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最近の記事

マントン - 古き良き時代の世界の町へ 第7回

コート・ダジュール紺碧海岸に、真珠のように連なる珠玉のビーチリゾート……。イタリアとの国境の町マントンは、山と地中海に囲まれた静かな港町。 光舞う旧市街にオレンジ、レモン、オリーブの香りに誘われて光舞う旧市街へ。市庁舎ではジャン・コクトーの手になる「婚礼の間」を、広く旅人にも開放している。 西欧富裕階級の社交場であるモナコ公国からタクシーで30分のマントンは、コート・ダジュールの隠れリゾートだ。 カンヌ、ニースほど俗化されていない。パブリック・ビーチには高級ホテルのビー

    • バグダッド - 古き良き時代の世界の町へ 第6回

      チグリス川とユーフラテス川が最も近よっている地点、そこにバグダッドと呼ばれる小さな市場(スーク)があった。現在のイラク共和国首都の1200年前の姿である。『千夜一夜物語』が讃えた黄金の街を巡る。 アッバース朝カリフ、アル・マンスールがチグリス河畔の寒村にすぎなかったこの地に壮麗な新都、マディーナ・アッサラーム(平安の都)を造営したのは762年のこと。以来1258年にモンゴルのフラグハンが侵入するまでの500年間、バグダッドはイスラム文化の中心として栄えた。 そのバグダッド

      • グラナダ - 古き良き時代の世界の町へ 第5回

        万年雪を頂くシエラ・ネバダの山々を、遥か彼方に望むアンダルシアの古都グラナダ──イスラム王朝の宴の跡……。アフリカの砂漠から地中海を渡って来たアラビア人は、その幻想的な宮殿を無数の花園と噴水で飾りました。光舞う中庭で偲ぶ、遠き日の千夜一夜物語。 砂漠の民の情念が造りあげた地上の楽園金色の光が、12頭の力強い獅子の支える噴水の滴に、戯れ、舞っています。アルハンブラの宮殿の中でもっとも美しいといわれる、ライオンのパティオです。 四方を囲む、124本もの大理石円柱とアラベスク文

        • パルミラ - 古き良き時代の世界の町へ 第4回

          砂漠のなかの真珠だったパルミラ。隊商たちは、飢えと渇きと疲労のなかで常にこの町を夢見た。そしていま廃墟──渡る風がこだまする列柱群は落日に染まる。 パルミラは、今、シリアのまっただなかにある廃墟に過ぎない。だが、昔はメソポタミアとエジプト、メソポタミアと地中海世界をつなぐ隊商路の重要な中継基地として富み栄えた町だった。 メソポタミアの主権者がペルシャ、パルチアと変わり、地中海世界がギリシャからローマに変わっても、パルミラの隊商都市としての地位に変化はなかった。そして町は結

        マントン - 古き良き時代の世界の町へ 第7回

          カラチ - 古き良き時代の世界の町へ 第3回

          イスラマバードに遷都されるまでは、パキスタンの首都だったカラチ。19世紀のなかごろまでアラビア海に面した寒村にすぎなかったが、1947年の独立後に首都となると、人口が急激に増加し、パキスタン最大の都市となった。 町の中心、クラブ通りやザーブン・ニナ通りには近代的な白いホテルやショッピング街がつづいている。町には青々とした街路樹が茂り、公園も多い。しかし、ペシャワールやらホールと違って、町には歴史的な建物や遺跡は少ない。 まず、市街の北東にあるアリ・ジンナーの廟“マザール”

          カラチ - 古き良き時代の世界の町へ 第3回

          カーブル - 古き良き時代の世界の町へ 第2回

          ムガール帝国の創始者バーブルが愛した町、カーブル(アフガニスタンの首都)。周囲は岩山、町のなかにも山があり、カーブル川が貫流する。 町は新市街と旧市街にわかれている。旧市街への入口は、パシュトニスタン広場。人種のるつぼであるアフガニスタンで、最も有力なパシュトゥーン族が制覇した記念広場である。中央の大噴水の周囲に、パシュトゥーン族の象徴、「山を背景とした太陽」の図が描かれている。 広場を囲むように、外貨両替の銀行、郵便局、映画館、レストランなどがあり、旅行者にも便利。広場

          カーブル - 古き良き時代の世界の町へ 第2回

          ペルセポリス - 古き良き時代の世界の町へ 第1回

          アケメネス朝ペルシャの遺産、ペルセポリス(現在のイラン)。遺跡の浮き彫りや石柱は、ペルシャ帝国の強力な力を語りかける。1971年、ペルシャ建国2500年祭式典が行われた舞台である。 シラーズからイスファハンに向かう道をバスで約1時間。広大な平野のなかに現れた小高い丘陵は、慈悲の山(クー・イ・ラマート)だ。その前にアケメネス朝時代(紀元前538〜前331年)の首都ペルセポリスの遺跡がある。 この壮大な宮殿をつくりはじめたのは、ダリウス1世の紀元前520年ごろだった。アケメネ

          ペルセポリス - 古き良き時代の世界の町へ 第1回

          古き良き時代の世界の町へ Prologue

          「グラナダを訪れ、その数十年後にグラナダを訪れても、グラナダは変わっていないだろう。ただひとつ変わったのは、自分のなかを流れた歳月だけである」 イスラムの残照、アルハンブラ宮殿で知られるスペインのグラナダを愛した、随筆家アリソンの言葉だ。 「グラナダ」をイスタンブールやアテネに。パリ、ローマやチェコのプラハに置き換えてもいい。 古都の佇まいは、今日も変わることなく輝いている。 そしてチグリス、ユーフラテス、インダス文明の興亡の跡を訪ねれば、神殿の円柱の蔭から青年大王ア

          古き良き時代の世界の町へ Prologue