見出し画像

いまだ見ぬ写真を求めて_宣言

復路のチケットを持たず旅に出たことがない。いつも帰る日が決まっていた。
陳腐なメタファーだけれど、人生を旅とするならば、写真家になる決心をしたときだけは、復路のことを考えていなかった。そこに向かうこと、そこで生き抜くことだけが目標だった。

いまの自分は往路の途中なのか、とっくに折り返して復路にいるのか、ふと考えてみることがある。
往路では外の世界に刺激を求め、新しいものを見て、いろんなことを吸収していく必要がある。復路ではそれを整理して、自分のものへと消化して有効に活用することが求められる。
自分でそれを決心した覚えはないけれど、もう復路にいるんだと思う。

エマソンが素敵な言葉を残している。

"私たちの過去に残されたものも、私たちの未来に待ち受けているものも、私たちの中にあるものと比べれば取るに足らない"

まったくその通りだ。

でも現代では、形にすることができなければ、それは存在しないのと同じだ。幸いなことに私たちには言葉がある。もっと複雑な感情を扱える写真もある。さらに究極の芸術形態である音楽もある。
それらを用いて、旅で得てきたものを、より多くの人たちと共有したいと思う。そうなれば価値は何倍にも膨れ上がるだろう。
テラ・インゴグニタ———世界地図に塗りつぶされていない場所は、もう残されていないと言う。あるとしたら私たちの心の中だろう。そこに向かってみんなと旅したい。

内田ユキオ

☞2/3イベント「まだ見ぬ写真へ」詳細
https://note.mu/photounseen/n/n8d68f1877a30

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?