印象を受ける。
 これは、我々薬剤師のアピール不足(薬剤師の苦手なところ)が主な原因だろうと思われ、今後の薬局薬剤師の活躍にかかっているだろう。

 保険薬局は医療機関(医療提供施設)として法的に認定された以上、営利目的一本の経営をしていてはダメになったが、産業分類上は「小売業」なので株式会社(営利法人)としての運営はしても良いこととなり、難しい経営方針を迫られることになる。
 狭義の医療機関として薬局も認識される日がくるのだろうか。

仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。