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おたよりコーナー #32で読まれました

始めると無限にやっちゃうね。どうも、神山です。
今日はおたより、先日会社化15周年となったカイロソフトについてのものです。お楽しみください!では!


さやわかさん、おたより軍団のみなさん、こんばんは、神山です。今日のおたよりは、カイロソフトのゲームについて。カイロソフト、ご存知でしょうか。代表作はおそらく『ゲーム発展国』シリーズでしょう。僕はフリーソフトとして配布されていたPCゲーム版の『ゲーム発展途上国ⅡDX』を20年近く前にプレイしていました。今もこのゲームは公式サイトで頒布されており、現行の『ゲーム発展国++』はSteamやNINTENDO SWITCH、スマホなどで遊ぶことができます。多くのゲームは有料ではありますが、カイロソフトのシミュレーションゲーム(SLG)はオフラインでも動作し、ウマ娘の1/100以下の容量ということもあり、気軽に購入しプレイできます。

なぜカイロソフトについてのおたよりを書いているのか。それは、先日の北海道おたよりで「新千歳空港論を書くことになりそう」と言及した時に、まず一般的な空港について書くにはどうするのがいいんだろう、と思ったことに端を発します。ひとくちに空港と言っても、羽田空港や成田空港のような国際空港から、よく映画のロケ地となっている茨城空港、名探偵コナンランドと化している鳥取砂丘コナン空港など、各地それぞれ規模も毛色も異なっており、一般的な説明が難しい。もちろん、飛行機が離発着するという空港機能に絞ってしまえば簡単に説明できますが、実際の空港はそういった離発着施設と商業施設やホテルなどのある空港ビルが一体となったものとして認知されており、新千歳空港全体について述べるのであれば、空港ビル側について言及するのは避けられません。

と、いろいろ考えていたところ、カイロソフトの新作が空港経営シミュレーション『ジャンボ空港物語』であることに思い至りました。一般化した空港の話、ゲームから始めてもいいじゃん!ということで、『ジャンボ空港物語』について早口で書こうと思いましたが、そもそもカイロソフトがどれくらい知られているのか自信がないので、まずはカイロソフトについてのおたよりを書くこととしました。

カイロソフトは、1996年からゲームを開発している臼井和之氏が、2007年に設立した会社。元はPC向けのゲームを開発していたが、現在はパソコン用及び携帯電話向けのゲームを作っている。ジャンルは基本的に経営SLGであり、区画のなかで建物や設備を整える、キャラクターを育てる、商品を作るという手段を用いて、自社経営を安定させ、オフィスや土地や事業を拡大していくというものである。現在リリースされているゲームは60作以上あるが、今回は代表作『ゲーム発展国++』と最新作『ジャンボ空港物語』について記載する。

『ゲーム発展国』シリーズはゲーム会社経営SLGであり、初出である『ゲーム発展途上国』はTechWinデジタルアイアンマン1996年12号に収録された。現在もカイロソフトのウェブサイトからDLすることが可能である。現行の『ゲーム発展国++』は2008年11月にiモード用として、ドコモ公式ゲームサイトに展開された有料サービス『カイロパーク』内でリリースされた。現在はAndroid・iPhone・PlayStation Store・NINTENDO SWITCH・Steamなど、スマホでもコンシューマゲームでもPCでも遊ぶことができる。

『ゲーム発展途上国』と同じ年、1996年発売のゲームとしては『ポケットモンスター赤・緑』や『スーパーマリオ64』がある。ゲームボーイやNINTENDO64がある時代だからこそゲーム作りそのものを題材にするゲーム発展途上国がリリースされたとも言い換えられるだろう。

