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Netflixドラマ「DARK ダーク」(ネタバレなし感想考察)

「DARK」にハマるまでの経緯

昨年初頭あたりだろうか。
思い悩んで思い悩んで、ついにNetflixに加入した。
いつもそうなのだが、配信媒体へ加入する条件として、鑑賞したいと思うものが片手に収まりきらなくなったら、と思っている。
結局いろいろと鑑賞したい作品が溜まってきて、ついに加入した。
おかげで毎日観たい作品だらけ。
Netflixを開けば、魅力的なサムネイルだらけ。
気になるものをマイリストに入れて置いて、後で見ようと思いながら、増えすぎてどこから手をつけていいやら。
結局数分悩んで決められないでHDDの撮りためてた地上波ドラマ観ちゃったりもする。そんな時もある。

そういうことも数回繰り返した頃、(そうだ。Netflixの人気作品を検索して、その上位から観てみよう)と思い立つ。
早速ググる。
出るわ出るわ、人気ランキングの数々。
とりあえず観やすそうな記事を辿る。
記事を書いている人の好みにもよるけれど、今まで観てきた作品の好みなどで、あらすじをさらっと確認して、「ストレンジャーシングス」と「DARK」に行き着いた。
調べて見ると、前者は今や言わずと知れたNetflixの代表SFアドベンチャー作品。主演のミリー・ボビー・ブラウンの人気も鰻登り。
確かに彼女の演技には目を見張るものがある。普段、あんなに明るくて活発なのに、イレブン演じてる彼女別人だもの。天性の演技力なのだろうか。
そのギャップも魅力なんだろうな。

代表作とは似て非なる作品

ストレンジャーシングスは今回は置いておくとして。
今回語りたいのは、後者であるDARKの方。

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何かとこの二つが比較されやすい作品なのには訳があって、あらすじの部分だけ読むと、とてもよく似た設定なのである。

閉鎖感たっぷりの田舎の町。広大な森。町に謎の建物。
その森近辺で行方不明になる少年。
この辺だけ切り取ると、とても似てる。

しかしながら、蓋を開けてみたら、これが全く別物。
要所要所似ている設定はあるけれど、何しろ作品の醸し出す雰囲気がまるで違う。そしてもちろん、物語のコンセプトも行き着く結末も。
私がこのDARKを見ようと思い立ったのは、このあらすじ以前に、ビジュアル面が大きい。何しろ画面から伝わってくる「ヴィンデン」という町の陰鬱で湿度の高い雰囲気。暗く広大な森。シリーズ中、ほぼほぼ曇天か雨、土砂降り。
その広大な自然の町に似つかわしくない原子力発電所の無機質さ。
あのミスマッチな町の風景にまず目を奪われる。あれは映像の色味を抑えているのもあるだろう。それゆえに、主人公ヨナスの着ている黄色のウインドブレーカーがとても際立つ。それも作品のキーポイントのひとつだからなのかも。
その映像を観ているだけでもすでに雰囲気で良いドラマだ、と感じる。
こういう広大な自然美は日本での撮影ではなかなかお目にかかれるものではない。

その映像美も相まって見始めたものの、正直序盤はいろいろと不思議なことの連続で脳内が混乱する。何しろ登場人物がとても多い。誰が誰??といった具合にまず、名前と顔を一致させることが先決となる。何しろ、この作品の舞台は時代を行き来する。
それぞれの時代で、役者さんが変わるので、余計に(この人とこの人が同一人物?)というのを覚えて置かなくてはいけない。これがこのドラマの「難解」と言われる一つの原因である。
そして、基本は現代2019年から始まるのだが、物語が進むにつれて、1986年、1953年と過去にも飛躍する。そう、どちらも33年ごとに区切られている。
この時点でもうざわざわしてくる。(なにその規則性?)となる。

そしてどの時代でも必ず象徴的に出てくる暗澹たる雰囲気抜群の森の洞窟。
この洞窟こそがとんでもない。秘密を知ったら絶対に一人で入りたくない。それなのにみんな入っていく。ドイツの人は洞窟慣れてるの?ってくらいみんな入る。私だったら灯り持ってても一人であんな洞窟入りたくない。(閉所恐怖症)

