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薬局を開業する際に設立した法人の資本金の適正な金額とは

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薬局開業時の法人設立で悩むのが資本金の金額
この記事では判断となるポイントを解説します。


1.資本金とは

薬局を開業するに当たって個人事業主で始めるのかもしくは法人を設立するかをまず検討することになります。
法人を設立するとなった場合に検討が必要になるのが資本金です。

資本金とは会社設立あるいは増資によって出資者から払い込まれたお金のことです。

登記簿にも記載され外部の方も取得することができることや様々なところで提出することになるため知られると思っていた方が良い金額になります。

2.適正額を考えるに当たってのポイント

初めて薬局を開業されるかた向けにまとめてみました。

①経営上
基本的には多い方がいいです。なぜなら外観的には当初は資本金しか会社の財務内容を証明するものがないからです。

仮に資本金1万円と資本金500万円の会社があったとした場合にどちらの会社と取引したいと考えるでしょうか。
通常は資本金500万円の会社と付き合いたいと思います。そもそも法人設立費用は1万円以上かかりますので、資本金1万円でスタートしている会社は会社の預金がゼロもしくはマイナスからスタートしてると考えることできます。預金残高ゼロの会社と取引したいと思う人はいないと思います。

税理士の私もご依頼をいただいた時点で登記簿をチェックしますが、資本金100万円未満の会社ですと私もお引き受けしないことが多いです。継続して事業ができる可能性が低いと考えるからです。

②口座開設
特にメガバンクの場合には口座開設の審査も厳しいため資本金が少ないことが一因で口座を作れないことがあります。
資本金が少ない場合には地方銀行や信用金庫、ネット銀行に限定されると思っていた方がいいと思います。
場合によってはそれまでお付き合いのある金融機関に頼むしかないということもあり得ます。

③融資
融資の場合には自己資金が関係してきますが
法人を設立したからと言って自己資金=資本金とはなりません。

資本金の扱いとなっていなくてもコツコツ溜めた資金が他にあればそれは自己資金として認められることもありますし、資本金となっていても自己資金として認められないこともあります。
自己資金と資本金は別の概念です。

そのため必ずしも資本金が多い法人を設立した方が融資が有利ということにもなりません。

④税制的な面

税制的な面でいえば1,000万円以上の資本金で設立するのはよく考えてからの方がいいでしょう。資本金が1,000万円以上で設立すると消費税の納税義務が第1期目から発生します。
昔は株式会社の設立に資本金が1,000万円必要であったことからよく分からずに設立してしまう方もいらっしゃいます。

わざわざ納税義務者に第1期目からなる必要というのはないと思いますので仮に1,000万円以上の資本金にしたい場合でも後から増資をするということでも宜しいと思います。

3.薬局開設時の資本金をどうするか

まずは300万円を一つの目安だと考えています。
かつて資本金の最低額に縛りがあった際の有限会社の最低必要な資本金とされていた額です。
昔から薬局をされている場合には有限会社で資本金300万円というのはまだまだ見かけます。口座開設に当たっても不利になるというのは少ない金額だと思います。
実際に設立時から関与する薬局さんでは300万円~500万円が多いという印象があります。

4.よくある質問

質問①

とりあえず手元資金全額を資本金として法人を設立する方がいいのか?

必ずしもそうとは言えません。
なぜなら設立後に他の方法で会社にお金を入れることは可能だからです。
仮に800万円を手元に持っていたとして、300万円で設立した場合に残りの資金の500万円を会社のために使えないかというとそんなことはありません。
個人から会社に無利子で貸し付けをすればいいのです。

帳簿上には資本金ではなく短期・長期借入金や役員借入金等の科目を使いますが、会社の預金を増やすことはできます。

貸付の場合には返してもらうことが可能です。資本金としてしまった場合には減資等もありますが簡単に戻してもらうわけにはいきません。
資本金となってしまうと個人で使う場合には役員報酬で課税をされて受け取るか会社から貸付を受け、この場合には利息を払い返済していくことになります。

質問②

法人設立は自分でするのか専門家に任せるべきなのか。

昨今はご自身で設立ができるサービスも増えているのでご自身で設立するという選択肢もありだとは思います。
ただその場合でもサイトや書籍でよく調べてからというのをお勧めします。
法人設立はご自身でするとしてもその後に顧問していただく税理士が決まっている場合にはその方に最低限の相談をするのは良いでしょう。定款を見てくれたり資本金についての相談については普通は対応してくれると思います。

質問③

法人設立か個人事業主にするか

どちらもメリット・デメリットがあるため必ずしも法人が良いとは言えません。メリット・デメリットについては他のサイトをご確認ください。

ご支援していてM&A等の場合で時間的に法人を設立している時間がないので個人で始めるということもありました。
薬局が個人で始めてから法人に切り替える場合には書類が多く必要になるため当初から法人で始めてしまうという考え方もあるとは思います。
また、代表取締役の肩書がほしいとなってくると設立するしかありません。





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