見出し画像

 セロトニン(5-HT)受容体を刺激したら脳血管が収縮して片頭痛が和らぐ・・・これが現在の治療法として定着している。
 5-HT受容体は多数のファミリーとサブタイプが確認されている(後述)が、片頭痛では特に5-HT1Bと5-HT1D受容体が重要。5-HT1Dは主に三叉神経終末に、5-HT1Bは主に中枢神経系(三叉神経脊髄路核)に発現している(肺にも少し)ため、それらを刺激するトリプタン系の薬剤は「片頭痛治療薬」として望ましい訳だ。

 5-HT1Bを刺激すると頭蓋内血管(髄膜、硬膜、脳、軟膜血管)が収縮し、血管透過性が抑制される。
 5-HT1Dを刺激すると、CGRP等の神経ペプチドの放出を抑制して炎症・血管拡張を抑える他、P物質も抑制して痛みそのものを鎮静化させると考えられている。
 また、脳幹の5-HT1B/1Dを刺激することで、三叉神経核の興奮性を減弱するともされている。参考1、参考2 
※P物質:サブスタンスPのこと。タキキニンの一種で痛覚の伝達物質。

 ちなみに5-HT受容体は1A, 1B, 1D, 1F, 2A, 2B, 2C, 3, 4, 5, 6, 7の12種類あり、2Bと4が消化管に、それ以外は中枢神経系に主に発現している。また、3のみイオンチャネル共役型受容体で、その他はG蛋白結合受容体。

画像1

【2018/04/13記載】

【引用】トリプタンの作用機序

仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。