序盤こそ不思議で頭の中を整理しながら観ていたのだが、第5話目でついに物語の起承転結の「承」あたりに差し掛かる。この瞬間が本当にすごい。
なぜか私はこの5話最後であまりの衝撃に家で画面に向かって「まじか…!」と言ってしまったくらいは驚いた。そんなことってある??というくらい。
ちょっと泣いてしまった。(衝撃すぎたせいだろうけど)

この時の衝撃はおそらく私の中のSF的概念を覆されたからなのだと思う。

タイムトラベルに対する従来の植えつけられた概念

時代は少し遡るのだが、映画ファンなら誰もが知っている第名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。この作品であらゆるSF作品好きは、いわゆるタイムトラベルしたら、どうなってしまうのか?という疑問の経緯を植えつけられる。例えば、過去を変えたせいで写真から自分の姿が消え始める、とか。今となってはそういう表現が根付いていて、タイムトラベル物にはありがちだし、実際そういう作品も大小様々あったと思う。
それは既に「現在」から「過去」へ『戻る』、とか「現在」から「未来」へ『進む』という概念が私たちの頭にあるからなのだ。
「現在」があるのは自ずと知れた「過去」の産物で、その「過去」に「現在」の自分が行けば、いろいろと不具合が起きてくる。そういう風に植えつけられている。

でも本当にそんなことになるのだろうか。
突き詰めて考えると、まずタイムトラベルした時点でいろいろ不具合あるよな?などと言い出したらキリがないのだけど。
それ以前にタイムトラベルが可能かどうか、という疑問はあるとして。
でも、そういう部分に目を瞑って考えたとしても「時間」という概念は未知な部分が多い。
それでも、なんとなくの「時間」の考え方は人々の間で共通しているだろうし、実際そうだと思う。
要は「現在・過去・未来」というものを私達は一本の線で繋がっている、と潜在的に植えつけて物事を考えているのだと思う。
私は実際そうだったし、そう思っていたからこそ、この「DARK」の作品の中で浮き彫りになる「時間」とか「現在・過去・未来」という概念そのものの考え方が全く私の中にないものだった。だからこそ、今までの「時間」という物に対する自分の中の概念がガラガラと崩れ去った。
その時の鳥肌といったらなかった。
こんなことを考えつくなんて、凄すぎる…!とさえ思った。

そう、もう一本の線ではないのである。
全てが繋がってループしている。
「終わりも始まりもない」みたいな状態なのである。

これだけ言っていると、なに言ってんの?と思われるだろうが、こればかりは作品をぜひ観て体感してもらいたい。
こんなにドラマを観ていて衝撃の鳥肌、開いた口塞がらない、驚きすぎて泣けてきた、みたいな感情を久しぶりに味わった。

作中に度々登場する絵画とタトゥーの謎

この作品を観ていて一つ気付いたことがある。
それは、序盤から頻繁に描写される、とある絵画。

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これ、実は「エメラルド・タブレット」という代物。

詳しくは引用をぜひ観て欲しいのだが、この絵画が「DARK」の作品中、とても印象的な扱われ方をしている。
後半、とある人の体にこのタトゥーが出てくるシーンがあり、その異様さもあって、とても印象深い。

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このエメラルド・タブレットはラテン語で綴られているそうなのだが、その訳としての一文をこの作品の中で多く使用されているので、注目して欲しい。

『かくして世界は創造された』

これだけ聞くとなんのこっちゃと思うのだけれど、作品を観ていくに連れて、このタブレットが如何に綿密に関わってくるかが分かってくる。
こういった細かな演出もこの作品の素晴らしいところだと思う。
それ以前に、エメラルド・タブレットに気づいた自分も実に気持ち悪い…。しかしこれを引用している製作陣のオタクっぷりがたまらく好きだし、私好みであることは確かとなった。
このことに気づいた時の興奮を製作陣に伝えたいくらい。
めっちゃ暑苦しく語れる気がする。日本語だけど。