ゲームの内容としては、商品製作を中心としたもの。ゲームのハード・ジャンル・コンセプト・製作陣を組み合わせておもしろゲームを作り、バカ売れさせ、最強のゲーム会社を作るという内容である。ゲームが雑誌レビューで殿堂入りすればシリーズ続編を作れる。会社を移転させ広いオフィスでスタッフを新たに雇うことができる。最終的にソフトだけでなくハードも作るようになる。と、ひとくちにゲーム製作といっても色々な工程や能力が関わってくることがわかる。個人的には、あるハードのゲームソフトを作るためにライセンス料が必要だったり、リリース前のバグチェックが必要だったりするという部分が、細かいながらちゃんと現実を反映していて面白い。オミットされていることも多く、ソフトの売上がハードの売上より多いなどガバガバに見える部分もある。精緻なシミュレーションが楽しみたいのであればおすすめできないが、自分の考えたおもしろゲーム会社を作りたい人や、ドット絵キャラクターが動き回っている姿を見たい人にはおすすめのゲームである。

では、2022年6月にリリースされた現在の最新作『ジャンボ空港物語』はどうだろうか。

『ジャンボ空港物語』はその名の通り空港経営SLGである。航空管制のゲームやフライトシミュレーターという形で空港・航空を扱ったゲームは存在するが、空港経営というゲームは鉄道経営ゲームほど存在せずニッチなものだろう。ゲーム内の空港はきわめて単純化されている。建物は1階建てから変わらず面積が広くなるだけだったり、飛行機までは旅客が滑走路を歩いていったり、保安検査前後が区画されていなかったり、パーフェクトに現実を反映した作り込みはされていない。

プレイヤーは空港会社の社長として、「空路経営=路線誘致や滑走路・駐機場などの整備」「ビル経営=テナントや旅客サービスの増強」の二つを同時進行で行うことになる。これは、空港の収入が「航空系」と「非航空系」に分かれているということを知った上で作られているだろう。国土交通省による『空港別収支の試算結果について』https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000181.html を見ると、各空港の主たる収入が航空系収入ではなく、非航空系収入になっていることが分かるだろう。新千歳空港は特に顕著であり、新型コロナウイルス蔓延以前の2018年の数字で、航空系収益111億円に対し非航空系売上680億円と6倍以上となっている。新千歳は2019年度まで羽田との就航路線数が日本一多く(現在は羽田―福岡が日本一)、航空系収益自体が少ないわけではない空港だが、それでも非航空系売上が大きくなるのである。

ゲームにおいても、航空系収入は会社の経営基盤となるほどの利益とはならない。航空系施設の入国審査場や手荷物検査などは法的に設置する必要があるが、旅客の利用は全く収入とならない。但し、非航空系収入の基となる旅客の増加は航空系への投資が不可欠である。ゲームバランスとして、航路拡大しないで物販飲食店だけを拡大しても利用者が増えず売上を確保するのが難しいものとなっている。そのほか、館内の景観を手入れしたり、休憩地点を設置することで旅客の館内滞在時間を伸ばすのも館内消費を伸ばす手として有効であるが、これも非航空系のサービスである。単純化された空港の運営を通して、インフラと商業の両方をやる難しさを知れるという側面もある。

先日、辻田真佐憲の国威発揚ウォッチで、ゲスト3名と辻田氏が第二次世界大戦をモチーフとしたボードゲームをプレイしている様子が配信された。番組ではゲーム盤で起こっていることを、史実で起こった出来事と仮想戦記的なフィクションを往復しながら語っている。労働者になってからプレイするカイロソフトのSLGは、これと同じくメタな視点で操作しつつ、現実やフィクションから似たような物語を引き出してあてがう、という楽しみがある。ゲーム会社や空港だけでなく、遊園地、ラーメン屋、デパート、マンガ家、アニメスタジオ、忍者の里など、様々な業態・業種を経営するゲームがある。自分の仕事に近しいゲームをやる、子供の頃なりたかった職業のゲームをやる、あるいは就活と称して遊んでもいいかもしれない。

お読みいただき、ありがとうございました。

小中学生の頃にプレイした時は、単に社長になる、神になる、という漠然とした考えでいたずらに収入を増やす方法だけを考えてプレイしていました。
たとえば、新商品の金額を超高額にすることで、確実に初動で黒字にする、など。企業で働くようになってからプレイすると、整合性のある経営をしたくなります。ちなみに私は今、空港会社とラーメン屋と森林公園と忍者の里とマンションの経営者となっています。これがWeb3になって、実際の収入になればいいのに・・・。

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