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研究の効率を上げたいなら、論文は全部読むな!!!!

博士論文執筆中のふけんこうです。
今回は、前回のnoteに引き続き、論文の読み方に関することをお話ししていきます。

前回のnoteでは、論文の構成を中心に、各省の読み方をご紹介しました。
しかし、研究をしていく上で、参考とするすべての既存論文を丸々読まなければならないか、と言ったら必ずしもそうではありません。
むしろ、「全部読んではいけない!」くらいなのです。

このnoteでは「なぜ論文を全部読んではいけないのか」から、論文の効率的な読み方を紹介していきます。

研究を進める上で、研究の軸となるような既存文献は精読し、きちんと自分の口で説明できるようにならなければなりませんが、
多くの論文は必要な部分さえ読めば内容が把握でき、研究内で引用することができます。
つまり、ただでさえ読むのに時間がかかる英語論文などは、できるだけ効率的に読み進め、研究を行うべきなのです。

また、研究を進める上で読む論文は多ければ多いほど良いと言われています。
これには、知識を蓄え、分野に精通するという意味もありますが、
特定の分野で研究を行う学生・院生にとってはもっと重要な意味があります。

その理由がこちらです。

特に文系の研究論文に多い傾向なのですが、論文における参考文献の数は、「研究のMP(マジックポイント)」なのです。
既存研究を多く読み込み、知識として蓄えることで、批判に対する「ディフェンス魔法」が使えるようになります。
また、きちんと分野の勉強をしているよ、というアピールにもなるので、
特に進学を希望している学部生や修士の院生には、できるだけ多くの論文を読んでおくことをお勧めします。

(ちなみに一部院生の間では、論文のページ数は研究のHPとも呼ばれています笑)

それでは、なぜ論文をたくさん読む必要があるのかわかったところで、
研究の効率を上げるために「論文のどこを読んだらいいのか」を説明していきます。

前回のnoteでは、各章の大体の内容を紹介しました。
それを参考に、読むべき章を選んでみると、以下のようになります。

まず、Abstract を読むことで論文の内容をざっくりと把握し、
結果・考察を読むことで論文の肝となる主張とそれを裏付ける研究結果を把握します。
もし、論文中にConclusionがある場合はそちらも目を通しましょう!

しかし、自分の置かれている状況や分野によっては、さらに読んでおくべき部分があったりします。
以下では、補足としてそちらも紹介していきます。

分野にもよりますが、Introductionを読むこともおすすめです。
特に商学系の論文では、ある現象について、それを解明・説明するために研究が行われている場合が多いので、
研究の前提を把握するためにも読んでおいた方がいいかもしれません。

加えて、論文によっては「Introduction=Abstractをさらに詳しく記述したもの」になっていることもあるので、
自分の研究分野の傾向を把握し、読んだ方がいいのか判断できるようになると良いかな、と思います。

その分野について幅広い知識をつけたい、他の論文ではどのような主張がされていて、どのような研究が著名なのか知りたい、そんな場合は、TheoryやReviewを読んでおくことをおすすめします。
ここからさらに読むべき論文を見つけることも可能ですし、ざっくりとした分野の把握も可能です。

さらに、実証研究を行なっている調査では、この部分に研究の仮説が記載してあったりもします。
論文の結果をしっかり把握するためにも仮説が書かれている部分は目を通しておいた方が良いかもしれません。

研究したい分野は決まっているけど、どのような研究をしたらいいのかわからない、そんな時に読むべきなのがLimitationとFuture Researchです。

ここでは、執筆者が自分の研究に足りていない部分、将来的にはこんな研究をした方がいいんじゃないの?という提案を示しています。
そのため、ここを読むことで研究の方向性を定めることも可能です。

ただし、読む論文が古い場合は、それ以降に別の研究者がここで提案されている内容と似た研究を行なってしまっている場合があるので、それもきちんと確認するようにしましょう。
比較的新しい論文の場合は使えるテクニックかもしれません。


いかがでしたでしょうか?
以上で今回のnoteは終わりになります。

学部生の方は、できるだけ早く卒業論文を書き終えて遊びまくるために、
院生の方は、多くの既存研究を読んで知識を蓄え、論文執筆の効率を上げるために、ぜひ実践してみてくださいね!

↓今回のまとめ↓