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「違うもの」をおそれない

一説によれば、人は18歳までに口にしたことのあるものを生涯の食べ物と感じる傾向があるそうです。それは、そのころを境に、まったく新しい食べ物を積極的に口にすることが減り、慣れ親しんだものが中心になるということ。たとえば、外国に行ってしばらくすると和食が食べたくなるのは、和食のほうが優れているからではなく、このような身体の学習のせいです。

同じように、33歳ころを境に、新しい音楽を聴かなくなる人が多いそうです。どうでしょう。 昔好きで聴いた曲ばかり今も聴いていませんか? それは今の音楽が昔に比べて劣っているからではなく、心と耳のクセが原因です。

このように人は、ある年齢になると、新しいものを拒否するようになります。もちろん個人差はあって、生涯新しいものを積極的に受け入れる性格の人もいます。

ところで、人の感覚(五感)は、つねに「違うもの」に反応します。なにか異臭がしたり、遠くで子どもたちの歌声がしたりしたとき、それまでは何も働いていなかったように思っていたセンサーが、突然反応します。

逆に言えば、「同じ」だと感じているものや状況には、特別反応しないのです(その間もずっと働いていますが)。

これをアートで考えれば、オーディエンスの感覚に訴えたければ、「違うもの」をつくらなければいけないということです。「ああ、こういうのよくあるよね」ではセンサーが反応しない。どんなに技術的に上手でも「ふーん」となってしまいます。

一方で、違う(と感じる)ものには「え?!」と反応しますが、上に書いたように拒絶される可能性もあるわけです。年齢に関係なく「これムリ」と残酷に言い放たれるかもしれません。

しかし、「まだ見ぬ写真」をつくろうとする者は、拒絶を覚悟しなくてはいけません。人と違うものをつくることをおそれてはいけないのです。

安達ロベルト

☞2/3 Talk Live「まだ見ぬ写真へ」
https://note.mu/photounseen/n/n8d68f1877a30

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