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『難攻不落の迷路』誕生秘話

弊社の大ロングセラー絵本シリーズである「香川源太郎の迷路絵本」。今回、過去にない難易度の迷路を収録した『難攻不落の迷路』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。

『時の迷路』からスタートした「香川元太郎の迷路絵本」シリーズは、ありがたいことに本作で19作目を迎え、累計300万部を突破するという弊社の児童書を代表するシリーズとなりました。おかげさまで、新入社員からは「小さいころ、弟とやっていました」(!)というコメントをもらい、喜びとともに自分の社歴の長さを再認識した次第です(苦笑)。改めて、ロングセラーであり続けることに、著者の香川先生をはじめ、書店さま、読者のみなさまには、感謝の気持ちでいっぱいです。

 さて、そんなロングセラー・シリーズですが、ここ数年は新規の企画立案に頭を抱えていました。それは、数ある既刊以上に魅力のあるテーマを見出さなければならない、というプレッシャーです。子どもたちから普遍的に愛される「乗り物」「昆虫」「恐竜」等の定番テーマは、すでに発刊済みという状況のなか、いまの子どもたちにどんなテーマが響くのか……何度も香川先生と相談を重ねました。
 そして今回、テーマ決めに煮詰まった私が着目したのが、市場調査、既刊に対する読者の声、自身の経験です。
 まず、市場調査については、児童書に詳しい書店員さんに積極的に話をうかがったほか、弊社の普及員から、ここ数年「超難しい」まちがいさがしやクイズが大人気になっているという情報を共有してもらいました。
 次に、読者の声ですが、ここ数年、発刊後に行う迷路イベントで、「もっと迷路を難しくしてほしい!」という子どもたちの生の声に何度も触れてきていました。 
 そして、最後に自身の経験です。以前、店頭で自分の編集した本のフェアをしていただいた際に、70代くらいの女性が迷路絵本コーナーで立ち止まってくださいました。お孫さんのために絵本を探されていると思った私がお声がけすると、その女性は、「孫じゃないのよ。おじいさん(ご主人)に買っていきたくて。コロナで出かけられないから、脳が鈍ってしまうでしょ。脳トレね!」とお話しになり、一緒に選書するという貴重な体験をさせていただきました。
 このように、さまざまな方面からお知恵をいただき、今回は大人の脳トレにも効果的、子どもたちは大満足の「超難しい」にこだわった迷路絵本が完成しました! 装丁デザインも一新。シリーズの強みを活かしながら、新展開も加わり、既存ファンはもちろん、新規ファンの獲得も期待しています。
 香川先生からの“挑戦状”ともいえる本書。「大人の脳トレにも!」「おじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんが一緒に!」といった新たな読者へのアプローチも加えてお客さまにご紹介いただけると、たいへん嬉しく思います。

第一事業制作局 児童書出版部 鈴木由季

note 編集の現場から(顔)