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肝硬変になると血小板が減るのは何故?

 理由は2つ。
 まず1つ目は、脾腫が起こるから。
 肝硬変が起こると、門脈の血流滞る。その影響で脾臓から門脈への血流も滞ってしまい、脾臓中に血液がたまって脾腫が肥大化してしまう。
 すると、血小板の貯蔵量が増えてしまうので、結果的に血中の血小板が減る・・・というメカニズム。

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 2つ目は、トロンボポエチンの産生量低下。
 トロンボポエチンは肝臓で産生されているので、肝硬変になると当然産生量が減る。これは血小板の産生を促進するタンパクなので、結果として血小板が減る・・・というメカニズム。

 上記2つのメカニズムが重なって、肝硬変になると血中の血小板が減少することになる。血小板減少症ほど激減するわけではないと言われているが、臨床では出血傾向になってないかをモニタリングしておく必要はあるだろう。
 また、慢性肝炎の状態から、血小板の推移に注意しておけば、肝硬変への遷移もある程度推測できるかもしれない。

【2018/9/15記載】

仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。