さらに映像美、音楽としての魅力

ちなみに、映像美も去ることながら、音楽もとても素晴らしい。
オープニング曲はこのドラマの為に作られたそう。

終始ダウナーな音楽にあわせて描写される映像は、エピソードの各場面をシンメトリー(左右対称)に加工されたものが映し出される。
この手法も「DARK」の世界観を表していて、実に素晴らしい。
この手法を用いることによって、見る人の感性次第で場面の趣が変わるように思う。
本来シンメトリーで存在しないものが敢えてそう映し出されることにより、不安感、さらには何か観たことのある擬似感を覚えたりする。

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それは最初こそ謎だが、エピソードを一話一話と進むに連れて、オープニングにランダムに挟み込まれている映像がどの場面なのか理解できてくる。そうやって徐々に(あ、あの時の…!)と気づいていくことによって、その映像の捉え方が全く変わるのだ。それを味わう為にも、ぜひオープニングは飛ばさずに観ていくことをオススメする。
さらに言えば、エピソードを全て見終えてからあのオープニングを見ると、また格段に違った味わいで見ることが出来る。全て網羅してからのオープニング映像は鳥肌間違いなし。これはシーズン1、シーズン2それぞれのシーズンの場面で製作されているので、ぜひどちらも堪能して欲しい。

新鋭のドイツ製作陣

前章でも軽く触れたが、この「DARK」の製作が知る人ぞ知る「ピエロがお前を嘲笑う(WHO AM I)」(邦題がダサい)という映画で脚光を浴びたバラン・ボー・オダーとヤンチェ・フリーセ。二人はこの映画で日本でも知る人が増えたと思う。
実は私はこの「ピエロがお前を嘲笑う」を知った時、どうしても観たくて、割と遠い映画館に無理やり時間をやりくりして観に行った記憶がある。
正直な感想を言えば、おそらく日本での予告のセンスがよくなかった。
あれがなかったらかなり秀逸な作品!と興奮していたと思うのだけど、予告で煽りに煽った結果、ちょっと勿体無い終わり方なのだ。
でも、アイデアとしては目を見張るものがあった。さらに、この監督の作品が観たい!とも思った。
だから、この「DARK」の製作がその二人だと知った時の興奮と言ったら!それこそ鳥肌モノだった。何しろ知らずに観て、こんなに面白くてハマってしまったから。まさかその人達の作品を既に観ていた自分に拍手したいくらい。なんだろう?やはりそういうものは引き寄せるタチなのかな。
二人のインタビューも興味深かったので、置いておこう。


とにかくオススメしたいドラマには違いない

何しろ後半の怒涛の展開が止まらなくなるので、ぜひ序盤の退屈さを我慢して観続けていただきたい作品。
第5話まで見れば、その後の面白さはお墨付き。
少々難解ではあるけれど、見る価値はある作品だと思う。

今は自分の脳内整理の為にシーズン1から見直しているのだが、この見直しをすることが、この作品のもう一つの楽しみと言える。
何しろ、初見では全く不可解だった伏線に全て理由があって、理解ができるから。その楽しさは2回目以降でなくては味わえない。
そんな楽しみ方まで提供してくれるなんて、本当に傑作中の傑作だ。

そして、できるなら人物相関図を自作しておきたい。
シーズン終わるごとに謎の人物の秘密が明らかになるし、そこを理解しておきたい。日本語でわかりやすいものってなかなか落ちていなかったからなぁ。
もしできたら、ここに追加している、かも?

現在シーズン2まで配信している。
今の所、シーズン3の撮影中とのこと。早く続きが観たくてウズウズしている。
でもその前にしっかりと復習の為にシーズン1と2を見直しておこう。


山田孝之氏respect 山クラ神奈川支部あたり oor B′z ノーマン・リーダス 邦画洋画 国内ドラマ海外ドラマ 邦楽洋楽 いろいろ好きな人妻3年目突入