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調剤薬局の事業をしていて在庫がないということはないと思います。
今回は調剤薬局の在庫の評価方法について解説します。
顧問税理士がいたとしても説明していないことも多いと思います。
全てを理解する必要はありません。概略を理解してください。

調剤薬局様の税務のご相談について下記リンク先をご確認ください。
まずはお気軽に一度ご相談ください

新橋税理士法人 調剤薬局様用サイト

評価とは何か

そもそも評価とは何を言っているのか。
端的にお伝えすると在庫の金額をいくらにするか決めることです。
方法が一つしかなければ迷うこともありませんが在庫の評価方法は選択ができるようになっています。

ではなぜ在庫の評価をする必要があるのか。
利益(粗利)を算出するためには売上高に対する売上原価を算出する必要がありそのためには在庫の金額が必要だからです。
在庫金額によって利益が動くことになり税金額へも影響があります。

例えば、期首では100万円の在庫があり、期末には150万円の在庫、売上高は650万円、薬剤仕入は600万円だとします。

利益を出す際には100万円+600万円-150万円=550万円で原価を算出し、
650万円ー550万円=100万円(粗利)を計算します。

期末の在庫が10万円増えれば粗利も10万円増えることになります。

税務上認められている方法

税法で認められている方法は全てで7つあります(低価法を1つの方法としています)。

・個別法
商品をそれぞれ区別して、仕入価格で評価する方法です。薬局での評価で個別法を採用することはないでしょう。

・先入先出法
最初に仕入れた商品から販売していくと仮定して評価する方法です。

・総平均法
期首と期中の取得単価を合計し、個数で割ることで求めます。

・移動平均法
商品を仕入れる都度、平均単価を求める方法です。

・最終仕入原価法
会計期間の最後に仕入れた金額を取得価額とする方法です。
なお、期中の仕入価格が@100でも@200でも、最終仕入価格が@500なら、500円が評価額となります。
このため、仕入価格が大きく変わる商品では正確な原価が計算できない恐れがあります。

・売価還元法
商品を回転率などのクループに分けて、期末の販売価額の合計額を求め、原価率をかけて評価します。
原価率は、(期首棚卸価格+期中仕入価格)÷(期末棚卸資産販売額+期中棚卸資産販売額)で求められます。
商品の販売価格から原価を求められる方法であるため、小売業など商品数の多い事業で使われます。

・低価法
取得原価よりも期末の時価が低いときに、時価を評価額とする方法です。
例えば、A商品の取得原価が400円、時価が200円の場合、200円を評価額とします。
また期首には洗替低価法で費用を戻し入れる仕訳が必要です。

法定されている方法とは

法人税法では、「最終仕入原価法」が期末の棚卸資産の法定評価方法とされています。個人の場合でも同様です。
法定評価方法とは届出を提出しなかった場合に適用される方法です。
ご自身で届出を提出していない、税理士からもどうするか聞かれていないような場合にはこちらになると思っていいでしょう。

変更も認められていますが、無条件に変更を認めているわけではなく、いったん採用した評価方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきとされており、現在の評価方法を採用してから相当期間(3年)経過していない時は、変更する特別な理由がない限り承認されないこととされています。

薬局の場合に何を採用すべきか


最終仕入原価法は、期末に一番近い仕入時の金額を取得価額として計算する方法ですので期末まで評価ができない点がデメリットとなりますが、非常に計算が簡単なので法定評価方法でもあります。小規模であれば仕入価格の変動による影響も大きくないことから問題ないでしょう。
先入先出法、総平均法、移動平均法については医療法人会計基準での原則的な方法のため薬局でも考えられる方法でしょう。
また薬局で使っている在庫管理システムの計算方法に合わせる方法も考えられるかと思います。

いかがでしたでしょうか。
自社がどの評価方法を採用しているのかまずは確認してみてください。










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