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添付文書のクレアチニンクリアランスはjaffe法、病院では酵素法。

 クレアチニンが塩基性溶液中でピクリン酸と反応して橙赤色になる性質を利用したもの。
 ただし、ピクリン酸はクレアチニン以外にもピルビン酸やブドウ糖、蛋白、ビリルビン、アスコルビン酸などとも反応してしまうため、真のクレアチニン(酵素法)よりも0.2mg/dLほど高値になる。

 なので、添付文書のCCrを参考にCG式を用いて薬物投与設計を行う場合は、実測検査値(つまり酵素法)の血清クレアチニン値に0.2を加えた上で行うことが望ましい。
 もしくはeGFRを算出し、それをもとに投与設計を行うなら、添付文書のCCrを参考にしても良いと思われる(Jaffe法のCCrはeGFR(mL/min)と近似するから)。
 ※近年発売された新薬の添付文書CCrは酵素法が使われているものも多いので注意!

 日本ではほとんどが酵素法だが、jaffe法の方が検査が簡便であるため海外ではまだ使われているところがある。
 医薬品のほとんどは海外で開発されたものであるため、添付文書の血清クレアチニン値はjaffe法に基づく数値であることが多い。

 現在では海外の治験も酵素法になっているとのことだが、2016年に発表された文献(※1)によると、「添付文書に CCr によって投与量を定めている場合、そのほとんどが海外治験データによるため血清Cr 値を Jaffe 法で測定されており・・・」と記載があることから、新薬以外の添付文書中のCCrは0.2mg/dLほどの乖離があると考えておいた方がよさそうだ。
 2011年ころからは海外の治験でも酵素法が用いられるようになってきたようだが、まだ少ない様子(※2)。
 この文献中には、「血清 Cr の測定はわが国でも 2000 年ころまでは多くの
施設で Jaffe 法により測定されていた。」との記述もあり、Jaffe法の歴史はまだ浅いようだ。

【引用】
※1:患者腎機能の正確な評価の理論と実践 日腎薬誌 Jpn J Nephro1 Pharmacother 2016; 5(1): 3-18. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjnp/5/1/5_3/_pdf/-char/ja
※2:腎機能を正しく評価するための 10 の鉄則改訂 5 版 http://cms.softsync.jp/rinshoyakuri/blog/docs/20170120.pdf

【2018/02/26記載】

仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。